幻の仙人草

(略)
《雪ですか 雪ぢゃないでせう》
困ったやうに返事してゐるのは
雪ではなく 仙人草のくさむらなのだ
さうでなければ高陵土(カオリンゲル
(略)
          詩「東岩手火山」

c0104227_23184099.jpg


c0104227_23194957.jpg


c0104227_23195407.jpg
 センニンソウ(仙人草)(Clematis terniflora)キンポウゲ科センニンソウ属センニンソウ
日本各地に分布し、日当たりのよい山野に多く見られる。花は8~9月に咲く。多数の白い花をつける。4枚の花弁に見えるのは萼片で、本当の花弁はない。果実には白い毛がありこれを仙人のひげに見立てたことからのネーミングらしい。つる植物で、長く茎をのばし、節ごとに葉を対生し、花の時期は白い塊に見える。

高陵土(Kaolinite)は、粘土鉱物の一種。高陵石ともいう。Kaoliniteの名は中国の有名な粘土の産地である江西省景徳鎮付近の高嶺(カオリン・Kaolin)に由来する。
高嶺で産出する粘土は景徳鎮で作られる磁器の材料として有名である。同質の粘土(鉱石)は、カオリン(Kaolin)、または陶土(china day)と呼ばれる。ーWikipediaによるー

「東岩手火山」は、『春と修羅』に収められた作品。
1922年(大正11年)9月18日、農学校の教師をしていた賢治が生徒たちを連れて岩手登山をした時の体験に基づいている。
「月は水銀 後夜の喪主 火山礫は夜の沈澱 火口の巨きなゑぐりを見ては たれもみんな愕くはずだ」と格調高い語句で始まるこの詩は、岩手山讃歌ともいうべき素晴らしい作品で、声に出して読めば一層その感が強くなる。

今年の夏はあちこちでこのセンニンソウの群落を見たので、以前から気になっていたこの一節に触れることにした。
画像は外川駅の裏の叢で出会ったもの。
季節的にはセンニンソウが咲いてもおかしくないが、岩手山頂に、高山植物ではないセンニンソウは咲くことはない。
9月18日という日付を見れば、残雪もないだろうし、まだ初雪も遠い。
高陵土も火山の山に存在するとは思えない。
「宮沢賢治地学用語辞典」(加藤碩一・愛智出版)に、高陵土についての項目がないのは残念である。
詩人は作品の中で、時として、言葉による詐欺師ともなる。詩とは言語化することで、創出される宇宙である。観察日記とは違う。


   

Commented by gigen_t at 2017-09-21 05:58
 オハヨウゴザイマス、 こちら 朝晩は大分 涼しくなりました。 特に今日は雲ひとつない 晴天、 それだけに 寒いほどです。さて、センニンソウ 始めてお目にかかります。 清楚な姿、加えて 撮影者の心遣いと申しましょうか、 工夫された撮影で 篤と その姿を知り得ました。 後段の センニンソウの 謂われも 拝読いたしました。
Commented by h6928 at 2017-09-21 09:42
センニンソウの大株なら、ちょっとしたやぶを覆い尽くして、
白い花をびっしり咲かせていると、詩人の感性なら
初冠雪や白磁を連想させるかもしてませんね。
と、凡人なりに理解してみました。
それにしても、センニンソウがこれだけ緻密に咲いているのって少ないでしょう?
これだったら、遠目に見れば淡雪だって連想できそうです( ^ω^ )
Commented by ha128256ak at 2017-09-21 15:20
今年はセンニンソウを何回か撮りました。
最近は草刈りが良く行われ、昔より少なくなってきました。
綺麗な野草だと思います。
Commented by nenemu8921 at 2017-09-22 11:32
gigenさん。
どうも粗忽な撮影で冷や汗です。
センニンソウはお近くでも、きっと見られると思います。
私はどういうわけか、野草の小さな花に惹かれます。
Commented by nenemu8921 at 2017-09-22 11:35
h6928さん。
お心くばり、ありがとうございます。
淡雪への連想、そうですね。
イマジネーションから言語へ、言語から言語へと飛翔するのが賢治ワールドでもありますね。
Commented by nenemu8921 at 2017-09-22 11:45
あだっちゃん。
センニンソウとか、ボタンズルやノブドウは刈り取ってほしくないですね。
花が咲く前に刈られてしまうのですよね。(>_<)
最近の水元公園では細かく指示しています。

by nenemu8921 | 2017-09-21 00:47 | 植物 | Comments(6)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921