【112】 ナスタンシャ→ ナスタチューム

古びた水いろの薄明穹のなかに
巨きな鼠いろの葉牡丹ののびたつころに
パラスもきらきらひかり町は二層の水のなか
  そこに二つのナスタンシャ焔
  またアークライトの下を行く犬
    (以下略)             
            詩〔古びた水いろの薄明穹のなかに〕

ナスタンシャ
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ナスタチューム(ノウゼンハレン科キンレンカ属)
和名を金蓮花という。ノウゼンハレンは凌霄葉蓮。
ハーブの仲間として人気がある。花、葉、茎、種も食用に適す。さわやかな辛味があってサラダなどに向く。
栽培は簡単。耐寒性はないが、こぼれ種で発芽し、丈夫に育つ。
最近では珍しくもない園芸種だが、この時代にこんな花も栽培していたのだろうか。ナスタンシャという表現を理解できた読者はいただろうか。

古びた水いろの薄明穹とは、ここでは夕暮れどきの雰囲気の賢治風形容である。
パラス ( Pallas) は太陽系の小惑星の一つ。1802年3月28日にドイツの天文学者ハインリヒ・オルバースにより発見され、ギリシア神話に登場するトリトンの娘パラスにちなんで命名された(ギリシア神話にはもう一人、パラスという名の男性が登場するが、初期の小惑星はすべて女性名が付けられた)。
実際に小惑星が肉眼で見えるわけではなく、その存在を感じるような…雰囲気、心情というところ。
二層の水のなかは、夕闇の暗さと明るさと。あるいは春と冬との空気感か。
アークライトはアーク燈。弧光燈。当時の街灯。
春。葉牡丹の茎が立つ季節にはナスタチュームも焔のように咲きはじめた。
葉牡丹の画像日付でも明らかなように、ここ関東では今時分の光景だが、作品には1927年、5月7日の日付がある。「詩ノート」の作品。この時期の詩はモノローグ風のものが多い。
Commented by ブドリ at 2007-04-18 00:13 x
はじめまして。
賢治の作品と植物を照らして紹介してらっしゃるのですね。
とても参考になります。
私は宮沢賢治が好きでハンドルネームととブログ名「心象スケッチ(新)」(新というのは、一度引越しをした際につけただけです)にちょっとお借りしているんです。
これを機にこれからも読ませていただきます。
Commented by nenemu8921 at 2007-04-18 01:36
おお、ブドリさん、ようこそ。
お名前からして、兄弟気分になりますね。(*^_^*)
こちらこそ、どうぞ、よろしく。
ブログ、拝見しました。俳句と画像、都会的でステキですね。
よろしかったら、相互リンクしませんか。
何しろ兄弟気分ですから。
by nenemu8921 | 2007-04-16 18:47 | 植物 | Comments(2)

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