高橋郁男「渚と修羅」
2013年 04月 01日
いつも詩の本を贈ってくださるコールサック社から新刊本が届きました。いつもありがとうございます。
【渚と修羅】
高橋郁男著/解説・鈴木比佐雄
コールサック社・2013.3.27 刊行
定価¥1500+税
震災以後、各地で宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が朗読されたり、今年が賢治没後80年と言うこともあって、
今、宮沢賢治が又様々な切り口で取り上げられ、話題になっています。
そうしたブームのなかには、かなり安易に何でも宮沢賢治や雨ニモマケズを持ち出す動きもあって、
ちょっと複雑な心境になることもありました。
高橋氏は元朝日新聞の論説委員まで務めたジャーナリスト。
震災後、自分の足で東北の地をたびたび訪れ、東北大震災、原発問題と、自らの内なる賢治文学をつなげて論じたこのエッセイは、研究者にとっても賢治ファンにとっても一読の価値がありそうです。
とても読みやすい文章です。
【目次】をご紹介しますね。
Ⅰ その時
Ⅱ 被災地へ
仙台・荒浜海岸
石巻・大川小学校
福島・原発の方へ
Ⅲ 原発の来た道
電気の世紀と賢治の青春
戦争と原爆と「神の領域」
Ⅳ 原発破綻への道
さまざまな死角と「四次元災害」
「開発」という誘惑
死角への挑戦
高木仁三郎と賢治
Ⅴ 脱原発への道
原発には「地元」という限定は無い
Ⅵ 津波と堤防
三陸・田老の長堤から
賢治と三陸海岸
Ⅶ 賢治という「翼」
「雨ニモマケズ」に乗って
賢治と朔太郎
Ⅷ 賢治と東京、東北
東京への憧れ、驚き、違和
「東日本大震災」か「東北日本大震災」か
「東京大震災」への視点
Ⅸ 賢治の「伝言」
花巻の方へ
時を共にするということ
Ⅹ 「時の渚」へ
犠牲と英雄と「銀河鉄道の夜」
新しい波を生みだす渚
Ⅺ 年が明けて
Ⅻ 3・11ふたたび
XⅢ 再稼働と賢治の「慢」
「後書き」に代えて 高橋 郁男
引用、参考図書などについて
解説 賢治の「翼」を「未来に向けて書き記す」人 鈴木 比佐雄
『渚の修羅』と言うタイトルから、宮沢賢治がイギリス海岸のことを修羅の渚と
歌ったことを思い出しました。
イギリス海岸の歌はこんなのです。
Tertiary the younger Tertiary the younger
Tertiary the younger Mud-stone
あをじろ日破れ あをじろ日破れ
あをじろ日破れに おれのかげ
Tertiary the younger Tertiary the younger
Tertiary the younger Mud-stone
なみはあをざめ 支流はそそぎ
たしかにここは修羅のなぎさ
Tertiary the younger Mud-stoneは、新第三紀の泥岩の意。
宮沢賢治の人気がある証拠かな。