ハーデイフロックス
2009年 07月 07日
山地を登る日に焼けて、
凄まじくも暗い朝になった
今日の遊園地の設計には、
あの悪魔ふうした雲のへりの、
鼠と赤をつかってやらう、
口をひらいた魚のかたちのアンテリナムか、
いやしいハーデイフロックス
さういふものを使ってやらう
食ふものもないこの県で
百万からの金も入れ
結局魔窟を拵えあげる
そこにはふさふ色調である
詩「悪意」
別名オイランソウ(おいらんが使った白粉に似た香があるという)。クサチョウチクトウとも。
アメリカ原産の宿根草。最近は改良された園芸種がたくさんある。星型の花のものや斑入りの葉のものなど。
アンテリナムはキンギョソウのこと。以前に詩ノートからの引用とともに紹介した。こちらをどうぞ。
1927(昭和2)年、4月8日の日付のある作品。花巻温泉の花壇設計を依頼されたときの心情をうたったもの。花巻温泉は遊園地や動物園を備え、レジャーランドとして大規模なものであった。魔窟とは時代がかった表現だが、歓楽街が人を幸福にしないという憂いを強く持っていただけでなく、賢治の父、政次郎も花巻温泉㈱の株主の一人であったことも負い目だったようである。
悪意をこめて、暗い赤焼けの雲の色の花で花壇を拵えてやろうというのである。
だが、アンテリナム(キンギョソウ)も、ハーデイフロックスも可愛い花である。おそらく花魁草という別名からのイメージもあったのだろう。
こんな世の中じゃいけない、誰かが変えていかなくては
ならない、自分がやらねばならない。
そして、仮定された有機交流電灯のひとつの青い照明
として生きたのですね、きっと。
フロックスというと、新しいイメージですね。
子どもの頃、ちぎって鼻に貼ってテングバナとか遊びました。
写真、陰影が強調されていて、すてきです。
平凡な花が、賢治が詩に書くと、特別なものとなり、ネネムさんが写真で証明してくれるみたいです。
ありがとう。
おっしゃるとおり、賢治は自分がやらなければならないという使命感は強かったと思います。
「春と修羅」の序文を書いた時期より、羅須地人協会活動をしていた時期
は、必死だったようです。
イネの不作が天候のためであっても、自分の責任のように感じていました。
「春と修羅」三集を読むと、つらくなります。
saidenryuさん。周囲の人につらい思いをさせてはいけませんよね。
花巻温泉が設立の時期は、賢治が農学校を退職して、農村改革に燃えて
いた時期でもありました。
以前、花巻温泉設立趣意書なるものをていねいに読んだことがありますが、
魔窟というイメージではないですね。
テーマパークとはよい表現ですね。(*^_^*)
なつかしい花ですよね(^^♪
写真はなかなかうまく撮れないのですよ。
植物は時期もあるので。
今年はいいフロックスに行き会えました。
オキザリスさんにそう言っていただけると、励みになります。
フロックスって言えばアメリカ、
誰もが愛するお花ですよ…!!
でも賢治の言う、ハーデイフロックスが、
どんなフロックスか、非常に興味があります。
園芸品種にもないし、
もしかすると、バラ好きだった(と思います)ので、
ハーディ(バラの品種)の様な赤いフロックスを思って、
ハーデイフロックスと呼んでこっそり楽しんだのかしら!?
赤いフロックスこそ、美しい花魁の立ち姿そのものの様。
花魁草は多年草の豪華なフロックスを指します。
わたしとしては、草夾竹桃や花魁草よりも、
愛らしいキキョウナデシコ(桔梗撫子)の呼び名が好きです。
気にかけてくださってありがとう。
百万の味方より心強いです(^^♪
ハーデイという紅いバラがあるのね!!見たいわ!!
ただ、お気に入りの花であれば、「悪意」として、選ばないような気がしますし、いやしい~~という表現は微妙です。
キキョウナデシコですか。この花にふさわしい名前のような気がします。