【129】 アンテリナム←キンギョソウ

夜の間に吹き寄せられた黒雲のへりが
潜んだ太陽に焼けて凄まじい朝になった
今日の設計には
あの悪魔風の鼠と赤とを使ってやらう
口をひらいた魚のかたちのアンテリナムでこさえてやらう
いまにあすこはみんな魔窟にかはるのだから
(略)                詩ノート「悪意」


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キンギョソウ(ゴマノハグサ科キンギョソウ属)
アンテリナム( Antirrhium majus)は学名。地中海沿岸原産の1年草。
花の色は赤・桃 ・白 ・橙 ・黄 ・複色。
矮小性のリナリア(ヒメキンギョソウ)など、種類も多い。
花の形が独特なので、ドラゴンスナップ(英名)などと多彩な名前を持つ。
金魚の養殖で有名な愛知県弥富市の市の花にもなっている。

宮沢賢治は文学的レトリックともいえるが、植物に対して独特のイメージを持っていたようだ。
作品の背景には、教え子のひとりから花巻温泉の花壇設計の助言を求められたものの、温泉街が魔窟?歓楽街になることを憂える気持ちが強く作用している。
悪意をこめてアンテリナムを植えてやろうとつぶやいているのだが……。
この日の朝の空模様がそんな連想をさせるような凄まじいものだったのだろうか。
キンギョソウは実際育ててみるとかわいい花だ。
Commented by マルメロ at 2007-05-13 23:05 x
キンギョソウといえば昔の昔から庭に置かれている花として身近な花。賢治が草花を英名で書き表していることでどの花もドラマチックなイメージをもって読んでいたことを思い出します。だからキンギョソウと説明戴くとふ~ん可愛い花なのにとやはり思います。そうアンテリナムっと聞くとおどろおどろしい風になりますもんね。こういった語感も大きな要素になるのだろうなと思いましたが。
Commented by nenemu8921 at 2007-05-14 00:29
マルメロさん。こんばんわ。
本当にそうですね。言葉のひびきやイメージもあって書いていますね。
自然科学の見識と文学と融合している世界ですよね。
賢治を読んでから見れば、よく知っているはずの花もまた新しい印象を受けます。

by nenemu8921 | 2007-05-12 13:03 | 植物 | Comments(2)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921