ほうの花

(略)
その人はしづかにみんなを見まはしました。
「みんなひどく傷を受けてゐる。それはおまへたちが自分で自分を傷つけたのだぞ。
けれどもそれも何でもない、」
その人は大きなまっ白な手で楢夫の頭をなでました。
楢夫も一郎もその手のかすかにほうの花のにほひのするのを聞きました。
そしてみんなのからだの傷はすっかり癒ってゐたのです。
(略)
                              童話「ひかりの素足」

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ホウノキ(モクレン科モクレン属)Magnolia obovata 朴の木
全国の山林に見られる落葉高木。高さ30mにもなる。花はバニラに似た芳香がある。

賢治文学ではしばしばマグノリアという表現で、コブシやホウの花が描かれる。
いずれも、聖なる花、寂静印のイメージである。

ここでも地獄の鬼どもに苛められている楢夫と一郎、子どもたちを
救済するひかりの素足の人の象徴として、ホウの花の香りが漂うのである。
《にほひを聞く》という賢治の表現も面白い。

画像は今年の5月半ばにつくば実験植物園で撮影したもの。
ホウは大木が多く、花はかなり高いところに咲くので、いい写真が撮れる機会は少ない。
花を守護するように輪生している葉も大きなもので、下から見上げれば、
青空のもとで、面白いフォルムを見せていた。




この日、ホウノキの近くで見つけた木。
ウラジロノキ(バラ科ナナカマド属)です。
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なるほど、ナナカマドの花に似ているなあと思った。東北、北海道に多いですよね。
葉の裏が白いことからのネーミングとか。
葉の裏がちらちらと白っぽく光る樹木を宮沢賢治は好きですね。楊とか、ドロノキとか。
Commented by odamaki719 at 2011-06-07 21:14
こんばんは✿
ほうの花は少しタイザンボクに似ていますね。
いい香りがするのですね。
お香の香りを聞くといいますよね。
古くからこのような表現があったのでしょうね。
2枚目は楽しい構図ですね。
青空に映えて日差しが綺麗です。
ウラジロノキは初めて見た気がします。
Commented by pcmimiko0207 at 2011-06-08 00:14
こんばんわ^^
またまた、写真に魔法をかけましたね!!
その魔法が見たくて、毎回お邪魔してるんですが (笑)
日差しの技が、透明感を出しているんですね。
美しさと爽やかさを感じます!(^^)!
Commented by 寧夢 at 2011-06-08 03:54 x
賢治の色彩感覚や文章表現には色々思う所もありますが、
やはり自然の豊かな所で育った人の観察眼の鋭さ、
季節の捉え方というものを、時代や地域を経て感じ取るのは、
難しいなあと改めて思います。

今日の記事はなかなか普段知ることの出来ない話で
面白かったです。
Commented by nenemu8921 at 2011-06-08 08:39
odamakiさん。おはようございます。
山野に多いのはホウノキで、タイザンボクは公園や庭木に多い気がします。
香りを聞くというのは香道でしょうか。いい表現ですよね。
香りに心を傾けるというニュアンスが感じられて。
#2は面白いなと、私も思いました。(^_-)-☆
Commented by nenemu8921 at 2011-06-08 08:44
ocmimikoさん。ありがとうございます。
梅雨に入って、太陽が顔を出さない日が多く、撮影もイマイチです。
雫やぬれた葉の趣など課題はいろいろあるのですが…。
楽しんで、挑戦したいと思います。(^_-)-☆
Commented by nenemu8921 at 2011-06-08 08:53
寧夢さん。
ありがとうございます。
宮沢賢治を読む時に、読者は自分にひきつけて、自分の感覚や思い込みや体験にひきつけて読みたがります。
研究者は自分の感覚を抑制して、賢治の時代、風土、背景を考えて解釈します。
どちらも必要だなと思っています(^_-)-☆
マグノリアは宮沢賢治の仏教的な聖なる心象に繋がるというのは、賢治文学の基本的な解釈です。えへへ…。
理屈ぬきで、ホウの花はすばらしい香りがします。(^.^)(^.^)
Commented by boniy at 2011-06-08 20:41
偶然、小さな手紙というブログのkeikoさんが兄妹の写真で「光の素足」の
物語のことを書いてます。
ほうの木とタイサン木の違いがわからなかったのです。私が関東で見たのはタイサンボクで花巻で見るのがほうの木かしら?
Commented by ぎんがぎが at 2011-06-08 20:45 x
朴ノ木いいですね。大好きな木です。昔、友達のところに居候していたら、村の若い衆が低い位置に咲いていた朴ノ花を持ってきてくれて、台所に一週間。最高でした。
Commented by yamakin716 at 2011-06-09 00:25
ホウの花見たのは47年振りかな、田舎にはいっぱい咲いてたが、木が大きくて花を見る事は少なかったです。
この葉で風車を作って良く遊びましたよ、葉の下が真っ直ぐに伸びてる枝を切って、軽く叩いてると皮が棒から剥がれます。
葉は風で回るように切り、駆け足で風を切って回すんです。
誰が一番よく回るかを競ってたのを思い出しました(笑)
Commented by kimiko_shibata1 at 2011-06-09 12:02
いい状態のホオノキの花に会えましたね。
なかなかちょうどいい時にあたりません。
見上げた一枚は素敵です。

今年はつくば実験植物園に・・・と思っていましたが震災で中断、・・・・
いつか行ってみようと思っていますが、・・・・
Commented by nenemu8921 at 2011-06-09 18:21
boniyさん。
葉を見ると違いがよくわかります。
タイザンボクの葉は光沢があって革質です。
ホオノキの葉はよくご存知でしょう。
関東でも野生のホオノキはあると思いますよ。
タイザンボクはもともとアメリカ原産だそうですから、植栽されたものが多いのでは…。
Commented by nenemu8921 at 2011-06-09 18:25
ぎんがぎがさん。
わあ、良い思い出ですね(^.^)
かなり強い香りですよね♪♪
植物に関する思い出って忘れがたいですね。

Commented by nenemu8921 at 2011-06-09 18:31
yamakinさん。
まあ、47年ぶり!!ですか!!
葉っぱを風車のようにして遊んだのですか!!
すごいなあ。いいなあ。
ヤナギ(カワヤナギ)も皮をむいて、ムチのように使って牛を(馬だったか)、追うシーンの描写が賢治童話にあったと思いますが。
ホオオノキでも同じ感じでしょうか。
子どものときって、きれいな花とか、あまり気にしないのよね。
遊ぶのに夢中で(^_-)-☆
Commented by nenemu8921 at 2011-06-09 18:36
kimikoさん。朴はやはり山ですよね。
毎日山へ入るような生活をしていないと、山のホオノキの花にはなかなか
行き会えないですね。
あつ、東北の山では7月に出会ったことがあります。
フットワークの軽いkimikoさん。きっといつか、行き会えますよ(^_-)-☆
by nenemu8921 | 2011-06-07 19:13 | 植物 | Comments(14)

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