【119】 紫雲英(ハナコ)→レンゲソウ

酸っぱい胡瓜をぽくぽく噛んで
みんなは酒を飲んでゐる
……土橋は曇りの午前にできて
   いまうら青い榾のけむりは
   稲いちめんに這ひかゝり
   そのせきぶちの杉や楢には
   雨がどしゃどしゃ注いでゐる……
みんなは地主や賦役に出ない人たちから
集めた酒を飲んでゐる
……われにもあらず
   ぼんやり稲の種類を云ふ
   こゝは天山北路であるか……
さっき十ぺん
あの赤砂利をかつがせられた
顔のむくんだ弱さうな子が
みんなのうしろの板の間で
座って素麺(むぎ)をたべてゐる
   (紫雲英(ハナコ)植れば米とれるてが
   藁ばりとったて間に合ぁなぢゃ)
こどもはむぎを食ふのをやめて
ちらっとこっちをぬすみみる
            詩「饗宴」


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レンゲソウ(マメ科ゲンゲ属)蓮華草
中国原産の2年草。根に根粒菌がついて空気中の窒素を固定できるため、もともとは緑肥として利用されてきた。これが水田地帯を中心に野生化したもの。
別名ゲンゲ。紫雲英(しうんえい)は、レンゲソウの漢名。花巻地方では、方言か、俗名か、ハナコと呼ぶことが多かった。

部落の共同作業、土橋つくりのあとのご苦労さん会の饗宴である。
宮沢賢治はこの時期、羅須地人協会活動を本格的に始めた時期であった。
慣れない労働に疲れ、ぼんやりしている詩人の耳に「れんげを田に植えたら米がたくさん獲れるって?藁ばかり獲れたって間に合わないさ」と誰かの声が響く。
下書稿をよむと、賢治自身が子どもと同じように疲れ、半人前の仕事しかできない自身への無力感、屈辱感がにじんでいる。
Commented by mayaha at 2007-04-27 10:36
子供の頃、田起しの前は何処も蓮華畑でした。ハナコ、どんなイントネーションかな~と想像しています。
オキナグサ、ありがとうございました。(*^-^)ニコ
Commented by nenemu8921 at 2007-04-27 18:40
mayahaさん。こんにちわ。
レンゲ畑は懐かしいですね。最近では、なかなか行き会えませんね。
レンゲの蜂蜜もおいしいのよね(*^_^*)
by nenemu8921 | 2007-04-25 22:54 | 植物 | Comments(2)

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