アワ←粟

(略)
春になりました。そして子供が十一人になりました。馬が二疋来ました。畠には、草や腐った木の葉が、馬の肥と一緒に入りましたので、粟や稗はまつさおに延びました。
(略)
すると森の中で、さつきの山男が、
「おらさも粟餅持って来て呉(け)ろよ。」と叫んでくるりと向ふを向いて、手で頭をかくして、森のもつと奥の方へ走って行きました。
みんなはあつはつはと笑って、うちへ帰りました。そして又粟餅をこしらへて、狼森と笊森に持って行つて置いて来ました。(略)
                                   童話「狼森と笊森、盗森」


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アワ(イネ科エノコログサ属)粟
畑で栽培するインド原産の一年草。古来主要な穀物だった。あわめし、あわもち、あわだんご、あわおこしなどにした。稲や麦などに比べて粗放な栽培に耐え、3~5ヶ月で収穫できて、山地や砂地でもよく育つため、岩手地方では貴重な作物だった。


賢治作品によく登場するのは粟餅である。最近の観光地で売っている砂糖のたっぷり入ったお菓子の粟餅ではない、かつての本当の粟餅を食したいものだ!
Commented by namiheiii at 2007-08-02 21:28
何処だったか粟を見た覚えはあります。でも今でも粟を栽培するところがあるのですか?驚きました。
Commented by nenemu8921 at 2007-08-02 23:10
namihei先生。これは佐倉市の国立民俗歴史博物館に付属している「くらしの植物苑」という植物園で栽培しているのを撮影しました。
他にも今では珍しい作物を栽培しています。
ウドもここでの撮影です。
現在は江戸時代に流行したという様々な朝顔を展示していました。
早起きしないとそうした珍しい花々を拝顔できませんけれども。(*^_^*) 
何しろ、朝顔ですから。
Commented by マルメロ at 2007-08-03 00:44 x
実際に見たことはありませんが粟やヒエはいままた岩手県北の市の特産として五穀米の素材に盛んに栽培に力を入れ販売していますがなかなかのようです。この地に住む従妹の薦めで健康志向に米に加えて食する五穀米をたべています。なかなか美味です。そういえば山男と同じくオラホサモモッテキテケレと子供の頃叫んでいましたね。なつかしい言葉です。
Commented by bella8 at 2007-08-03 06:48
確か市川の万葉植物園で撮影した記憶があります。
たわわに実って豊作ですね♪

撮影地を記載して頂けると、ありがたいです!
今、そこへ行くと会えるかもしれないという情報の提供もブログの魅力ですからね。
それにしてもnenemuさんはフットワークいいですね。(^-^ )

Commented by mayaha at 2007-08-03 12:00
粟餅といって売っている黄色の餅、歯ざわりが好きです、本当の粟餅ってどんな味かな~
エノコログサ属なのですね、さすがに、猫じゃらしに比べると穂がみっしりと重たげですね。
Commented by かぐら川 at 2007-08-05 23:04 x
 この童話では、擬人化された自然との繰り返される対話の中で、「粟(餅)」がキーワードになっていますね。
 古代と食文化というと、稲作の開始、伝播などが話題になりますが、縄文から弥生に貫通する「粟文化」――とりわけ東北の――についてまとまった論考があったらいいですね。読みたいと思うのですが。
Commented by nenemu8921 at 2007-08-08 12:22
マルメロさん。ちょっとご無沙汰しました。
わたくしも時々同じようにして、五穀米たべていますよ。
美味しいですよね。
オラホサモモッテキテケレという言葉は、よく使われるのでしょうか。
賢治童話に関係なく?ですか?

実は、数日またイーハトーブへ行ってきました。
今回は、学会には関係なく、花巻の友人たちの会に参加するためでした。
台風と2人3脚しながらの旅でした。
最後の日、盛岡の博物館へ打ち合わせがあって立ち寄りましたが、市内はすごい渋滞で、雪峰庵には立ち寄る勇気が出ませんでした。
後ろ髪を惹かれる思いでそのまま盛岡から高速に入りました。
やはり、車では、ひとりだと盛岡市内はコワイです。(ーー;)
グスン…。
今月末、又花巻へ行きます。
そのときはきっと!と思うのですが。
Commented by nenemu8921 at 2007-08-08 12:28
ベラさん。気にしてくださって、お電話ありがとう。
どうにか、無事で行って帰ってきました。
万葉植物園も奥にいろいろありますね。近いうちに行ってみたいわ。
ららちゃん・ショックから立ち直りましたか?
元気出してね。お時間のあるときに、拙宅へも立ち寄ってくださいね。

Commented by nenemu8921 at 2007-08-08 12:40
mayaha さん。
15年ぐらい前、尾瀬に行ったとき、お菓子ではない粟餅を売っていました。
講座の折に皆さんで食べていただこうと思って持参しましたが、会場のキッチンの設備が不十分で、うまく戻せませんでした。
カチカチののしもちみたいな感じでしたが…。
今でも、心残りです。(*^_^*)
Commented by nenemu8921 at 2007-08-08 12:59
かぐら川さん。古代と食文化までは手が回りませんが、賢治の時代(明治、大正、戦前の昭和)ぐらいの食文化についてはもっと知りたいと思っています。
森口多里さんの「日本の民俗・岩手」には衣食住に関しても、貴重な情報が紹介されています。
粟だけでなく、キビやどんぐりなどの食文化も気になるところですね。
by nenemu8921 | 2007-08-02 01:09 | 植物 | Comments(10)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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