グミ

そのきらびやかな空間の
上部にはきんぽうげが咲き
  (上等のbutter-cupですが
   牛酪(バター)よりは硫黄と蜜とです)
下にはつめくさや芹がある
ぶりき細工のとんぼが飛び
雨はぱちぱち鳴つてゐる
  (よしきりはなく なく
   それにぐみの木だってあるのだ)
(略)
青ぞらは巨きな網の目になつた
それが底びかりする鉱物版だ
  よしきりはひっきりなしにやり
  ひでりはパチパチ降つてくる
                   詩「休息」


c0104227_8491824.jpg


c0104227_8494198.jpg
アキグミ(グミ科グミ属)
Elaeagnus umbellata 秋茱萸

「グミ科グミ属は、やや南方系の潅木で関東地方で、普通に見られるツルグミやナワシログミは東北地方にはない。ヨシキリやヤナギなどと湿地に共存するのは、アキグミであろう。10月ごろ熟す円い小さなグミである。」という解説がさきに紹介した『宮沢賢治樹木園』にある。

グミとは総称である。詩を書くときにアキグミ、ナツグミ、タワラグミなどと正確な標準和名を明記するわけではない。文学的鑑賞は正確な標準和名にこだわらなくともいいかもしれないが、画像を添えるには、グミ科の植物なら何でもいいというわけには行かない。
作品の背景、制作した季節や作品舞台などを明確にイメージし、フィールドワークの積み重ねがないと、机上の知識だけで対処されてしまうきけんがある。

この詩に登場するキンポウゲなども同様である。以前この作品とともにキンポウゲ、セリを紹介した。
よかったら、こちらも見てね。

先週、つくば実験植物園で撮影したもの。
この季節、まさにきらびやかな空間だった。





つくば実験植物園では、サラサドウダンが開き始めていた。
この花に関しては宮沢賢治作品では言及がない。
賢治はアザリアがお気に入りで、ヤマツツジなどは好まなかったようで、かなり辛らつな悪口を書いている。
美しいベル型のこの花を見たら、きっと気に入っただろうと思うのだが、出会う機会がなかったのだろうか。
c0104227_1083494.jpg
サラサドウダン(ツツジ科ドウダンツツジ属)Enkianthus campanulatus 更紗灯台 別名フウリンツツジ 
園芸種かと思ったがそうではなく、日本固有種。北海道西南部、本州の兵庫県以東、四国の徳島県に分布し、深山の岩地に生育すると、ある。

c0104227_1085567.jpg
ベニサラサドウダン(ツツジ科ドウダンツツジ属)Enkianthus campanulatus var. rubicundus. 紅更紗灯台
これは園芸種ではないかしら。
Commented by yamakin716 at 2012-05-18 11:40
サラサドウダン、ベニサラサドウダンの花を見るのは初めてですが、綺麗な花が咲くんですね。
奥日光の半月山に、このどっちだか判らないがあっちこっちにあり、秋には綺麗な紅葉を楽しめます。
Commented by あだっちゃん at 2012-05-18 19:10 x
グミの花を気にして見た事がありませんでした。
知っているのはタワラグミの細長い赤い実だけかな。
これも美味しいと思った事はありません。
Commented by nenemu8921 at 2012-05-20 04:37
yamakinさん。サラサドウダンはきれいですね。
ツツジ科のなかでは、好きな花です。
そうですか。日光にたくさんあるのですか?
そうですね。紅葉もきれいですよね。
Commented by nenemu8921 at 2012-05-20 04:40
あだっちゃん。グミは、賢治作品に登場するので、覚えました。
赤い実もきれいだなと思います。
房総の海岸で、アキグミの実がたくさん色づいていた景色は忘れられません。
by nenemu8921 | 2012-05-18 10:28 | 植物 | Comments(4)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921