【139】 スイバ  オオバコ

それでは計算いたしませう
場所は湯口の上根子ですな
(略)
そしてやっぱり川からは
一段上になるでせう
畦やそこらに
しろつめくさが生えますか
上のほうにはないでせう
そんならスカンコは生えますか
マルコや ・ ・ はどうですか
土はどういふふうですか
くろぼくのある砂がゝり
はあさうでせう
けれども砂といったって
指でかうしてサラサラするほどでもないでせう
(略)
さてと今年はどういふ稲を植えますか
この種子は何年前の原種ですか
肥料はそこで反当いくらかけますか
(略)
               詩〔それでは計算いたしませう〕


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スイバ(タデ科ギシギシ属)←スカンコ
田畑のあぜ道など、人里近くにふつうに生える多年草。酸葉。
スイコ スカンコ スカンポ スイスイなど地方名も多い。葉や茎に、蓚酸(しゅうさん)カリウムを1%含み、酸っぱい。かっては、子ども達は若い葉や茎をかじって、味わった。酸葉は古代から、のどの渇きをいやすために、この葉を吸ったことに由来。若茎、若葉は食用。ハーブではソレルの名で親しまれている。
雌雄異株で、雄花と雌花は別の株につく。雌花は朱紅色。雄花は緑色。

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オオバコ(オオバコ科オオバコ属)大葉子←マルコ
人が踏みつけるような道端に多い多年草。マルコは地方名。他にもワダチソウ、オンバコ、ゲーロッパ、スモトリグサ、ズイコなどの地方名は200近くあるという。
漢名は車前(シャゼン)で、車の通る道によく生えることによる。
最近では、ヨーロッパ原産の帰化植物、ヘラオオバコが増えている。


宮沢賢治は農学校を退職後、羅須地人協会活動のかたわら、花巻およびその近郊に肥料設計事務所を開設して、農民の肥料相談に応じた。おもに、土壌改良、ことに酸性土壌の石灰混合による土性改良に力を注いだ。肥料設計とは、農地の土質や作物の条件に最も適した肥料の質、量とその配合などの見積もり計算をすること。
その折りの農民とのやり取りを詩にしたもの。これを読むと、日照、通風、土色、潅水、地味、地質、耕起、排水などの様子をこと細かくたずね、その上で指導していた様子がわかる。
スカンコ、マルコなどの土着的な表現は農民とのやり取りゆえであろう。
この種の肥料相談設計は2000件を超えたといわれる。その詳細な設計表も残されているが、肥料設計に関する詩も多い。
Commented by こにタン at 2007-05-26 21:19 x
スイバもオオバコも子どもの時には馴染み深い植物でした。
スイバの茎をかじったり、オオバコで草相撲をしていました。
賢治の詩、面白いですね。
Commented by namiheiii at 2007-05-26 22:52
山で道に迷った時オオバコを見たら人家が近いと教えられました。
Commented by ブドリ at 2007-05-27 00:22 x
スイバは馴染みが薄いですね。
記録を読むと本当に細かな状況を聞いて、細かく肥料設計していたんですよね。病床でも相談にのって。
詩で面白く書いてますけどどれほど農民の力になったことでしょう。
Commented by nenemu8921 at 2007-05-27 07:52
こにタンさん。
最近の子ども達も草花で遊ぶのでしょうか?
桃の木川で、子どもの時、よく草つみをしました。
Commented by nenemu8921 at 2007-05-27 07:56
namiheiせんせい。
このあたりはオオバコは少なく、ヘラオオバコばかりです。
東京湾(三番瀬)に近く、港湾施設が多いせいか、帰化植物の進入も早く、多いようです。
Commented by nenemu8921 at 2007-05-27 08:01
ブドリさん。
賢治の指導を受けた農民の方からお話を聞いたことがありますが、当時は、よく理解できなかったといいます。
賢治は孤独だったと感じました。
でも作品の上ではユーモアをこめて描いていますね。
by nenemu8921 | 2007-05-26 15:52 | 植物 | Comments(6)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921