ブナ

 虔十はいつも縄の帯をしめてわらって、杜の中や畑の間をゆっくりあるいてゐるのでした。
雨の中の青い藪を見てはよろこんで目をパチパチさせ、青ぞらをどこまでも翔けて行く鷹を
見付けてはねあがって手をたゝいてみんなに知らせました。
 けれどもあんまり子供らが虔十をばかにして笑ふものですから、虔十はだんだん笑はない
ふりをするやうになりました。
 風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは、虔十はもううれしくてうれしくてひとり
でに笑へて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながら
いつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立ってゐるのでした。(略)
                                    童話「虔十公園林」


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ブナ(ブナ科ブナ属)山毛欅、橅、椈
温帯域に生育する落葉樹である。高木。大きいものは高さ30mにも達するものがある。
樹皮は灰白色できめが細かく、よく地衣類などが着いて、独特の模様のように見える。
日本では、低山の照葉樹林帯と、亜高山の針葉樹林帯の間にはブナ林が成立する。
特に日本海側の多雪地では、純林に近いブナ林が広範囲に広がっていたが、戦後大規模に伐採されてしまった。
一方、太平洋側では純林はあまり見られず、ミズナラなど他樹種との混交林をつくる。
白神山地のブナ林は世界遺産に登録されている。
画像は新潟県の松之山、美人林と呼ばれる二次林である。
Commented by eruhu at 2009-05-12 14:44 x
nenemuさん。こんにちわ。
ブナの新緑気持ちよさそうですね。
虔十でなくとも、嬉しくなります。
いつまでも見上げていたい気持ちになりますね。
Commented by saidenryu at 2009-05-12 19:10
虔十は賢治ですね。
イメージの湧く写真ですね。
白神山地の自然センターのような所に車で行った時に、
レンジャーの方が、短い期間だけどブナの新緑がとても
美しく輝く時があるんですよ、と言っていたのを
思い出しました(まるでブナは神の化身のようです)。
Commented by nenemu8921 at 2009-05-12 22:12
eruhuさん。こんばんわ(^^♪
新緑はみな気持ちいいですが、ブナ林はまた、格別でした。
いつまでも見上げていたい?
 カメラを持つと… 心は…… です。(^^♪
Commented by nenemu8921 at 2009-05-12 22:19
samさん。
賢治のメモに kenjyu  kenji   と書かれていました。
おっしゃるとおりです。

白神山地は未だ行ったことはありませんが。

ブナは二次林が多く、原生林は少ないのでしょうね
Commented by bella8 at 2009-05-12 22:42
nenemuさん、こんばんは!
ブナの木って、ひらがなの「し」のように幹が伸びているように見えます。
鮮やかなグリーンが素晴らしいですね。
美人林・・・なるほどね~

Commented by nenemu8921 at 2009-05-13 00:34
ベラさん。
このあたりは豪雪地帯です。
雪のせいでブナも腰が曲がるそうです。(^^♪
腰痛の私は親近感を感じてしまいました。(^^♪
by nenemu8921 | 2009-05-12 07:29 | 植物 | Comments(6)

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