イチョウ←いてふの実

いてふの実はみんな一度に目をさましました。
そしてドキッとしたのです。
今日こそはたしかに旅立ちの日でした。(略)

「僕なんか落ちる途中で目がまはらないだらうか。」(略)
「さうだ。忘れてゐた。僕水筒に水をつめて置くんだった。」(略)
「僕、靴が小さいや。面倒くさい。はだしで行こう。」(略)
「わたし困ってしまふわ、おっかさんに貰った新しい外套がみえないんですもの。」(略)

北から氷のやうに冷たい透きとほった風がゴーッと吹いて来ました。
「さよなら、おっかさん。」「さよなら、おっかさん。」
子供らはみんな一度に雨のやうに枝から飛び下りました。
                                       童話「いてふの実」

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イチョウ(イチョウ科イチョウ属)銀杏 公孫樹
寿命の長い中国原産の落葉大高木。雌雄異株。
各地の寺院をはじめ公園や並木によく使われ、人里近くに野生化しているものも見られる。
よく育つと30m以上になる。種子はギンナンである。

賢治が構想していた《花鳥童話集》の作品群に共通しているモチーフは死と再生である。
実ること、散乱すること、死、新たな命につながること、植物は美しい方程式で成立している。

毎年、近くの神社でギンナンを拾うのが楽しみだった。来年こそ、雄花と雌花の撮影をしようと思うのだが、いつも忘れてしまう。
Commented by オキザリス at 2007-10-23 08:17 x
この写真は明るくて、いちょうの実たちの旅立ちもいいことがいっぱいありそうです。
新鮮なギンナン、美味しいですよね。
Commented by ケイタロー at 2007-10-24 09:15 x
イチョウは関東では、実が落ちるのが先で、葉が紅葉して落葉するのは、半月から1ヶ月くらいあとなのですが。
賢治の「いてふの実」では、葉が先に落ちますね。

ギンナンは新鮮なのをフライパンで炒って、フーフーいいながら、殻を剥き、塩をちょいとまぶして食すれば、これは、もう、ビールがすすみますね。(*^_^*)
Commented by mayaha at 2007-10-25 15:07
今日こそはたしかに旅立ちの日、大阪市の御堂筋では機械で揺さぶって
荒っぽい旅立ち、希望者に分けられるようなのですよ。
Commented by nenemu8921 at 2007-10-25 20:27
オキザリスさん。
一本の樹木から旅立つ実は大変な数ですね。
いつもそう思います。
Commented by nenemu8921 at 2007-10-25 20:29
ケイタローさん。
そういえばそうですね。
この画像も実すっかり熟しているのに、葉はこれから金色になって落ちるのですよね。
これは山梨文学館でキャッチしました。

Commented by nenemu8921 at 2007-10-25 20:32
mayahaさん。大阪的な?合理的な?やり方ですね。
どんな機械なのか、気になります。
by nenemu8921 | 2007-10-22 23:07 | 植物 | Comments(6)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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