【116】 ヒナゲシ

ひなげしはみなまっ赤に燃えあがり、めいめい風にぐらぐらゆれて、息もつけないやうでした。                                       童話「ひのきとひなげし」
テクラと呼ばれたひなげしは、この一むらの中では、いちばんかがやいて一番大きく、そしていちばんかしこかったのです。
                                   童話「ひのきとひなげし」初期形
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画像提供はnamiheiさんです。

小さいひなげしの花が、さびしく燃えながらひとりごとを云ひました。
「わたしなんか、まるでつまらないわね、美しくさへなれたら、もうあしたの晩死んだっていいんだけれど。」
                                  童話「ひのきとひなげし」初期形
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となりの花が云ひました。
「わたしだってさうよ。だって美しいことのほかに、わたしらの命なんてないんでせう。」
「あら、あなたの位立派だったら沢山だわ。あなた、本当にお立派よ。まるでお日様のやうよ。あなたの位になれたら、わたし悪魔のうちへ下女奉公にでも何でも行くわ。」
                                  童話 「ひのきとひなげし」初期形

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ヒナゲシ(ケシ科ケシ属)雛罌粟
耐寒性の1年草。別名虞美人草。

美しくなりたい!という願望で悪魔に魂を売り渡す物語は、古今東西の文学の古典的テーマである。
賢治文学では、危ないところでひのきが登場して「はらぎゃあてい」と叫び、蛙に化けた悪魔からひなげしたちを救う。
この初期形はお説教調が強いせいか、後に手を入れて大幅に改稿している。
Commented by ブドリ at 2007-04-22 22:59 x
陽を浴び、風に揺られているひなげしは美しくなりたいという願望が必要ないほど綺麗ですよね。
そういう心に潜む願望に着目する視点が鋭いですよね。

追伸
私のブログに以前からコメントを頂く方の中にすでにネネムさんとおっしゃる方がいるんです。そこで実に勝手なお願いなのですが、コメントを頂く時にこちらで表記されているnenemu8921さんまたはnenemuさんとお書き頂けないでしょうか。申し訳ありませんがご協力お願いいたします。
Commented by nenemu8921 at 2007-04-23 00:02
あら、それは失礼しました。
今後はnenemu8921といたしましょう。
もうひとりのネネムさんはどんな人かしら??

「ひのきとひなげし」では、一生懸命なひのきがまるで、注目されないのが、また面白いですね。( ̄▽ ̄)V 
Commented by ネネムことマルメロ at 2007-04-23 01:02 x
ネネム8921さんはじめまして。
ブドリサンところで勘違いしておりましたネネムです。
賢治の世界をさまよう者としてブドリサンのコメントにいつもお邪魔しておりました。
それとは別に身の回りの花々を撮ることに目覚めてしまった昨今です。
こうして花々と賢治の世界が一緒になった世界に迷い込みとんでもない感激でいっぱいでおります。
Commented by nenemu8921 at 2007-04-23 02:15
まあ、ようこそ。ネネムさん。nenemu8921です。
わがファミリーよ。
賢治文学が好きで、身の回りの花を撮ることが好きで、その上、ネネムだなんて、共通点がたくさんありますね。(*^_^*)
もしかしたら、もうひとりの私かしら!!
嬉しいような、恥ずかしいような気分です。
どうぞ、よろしく。
時々、おしゃべりいたしましょう。

今夜はお掃除をしていて、こんな時間になってしまいました。
夜中に床磨きするのが趣味というわけではないのですが…。
おやすみなさい。

Commented by pianix at 2007-04-23 15:33
nenemu8921さん
イーハトーブ・ガーデンは素晴らしいですね。
文学に疎い私でも楽しめます。
ヒナゲシの種類はたくさんありますが、どれも真ん中の部分が面白いと思っています。帽子を持ち上げて種を蒔くなんて、粋なことをやりますから。でも、私はチューリップの真ん中が恐いのです。覗くたびにぞっとします。花好きの人からは、「何を言うか、こんな可愛い花を」と怒られています。
Commented by nenemu8921 at 2007-04-23 20:08
pianixさん。繊細ですね。
確かにチューリップが大きく開いている様子はちょっとドキッとしますね。
文学に疎いなんておっしゃらないで。
宮沢賢治はたくさん作詞や作曲もしていて、それが独特で、面白いんです。
どうぞ、今後ともよろしく。
Commented by namiheiii at 2007-04-23 21:26
テクラとはこいつだったのか!数年前のあの日の強い陽射しをありありと思い出しています。
Commented by nenemu8921 at 2007-04-23 23:14
namihei先生。
やはり強い日差しのもとで撮ると、このようにくっきりと、テクラ容姿になるのでしょうか。
ピッタリでしょう。この画像を見て、銀河の果てで、宮沢賢治はにっこりうなずいたと思います。
Commented by kaori at 2007-05-13 00:39 x
遊びに来ました。
『ひのきとひなげし』大好きです。あまりにもきれいでしばらく見つめていました。やっぱりいつか『ひのきとひなげし』の朗読したいです!

今も昔も女性の美しくなたいという願いは変わらないのですね!
Commented by nenemu8921 at 2007-05-13 03:04
kaoriさん。ようこそ。
ききたいなあ。「ひのきとひなげし」の朗読。
あまり朗読には取り上げられない作品ですよね。
ぜひいつかチャレンジしてください。
by nenemu8921 | 2007-04-22 09:34 | 植物 | Comments(10)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921