オーメンタルガード〈オーメンタルゴード〉←オモチャカボチャ

或る医師未亡人に二女ありけり。〈略〉
甥笑って二箇の赤と白のオーメンタルガードを携へ姉の室に行く。
「ねえ、ていちゃん。静物をもってきたよ。」
「あら おもしろいわねえ。」
「あ、二つはいけないよ。どっちか一つとるんだよ。」
「さうねえ。」
「こっちは角があるけれども色彩はよく調和してゐるし、こっちは形はいいけれども色がどうも俗だねえ。」
                                〔「感応的伝染病」創作メモ30〕


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オモチャカボチャ(ウリ科)
半耐寒性1年草。観賞用の矮小性のカボチャ。丸・楕円・円錐・卵型・先つぼみ型など様々な形がある。残念ながら食用にはならない。最近では、オモチャカボチャとして人気がある。赤いものは見かけないと思っていたが赤皮種のものもあるようだ。
Gourd Ornamental(ゴード・オーナメンタル)と表記されることが多い。Gourd はウリ科のこと、
Ornamentalは装飾用のの意だが、『宮沢賢治語彙事典』で、装飾用のひょうたんかとあるのは間違い。
最近の園芸店では一袋に様々な種子をミックスしたものを販売しているが、賢治の時代にはかなり珍しいものだったろう。

創作メモ30は、いずれ小説の素材にと考えたメモか。
姉娘の二人の恋人をオモチャカボチャにたとえて、甥っ子が揶揄するシーンである。

賢治の妹さんのおもしろい証言が『宮沢賢治の肖像』(森荘已池著)に紹介されている。
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「兄さんは、「カボチャのあらゆる種類をまく」といって、観賞用カボチャ三十種類も蒔いたのでした。例によって、お父さんは兄さんを「タメにならないもの蒔いたナ」と叱りました。
そのカボチャというのが、ピーマンのような形で、オリーブいろにかがやくようなカボチャ、黄いろでまくらのような風に長い形のものなど、何しろ三十種類ものカボチャですから、とてもたくさんで、みごとなものでした。
お父さんは、「お前ときたら、用のないものばかり採る」と、御飯のときなど、何べんも叱言をいっておりました。」
Commented by オキザリス at 2007-09-09 19:39 x
宮沢賢治って、禁欲的なイメージが強かったのですが、本当は楽しいことやきれいなものが大好き人間だったのですね。
Commented by nenemu8921 at 2007-09-09 23:39
オキザリスさん。そうです。
賢治という人は思い込みも又強かったのだと思います。
Commented by mayaha at 2007-09-10 17:21
賢治の時代からあったのですか、私が知ったのは5年ぐらい前かと思います。
大阪では、オモチャナンキンなのよ。
Commented by nenemu8921 at 2007-09-11 00:05
mayahaさん。たぶん外国から取り寄せた種子だと思います。
オモチャナンキンの方が楽しい響きでいいですね。
Commented by pianix at 2007-09-11 22:51
2枚目の写真は、思わず目が点になってしまいました。
Commented by nenemu8921 at 2007-09-11 23:37
pianixさん。これが食べられたらなあと思うのは私だけでしょうか。
会席料理などにピッタリだと思うのですが。
by nenemu8921 | 2007-09-09 11:38 | 植物 | Comments(6)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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