ちひさないそしぎ→ミユビシギ

(ナモサダルマプフンダリカサスートラ)
五匹のちひさないそしぎが
海の巻いてくるときは
よちよちとはせて遁げ
(ナモサダルマプフンダリカサスートラ)
浪がたひらにひくときは
砂の鏡のうへを
よちよちとはせてでる
             詩「オホーツク挽歌」

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ミユビシギ(チドリ目シギ科)三趾鴫

〈ちひさないそしぎ〉は、標準和名のイソシギのことではなく、小さな磯のシギという意味である。
ミユビシギは波打ち際を数羽から数十羽の群れで、チョコチョコと小走りに行き来して採食する。
賢治の表現は、鳥の習性を的確に美しく捉えている。

サガレンの栄浜の情景である。大正12年の夏だった。
ナモサダルマプフンダリカサスートラとおまじないのように挿入されている語句は南無妙法蓮華経のサンスクッリ語読み。
こんな北の海辺は、この世の果てにつながるかのように思え、たよりなく感じられる小さな鳥達を見れば、逝ってしまった妹トシへのいとおしさは増幅して詩人を襲い、思わず、口をついて出てしまったお題目だったろう。

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打ち寄せる波に翻弄されるように、よちよちとはせて逃げ、はせて出るのは、ミユビシギの特性である。

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遊んでいるように見えるが、実際は干潟に嘴を入れてゴカイなどを採取したり、ハマトビムシなどを目当てに餌稼ぎに懸命なのだ。

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名前のとおり、足ゆびが3本で、ほぼハマシギ大。ハマシギの群れと混じって行動していることも多い。このように冬羽のときは、見た印象もハマシギとよく似ている。

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この鳥はほかの多くのシギ類と同じように南からわたってきて、夏シベリアや樺太で繁殖し、秋には南へ帰る。旅の途中、春と秋に日本列島に立ち寄る旅鳥で、一部はそのまま越冬する。

昨日、温かい師走の午後、船橋三番瀬の海岸で出会った。






標準和名のイソシギはこんな鳥です。
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イソシギ(チドリ目シギ科」磯鴫
この鳥は九州、本州、北海道の草地で繁殖し、群れを作ることは稀である。つまり留鳥です。
浜辺より、海岸の岩場や防波堤などを好み、単独で見かけることが多い。

これは以前紹介した画像だが、近くの江戸川で昨年11月3日の撮影。
Commented by odamaki719 at 2011-12-16 18:48
こんばんは✿
少し前にエリザベス・テイラーさんの追悼番組で「いそしぎ」を観ました。
映画の中ではいそしぎが海岸を飛んでいたのですがこんな海鳥だった
のだと改めてシゲシゲと見ました。
枯れ葦のバックに沈む夕陽が美しいですね。
Commented by nenemu8921 at 2011-12-16 19:35
odamakiさん。あれはいい映画でしたね。エリザベスが魅力的でした。
主題歌The Shadow of Your Smile”がとてもよかった…。
原題の「The Sandpiper」はシギの総称です。
ですから日本の標準和名のイソシギとはいえないのです。
群れで飛ぶシーンがあったでしょう。
イソシギは群れで飛ぶことはありません。
昔、野鳥の会のお仲間と何シギか話したことがあります。
カリフォルニアの海岸が舞台だったから~~とか、いろいろ。
もうわすれてしまったけれど。ごめんなさいね。
「いそしぎ」という言葉が美しいので、いいタイトルだと思いましたが。

Commented at 2011-12-16 19:51
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nenemu8921 at 2011-12-16 23:45
鍵コメさん。お忙しいなか、ご親切に色々ありがとうございます。
たいへん、守備範囲が広いのですね(^^♪
いずれ、機会を作って、是非にと願っております。
三番瀬はいつでもご案内しますので、是非声をおかけください。
これからは夕日が綺麗な季節になります。
あっ、表向きは立入禁止ですが、手続きをすれば自己責任で入れます。
Commented by kimiko_shibata1 at 2011-12-17 06:31
シギにはなかなか会えませんが、いつみても優雅な身のこなし!ですね。
楚々とした動作や長い足が素敵です。
私も映画を思い出します。
群れで行動しないのでしたか!
映画も音楽も素敵でしたね。
アメリカの映画がとても素敵で憧れだった若い時代でした。
Commented by 寧夢 at 2011-12-17 10:25 x
こうやってみると、
この季節の風情にぴったりの色合いの鳥だったのですね。
私が幼い頃過ごした海辺の景色にはどんな鳥がいたのか、
全く記憶がないので残念です。

私も「いそしぎ」と聞いて映画を連想しましたが、
内容までは知らないのでした・・・。(^_^;)
Commented by nenemu8921 at 2011-12-17 13:18
kimikoさん。
シギ類はこちらでは沢山の種類が見られ、どれもよく似ていて、いつも識別に苦労します。
無粋なことを申し上げてしまって~~。
映画の「いそしぎ」は「The Sandpiper」が原題で、賢治の表現と同じように磯辺の鴫というニュアンスでしょうね。
標準和名のイソシギは「common Sandpiper」です。
でも、キアシシギは「Grey-rumped Sandpiper」ですし、
クサシギは「Green Sandpiper」で、
タカブシギは「Wood Sandpiper」ですし、
ソシハシシギは「Terek Sandpiper」です。
つまり砂浜で笛をふくように啼く小型のシギ類の総称が「The Sandpiper」でしょうか。
それでも、ツルシギは「Spotted Redshank」で、
アカアシギは「Redshank」で、アオアシシギは「Grennshank」だそうです。
さらにダイシャクシギは~~と、ハマシギは~と。
いまや、自然科学の世界は細分化され、正確には○○であると限定しない方が無難です。
無粋な話でほんとうに冷や汗ですが。
ただ、イソシギ、これがあの映画の「いそしぎ」なのねといわれると、困るわけです。
どうか、ご理解ください。(汗…)
Commented by nenemu8921 at 2011-12-17 13:29
寧無さん。
普通、日本列島でシギチドリがたくさん見られるのは、春と秋です。
温暖化のせいか、東京湾周辺で、越冬するものが増えて居るのかもしれません。
どうも、自然科学的に会話をすると、正確でないと落ち着かないので、無粋な展開になってしまいます。
日頃は何事もアバウトなのに…。(^_-)-☆
子どもの頃の記憶というのはだれでもあいまいなものがありますね。(^.^)
映画は面白かったですよ。シングルマザーのエリザベスと子どもの学校の校長?先生のバートンとの恋を描いた物語だったと思います。
わが道を行くエリザベスが当時としては新鮮な生き方だったのでは!!


Commented by matsu_chan3 at 2011-12-18 15:23
こんにちは
シギたちがそちらで越冬するのですか・・
可愛いシギたちを見れるなんて羨ましいな〜!
Commented by nenemu8921 at 2011-12-19 08:14
natsu_chanさん。
ハマシギは真冬でも群れで見られます。
ミヤコドリも。
でもね、海は広くて近づかせてくれないのですよ(-_-;)
by nenemu8921 | 2011-12-16 18:27 | 鳥・動物 | Comments(10)

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