白馬五竜で出会った植物 ③  アスティルベ

北いっぱいの星ぞらに
(略)
  ……あちこち白い檜の木立と
    降るやうな虫のジロフォン……
橙いろと緑との
花粉ぐらゐの小さな星が
互にさゝやきかはすがやうに
黒い露岩の向ふに沈み
山はつぎつぎそのでこぼこの嶺線から
パラフヰンの紐をとばしたり
突然銀の挨拶を
上流かみの仲間に抛げかけたり
  Astilbe argentium
  Astilbe platinicum
いちいちの草穂の影さへ落ちる
              詩〔北いっぱいの星ぞらに


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ヤマブキショウマ(ユキノシタ科チダケサシ属)Aruncus dioicus var. tenuifolius 山吹升麻

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トリアシショウマ〔ユキノシタ科チダケサシ属)Astilbe thunbergil var. congesta 鳥足升麻

作品は早池峰山麓の夜の光景。星空を歌った詩。1924年8月16日から17日にかけて、
早池峰山を夜歩き登山した時のものらしい。
Astilbe argentium(アスチルベ・アルゲンティウム)は、銀のアスチルベ。
Astilbe platinicum(アスチルベ・プラチニクム)は、)白金のアスチルベの意。ラテン語である。
いかにも学名っぽいが、実際にはこういう名のアスチルベはない。賢治の造語だろう。
金属的な比ゆや形容詞はいかにも賢治好みである。
夜空の星は確かに肉眼で見れば、花粉ほどの大きさだろうし。
最近はアスティルベという園芸品種が花屋にたくさん出回っている。
色もピンクや紅色など実に多彩である。
早池峰山に多いのはヤマブキショウマやトリアシショウマである。
ここ白馬五竜でもそれらが目立った。
これらの花を星空のもとで見たら、銀やプラチナ製に見えるだろうか。





早池峰で見かける花が多かったせいで、つい、賢治の詩の引用が多くなりました。
もちろん、他にもたくさん花はあったのですよ。

咲きはじめたばかりでした。
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コバギボウシ(リュウゼツラン亜科ギボウシ属)Hosta sieboldii 小葉擬宝珠

この花も可憐でした。花は5,6cm。高山植物って小さいのに存在感が強いですね。
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クルマユリ(ユリ科ユリ属)Lilium medeoloides 車百合
Commented by kobane99gi at 2013-08-02 09:04
おはようございます! (ご挨拶だけでも元気に…)
『花粉くらいの星』 研究者ならではの表現かもしれませんね。
満月の夜だったら、草花も金銀をまとえるかな??

6枚目、特に好きです。花が何か語っていそう。
Commented by saitamanikki2008 at 2013-08-02 14:00
こんにちは。
これが高山に咲く アスティルベですか。
園芸種しか知りません。
本来は 高山植物なんですネ
ところで、山の気温は、いかがでしたか ?
8月 真夏なのに朝夕は涼しく。。。過ごしやすいですが。。。
東北は、まだ梅雨明け前なんですよネ。
Commented by borancha at 2013-08-02 17:53
撮るのが難しいショウマを綺麗に撮りましたね。
私が撮ると、いつもピンボケになってしまいます。
ショウマの仲間はどれも似ていて名前が分かり難いです。
詳しくご存知ですごい!
Commented by あだっちゃん at 2013-08-02 18:46 x
ヤマブキショウマやトリアシショウマは地味な花ですが、存在感はありますね。
山登りの時はどちらかと言うと山麓に多いですね。
Commented by マングース at 2013-08-02 21:07 x
こんばんは。
白馬へ行ってもnenemu8921さんの想いは
イーハトーブへ飛んでいっているんですね^^
いつか早池峰山でこれらの花を見てみたいものです。
宮沢賢治の造語はいかにもありそうな言葉が多いですね!
植物分類学をやっていたらたくさんの植物たちの名付け親となっていた
でしょう(^_-)
Commented by Sippo5655 at 2013-08-02 22:42
この広がりが、たまりませんね。
花火
これもまた、花火だ・・・
蝶がまたお似合いですね♪

こんな詩が詠まれていたなんて
日本人に生まれて、良かった・・・♪
Commented by h6928 at 2013-08-02 23:03
属名のチダケサシって、「乳茸刺し」ですよね、確か。
手ぶらで山に行って乳茸を見つけたときに、
ちょうどそこらにあった植物で突き刺して持ち帰る・・・・・・
形と堅さがちょうど実用的で、しかも無毒。
昔の人(ボクも?!)は、何でもあるものを生活に活かしたんですね。
Commented by nenemu8921 at 2013-08-03 09:29
kobaneさん。お早うございます。
今朝は気持ちよく晴れました。久しぶりです。
#6、ありがとう。
Commented by nenemu8921 at 2013-08-03 09:32
saitamanikkiさん。
アスティルベは最近園芸店で、急増していますね。
丈夫で育てやすいので。
チダケサシという原種は里山でも見かけます。
園芸種にはない清楚さがすてきです。
Commented by nenemu8921 at 2013-08-03 09:36
boranchaさん。そうなんです。
いざとなるといい画像がないのよ。
山では、いつも見かける花なのに。(^_-)


Commented by nenemu8921 at 2013-08-03 09:38
あだっちゃん。そうですね。
山男にはおなじみの花ですよね。
たいてい、登山口あたりには多いですよね。
ここは何でもありで、すごいなと思いました。
Commented by nenemu8921 at 2013-08-03 09:41
マングースさん。どうも賢治オタクで冷汗です。
デモね、イーハトーブはあなたの心の中にあるのですというように、
賢治の詩句は普遍的です。
ご推察のとおり、宮沢賢治はネーミングの名人でした!!
Commented by nenemu8921 at 2013-08-03 09:47
Sippoさん。
花火ですね。なるほど。
夜空の星を花火といったら凡庸ですが、拡がる散形花を花火というのは面白いですね!!
宮沢賢治って面白いんです。
お時間があったら、ぱらぱらでも読んで欲しいです。
Commented by nenemu8921 at 2013-08-03 09:53
h6928さん。
そうです。よくご存知ですね。
最近の園芸種は属名でネーミングされ、流通されているものが多いですが、
語源を認識している人は少ないでしょうね。

by nenemu8921 | 2013-08-02 07:21 | 植物 | Comments(14)

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