ヘンルータ→ルー
2007年 07月 16日
北の和風は松に鳴り
稲の青い鑓ほのかに旋り
きむぽうげみな
青緑或はヘンルータカーミンの金平糖を示す
(略)
詩ノート〔午はつかれて塚にねむれば〕
ヘンルーダ(ヘンルータ)は、江戸期にこの花が渡来したときのオランダ語が訛ったたもの。英語ではコモンルー(common rue)あるいは単にルー(rue)と言う。学名は Ruta graveolens 。
最近ではハーブ・ブームで、ルーまたはヘンルーダで流通している。
地中海沿岸地方の原産の多年草。樹高は50cmから1mほど。
シェークスピアにもギリシャの自然誌にも登場する由緒正しい薬草で、魔女を追い出し、疫病を払うと伝えられてきた。柑橘にも似たこの香りは、ネコが嫌がるというので猫寄らずという別名もある。わが「下ノ畑」の隣人は猫よけに植えている。
草原や水田の畦にも多い多年草で、賢治はよく目にしたと思う。お気に入りだったようだ。他の作品ではバターカップという英名でも、しばしば登場する。
キンポウゲ(ウマノアシガタ)の花後の果実を見て、このルーの果実も、似ていることを想起したのであろう。どちらも金平糖に似ていることからの連想。
カーミンは、carmine(英・深紅色の)か? 日本で流通しているルーは、殆んど黄色い品種で、紅いルー(ヘンルータカーミン)は、市場にはないという。宮沢賢治の博識には驚くばかりだが、実際にこの花を見る機会はあったのだろうか?書物からの知識だろうか。
そうですね。賢治という人は、当時の限られた情報の中で、よくさまざまなことを学んでいたと思います。
そのこともスゴイですが、カンがいいというか、センスがいいというか、言葉のリズムとイメージを的確にチョイスして詩作に取り込んでいますよね。
読めば、読むほど、賢治っていいな、すごいなと思ってしまいます。
ソウなんです。おっしゃるとおり博識に驚くよりもそれを自分のものにしている賢治の魅力にこうしてくりかえし読みなおすこと尽きないものがあります。そうなんですね。