ルコウソウ←サイプレス・ヴァイン

〈略〉
緑と紫銅のケールの列や
赤いコキヤのぼたんを数へ
しづかにまがってここまで来れば
小屋は窓までのナスタシヤだの
まっ赤なサイプレスヴァインだの
ぎらぎらひかる花壇で前をよそほはれ
つかれたその眼をめぐらせば
ふたたびさわやかなこの緑色を見るでせう
〈略〉
                 詩「三原三部」 第二部


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ルコウソウ〈ヒルガオ科ルコウソウ属〉縷紅草
ヒルガオ科イポメア属としている図鑑もある。熱帯アメリカ原産の蔓性一年草または多年草。
夏の終りから秋まで、星型の小さな花を次々に咲かせる。
最近では野生化したものもあるようだ。葉の丸いマルバルコウソウやハゴロモルコウソウなど園芸種は多様化している。
↑はモミジバルコウソウ

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サイプレスヴァインは英名。サイプレスは糸杉の意で、ヴァインはつる性の植物を表し、ルコウソウのことだが、最近ではルコウソウの品種名としても流通している。↑
賢治作品にはサイプレスがしばしば登場する。名前からも賢治が気に入ったのであろう。
「三原三部」は昭和3年6月大島へ伊藤兄妹を訪ねた折の作品。
伊藤チエとは見合いの意味もあったと伝えられている。
ケールは葉牡丹のこと。 ナスタシヤはナスタチューム。コキヤはホウキグサのことで、いずれも、当時は珍しい園芸植物だった。

追記
ご親切なメールを頂いた。
-「アメリカ原産の帰化植物・観賞用として江戸時代に渡来した」との記載も有る。「野生化しているものが多い。」とも記載されている。-と。
そのとおりですが、ブログ上の解説は仔細に書ききれないので、最近ではとすることで、ご容赦いただきたい。
手元にある保育社の「原色日本植物図鑑」でも、ルコウソウの記載はなく、園芸種扱いのようだ。どこで線引きするかは、それぞれの学者さんの見識に任されていて、厳密な基準はないようだ。
野生化しているのはマルバルコウソウが多いようで、「季節の窓」でも、ご紹介がある。ヒルガオ科の帰化植物は多く、今の季節、野山を歩けば、マルバルコウソウのほかに、ホシアサガオ、マルバアサガオ、マメアサガオなど容易に出会う。
  ご教示ありがとうございました。


賢治がここで描いているのは明らかに園芸種のルコウソウのこと。
縷紅草は、糸のように細い葉で、赤い花を 咲かせることからの命名だが、留紅草の 表記もある。
学名 Quamoclit pennata Quamoclit : ルコウソウ属 pennata : 羽状の Quamoclit(クアモクリット)は、 ギリシャ語の「kyamos(豆) + clitos(低い)」が語源。 だそうで、 マメの植物のようにつる性で伸び、背が低いことからという。

等と、書き連ねると、賢治のサイプレスバインのイメージが遠くなってしまいますね。
Commented by sdknz610 at 2007-10-19 08:46
ルコウソウ、散歩の途中で満開状態のところがあるんですが、
どうやらマルバのようです。解説ありがとうございます!
Commented by オキザリス at 2007-10-19 08:50 x
ルコウソウがサイプレスヴァインですか?
どちらもはじめてきいた名前です。
花は見たことがあります。
宮沢賢治がこのように書くと、ありふれた花が特別のものになるようなかんじですね。
Commented by nenemu8921 at 2007-10-19 11:33
samさん。こんにちわ。
やはりマルバですか。ルコウソウもかなり野生化しているようですが。
こちらは下手な写真で残念。

出かけられないので近所の花壇でお茶を濁してみました。
尾瀬のあと、谷川ですか? ズルイですね(*^_^*)
画像すばらしかったです。
Commented by nenemu8921 at 2007-10-19 11:34
オキザリスさん。こんにちわ。
本当ですね。
賢治作品に登場している植物はなぜか特別のものになってしまいます。
by nenemu8921 | 2007-10-18 15:56 | 植物 | Comments(4)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921