木の実、草の実、賢治の実 ③

野原はさびしくてもさびしくなくても、とにかく日光は明るくて、野葡萄はよく熟してゐます。
そのさまざまな草の中を這って、まっ黒に光って熟してゐます。
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耕平は、一等卒の服を着て、
野原に行って、
葡萄をいっぱいとって来た、いいだらう。

耕平は、潰し葡萄を絞りあげ、
砂糖を加へ、
瓶にたくさんつめこんだ。

耕平が、そっとしまった葡萄酒は
順序たゞしく
みんなはぢけてなくなった。
       
       童話「葡萄水」より

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友人から珍しい葡萄水をいただいた。ジュースを作るつもりがお酒になってしまったとのこと。
まるで耕平みたいだなと思って、ありがたく頂戴した。
ガラスの瓶に入れて冷蔵庫で冷やし、バカラのグラスで味見をしました。(^_-)-☆
(しかし部屋の中では写真がうまく撮れなかった…)
酸味の強い赤ワインのような味がしました。すごくおいしい。
童話「葡萄水」の中で、賢治が野葡萄と書いているのはヤマブドウのことです。




そっちの方から、もずが、まるで音譜をばらばらにしてふりまいたやうに飛ん来て、みんな一度に、銀のすゝきの穂にとまりました。
めくらぶだうは感激して、すきとほった深い息をつき葉から雫をぽたぽたこぼしました。
東の灰色の山脈の上を、つめたい風がふっと通って、大きな虹が、明るい夢の橋のやうにやさしく空にあらはれました。
そこでめくらぶだうの青じろい樹液は、はげしくはげしく波うちました。
                             童話「めくらぶだうと虹」
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標準和名のノブドウは、賢治の世界では「めくらぶだう」です。
もずはムクドリのこと。こちらに解説があります。http://nenemu8921.exblog.jp/6243205/
めくらぶだうも賢治の百舌も、みな当時の土地の人々はそう呼んでいたわけです。
動植物の標準和名が広く人口に膾炙されるようになったのは、テレビが普及した1960年代以降です。







おまけです。
紅い葡萄もありました。(@_@)??
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これはイイギリの実ですね。
葡萄みたいでしょう。?

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賢治作品には登場しません。
いかに塩害がひどかったか、葉が黒ずんで縮んでいるのがわかりますか。


Commented by rinrin1345 at 2017-11-21 18:54
な~んだ、もずがムクドリだったのね。音譜をばらばらにしてふりまいたように・・・なんてすごい表現ですね。あらめて深く感心してしまいます。
めくらぶどうは、母があれは毒がある、と教えてくれたので、食べたらめくらになると思ってました。色的に、なんだか納得してたのかも、こちらには「やまの木ブドウ」があるのでそれが野葡萄と思ってました。
Commented by matsu_chan3 at 2017-11-22 06:54
おはようございます
ヤマブドウのジュースを友人から毎年いただいてます。
搾りたてということもあり美味しいですね。
山歩きしてヤマブドウを見つけると味見をするのも大好きです。
Commented by nenemu8921 at 2017-11-22 21:23
rinrinさん。
「賢治のモズはムクドリです」という真理は「賢治鳥類学」で、
明確に論じ、多方面で話題にもしていただいたので、皆さんご存知かと思いました。
もっとポピュラリティのある形で発信しないとダメなのかなあ。
めくらぶどうという名は、残念なことに現在ではほとんど使われていませんね。
「やまの木ブドウ」は、いい名前ですね。
標準和名で言えば、ヤマブドウとかエビズルのことでしょうね。
母上にもっといろいろ教えてほしかったですねえ。
Commented by nenemu8921 at 2017-11-22 21:33
matsu_chanさん。
ヤマブドウのジュースは格別でしょう。
ヤマブドウ酒はさらにおいしいですよ(^_-)-☆
本当に甘いですね、この葡萄も味見しましたよ。(^^♪
by nenemu8921 | 2017-11-21 01:07 | 植物 | Comments(4)

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