【92】 カタクリ

  その窪地はふくふくした苔に覆はれ、所々やさしいかたくりの花が咲いて
  ゐました。

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  若い木だまには、そのうすむらさきの立派な花はふらふらうすぐろくひらめく
  だけで、はっきり見えませんでした。 

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却ってそのつやつやした緑色の葉の上に次々せはしくあらはれては又消えて
  行く紫色の怪しい文字を読みました。
  「はるだはるだ、はるの日がきた」字は一つづつ生きて息をついて、消えてはあら
  はれ、あらはれては又消えました。

                                        童話「若い木霊」
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カタクリ(ユリ科カタクリ属)片栗
丘陵地の北側や山地にかけて生える多年草で、群生することが多い。
葉には紫色の斑紋が出る。

「若い木霊」の幻想に誘われるように、カタクリの群生地を下野に訪ねました。
ようやく開き始めたばかりの風情でした。
日が差し、カタクリが開き、影が揺れ…、光と影の織り成す不思議な時空間を私の拙いカメラ力では十分に捕らえきれず残念です。
宮沢賢治は、その不思議さを、若い木霊の青春期の官能に託すかたちで、言葉で構築していて、すばらしいなあと思います。
ことにカタクリの葉の斑紋を怪しい文字のメッセージとしているのも面白いですね。
Commented by bella8 at 2007-03-21 18:59
nenemuさん、昨日はお疲れ様でした。
楽しかったですね。
カタクリの花は動きがあってロマンティック!
光と影がとっても素敵に表現できていますね。

カタクリの葉を怪しい文字のメッセージとして見るあたり、
賢二さんのユーモアのセンスが光ります。

Commented by nenemu8921 at 2007-03-22 00:59
bellaさん。ありがとう。
あなたのブログも拝見しました。
すごくファンタスティックに撮れていますね。(*^_^*)
またご一緒しましょうね。
by nenemu8921 | 2007-03-21 00:07 | 植物 | Comments(2)

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