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ヘンルータ→ルー

(略)
北の和風は松に鳴り
稲の青い鑓ほのかに旋り
きむぽうげみな
青緑或はヘンルータカーミンの金平糖を示す
(略) 
                     詩ノート〔午はつかれて塚にねむれば〕


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ルー(ミカン科ヘンルーダ属)
ヘンルーダ(ヘンルータ)は、江戸期にこの花が渡来したときのオランダ語が訛ったたもの。英語ではコモンルー(common rue)あるいは単にルー(rue)と言う。学名は Ruta graveolens 。
最近ではハーブ・ブームで、ルーまたはヘンルーダで流通している。
地中海沿岸地方の原産の多年草。樹高は50cmから1mほど。
シェークスピアにもギリシャの自然誌にも登場する由緒正しい薬草で、魔女を追い出し、疫病を払うと伝えられてきた。柑橘にも似たこの香りは、ネコが嫌がるというので猫寄らずという別名もある。わが「下ノ畑」の隣人は猫よけに植えている。

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ウマノアシガタ(キンポウゲ科キンポウゲ属)←きむぽうげ
草原や水田の畦にも多い多年草で、賢治はよく目にしたと思う。お気に入りだったようだ。他の作品ではバターカップという英名でも、しばしば登場する。

キンポウゲ(ウマノアシガタ)の花後の果実を見て、このルーの果実も、似ていることを想起したのであろう。どちらも金平糖に似ていることからの連想。
カーミンは、carmine(英・深紅色の)か? 日本で流通しているルーは、殆んど黄色い品種で、紅いルー(ヘンルータカーミン)は、市場にはないという。宮沢賢治の博識には驚くばかりだが、実際にこの花を見る機会はあったのだろうか?書物からの知識だろうか。
Commented by マルメロ at 2007-07-17 00:59 x
ルーを賢治が知っていたなんてすごい驚きです。5月近県の歩道に咲く金色の花邑に驚いただけでなくその花の形に目を真ん丸くしたんですよ。お尋ね花に投稿すると珍しいもので回答者が見たことがあったから応えられたとも。普通はこの花を知る人はいないと言っていました。その頃に流通していたとは思えませんので書物の知識とはいえ今のような写真技術もどうかと思うとほんとに驚かされる賢治の博識ぶりですよね。
Commented by nenemu8921 at 2007-07-17 08:24
マルメロさん。おはようございます。
そうですね。賢治という人は、当時の限られた情報の中で、よくさまざまなことを学んでいたと思います。
そのこともスゴイですが、カンがいいというか、センスがいいというか、言葉のリズムとイメージを的確にチョイスして詩作に取り込んでいますよね。
読めば、読むほど、賢治っていいな、すごいなと思ってしまいます。
Commented by マルメロ at 2007-07-17 08:31 x
>カンがいいというか、センスがいいというか、言葉のリズムとイメージを的確にチョイスして詩作に取り込んでいますよね。
ソウなんです。おっしゃるとおり博識に驚くよりもそれを自分のものにしている賢治の魅力にこうしてくりかえし読みなおすこと尽きないものがあります。そうなんですね。
Commented by nenemu8921 at 2007-07-17 17:22
メルメロさんと賢治の話をしたら、すごく意気投合しそうですね。
ワイン1本では足りないかも…(*^_^*)
いつか、そんな機会があるといいなあ。♪♪
Commented by nenemu8921 at 2007-07-17 17:25
ごめんなさい。メルメロなんて。マルメロさんです。もちろん。
by nenemu8921 | 2007-07-16 00:18 | 植物 | Comments(5)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921