チーゼル



  どこからかチーゼルが刺し
  光パラフヰンの 蒼いもや
  わをかく わを描く からす
  烏の軋り……からす機械
(略)
                詩「陽ざしとかれくさ」
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チーゼル(マツムシソウ科ナベナ属)
ヨーロッパ原産の二年草、葉は皮針形。6~8月ごろ、淡紫色の細かな花が密生した大きな頭状花序をつける。果実の穂にある小包片は極めて多数で、先端が鉤(かぎ)状になっているので羅紗製造の際、起毛に用いる。
別名を羅紗掻草(らしゃかきぐさ)、鬼ナベナとも言う。

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この作品に関して賢治の弟の宮沢清六さんが、解説めいたていねいなご文章を残している。
「あたりがしんと静まり、気圧の重さで空気がみんみん鳴るようでもある。
実習服の破れ目か首すじからか、枯草がチクチクからだを刺し、丁度、薊刷毛(チーゼル)でもからだのなかにあるようだ。
そこで向きを変えれば、杉の梢が1列目に見えてくる。
実習の疲れと、空腹のために意識がぼんやりし、だんだん足も頭も軽くなって、からだが空気の中に浮び上り、目の前に青く光ったパラフィンのもやのようなものが見えてくる。」
(略)」
                                     『兄のトランク』(筑摩書房)より。




   
Commented by mo-su1717 at 2007-07-12 21:54 x
チーゼル初めて見せていただきました。花後ラシャの起毛に使ったのですね。
Commented by nenemu8921 at 2007-07-13 00:06
大阪の岸和田市では、明治期からこれをたくさん栽培していたようですね。
最近ではハーブ・ガーデンでよく見かけますね。
Commented by マルメロ at 2007-07-13 01:00 x
チーゼルの花姿に一目ぼれです。花が密生した大きな頭状花序・葉は皮針形どちらもが精密な造形、またその刺はラシャ毛を起毛すると聞き納得です。しかしこの詩は難解ですね。ーわをかく わを描く からす カラスの軋りーとまるでゴッホのカラスの絵のようですね。
Commented by nenemu8921 at 2007-07-13 09:59
マルメロさん。チーゼル、気に入りましたか?
この花は一番初めに育てた「賢治の植物」の一つですが、もうすっかり「下ノ畑」では絶えてしまって、今回は千葉市郊外のブルーベリー農園まで出かけて、撮影させていただきました。
ゴッホのカラスとは面白いですね。
清六さんはチャイコフスキーの交響曲第4番からの着想だと言っていますが。
詩は解説をつけるか、どうか、迷うことが多いのですが…。
by nenemu8921 | 2007-07-12 17:12 | 植物 | Comments(4)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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