【95】 はんの紐→ハンノキ

(春が来るとも見えないな)
(いや、来るときは一どに来る
 春の速さはまたべつだ)
(春の速さはをかしいぜ)
(文学亜流にわかるまい
 ぜんたい春といふものは
 気象因子の系列だぜ
 はじめははんの紐を出し
 しまひに八重の桜をおとす
 それが地点を通過すれば
 速さがそこにできるだらう)
          詩「実験室小景」


c0104227_1547710.jpg
ハンノキ(カバノキ科ハンノキ属)榛の木
低地の湿地に生え、高さ20mくらいになる落葉高木。
2~3月、葉よりも早く花を開く。雄花花序は長さ4~7cmで尾状に2~5個たれさがる。雌花花序は雄花序の下部の葉脈に1~5個つく。雄花は成熟すると長さ1.5~2cmの卵状楕円形の果穂となり、これは翌春まで残る。

c0104227_1545019.jpg
          はんの紐(雄花花序)

c0104227_15591614.jpg
          残った雌花の果穂

実験室での会話風の作品である。1927年2月18日の日付があるから、春を待ちわびる心情から発展していったのだろうか。
北国の春一番の兆しは、ハンノキのこの紐である。それからヤナギが芽を噴き、カタクリやイチゲが咲き始める。八重桜はソメイヨシノの散ったあと咲くので、一番最後の春の仕上げともいえる。
春とは気象因子の系列だよ、とは賢治らしい表現だ。

画像は、ここ数日前の胡四王山のふもとの光景。
by nenemu8921 | 2007-03-26 16:16 | 植物 | Comments(0)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921