ヤドリギ
2007年 12月 03日
ほかへも頒けましたしうちでもいろいろに使ひました。
あれがあったらうと思はれる春の山、仙人峠へ行く早瀬川の渓谷や
赤羽根の上の穏やかな高原など、をいろいろ思ひ浮かべました。
お手紙もまことにありがとう。
(略)
書簡260
ケヤキ、エノキ、ブナ、クリ、ミズナラなど、落葉樹の大木に寄生する常緑小低木。大きくなるとこんもりと丸くなり、直径50~60cmになる。冬に宿主の葉が落ちると目立つ。赤い実はアカミヤドリギ。
書簡260は、昭和5年4月4日の日付のある教え子の澤里武治あてのもの。
当時、澤里は上郷尋常高等小学校の教師だった。賢治は昭和3年の夏、農村の稲作指導で過労が重なり倒れ、病臥していたが、徐々に回復し、この春草花の苗床など作り始めていた。
賢治は宿り木をたいそう好んだようで、童話や詩にもしばしば登場する。
病床にあって、この贈り物はさぞ嬉しかったのだろう。
画像はこの11月に信州の農家の庭先で見つけた。ヤマナシの大木に寄生していたもの。
伺った話では家の鬼門の方角にヤマナシを植えることで、ヤマイナシ(病ナシ)の祈願がこめられているという。
ヨドリギは見かけたことだありますが、赤い実をつけているところは初めて見せてです。高いところで今まで気づかな買ったのかしら?
大伴家持が「万葉集」に遺している下記の歌〔天平勝宝二年(750年)正月二日〕は、我が越中の国庁で詠まれたものですから、今もこの地にヤドリギは自生していそうなものですが、国庁のあった伏木から二上山にかけてはほとんど無いようなのです。
あしひきの山の木末(こぬれ)の寄生木(ほよ)取りて
挿頭(かざ)しつらくは千歳寿(ほ)くとそ
この木は雌雄異株ですから実のあるものとないものがあるはずですが、頭に挿したのは黄色い実のある緑枝なのでしょうね。
このヤドリギに生命の呪術性を認めるのはヨーロッパにも共通しているようですね。
渡辺さんの Kenji Reviewに、「水仙月の四日」にちなんで北欧神話も紹介されています。
http://why.kenji.ne.jp/review/review356.html
ヤドリギというと、大伴家持のこの歌の引用が多いですね。越中が舞台ですか?
探せばきっとあると思いますよ。
ヤドリギはたびたび登場するのに、賢治はホヨという古語もホヤ、トビヅタなどの方言もまったく使用していませんから、やはり西欧の魔よけや、生命の再生のイメージが強かったのでしょうか。
渡辺さんの引用は金枝篇でしたか?
ありがとうございます。あとで確認してみます。
文献からの知識もイメージとしてあったでしょうが、賢治はフィールドワークの人ですから、何よりも森や野原の自然の息吹、その象徴として心惹かれたのでしょうね。
この手紙は外歩きができなくなって、その想いがよく伝わってきます。
しばらくカラスのカンタくんががんばっていたから、nenemuさんどうしたのかなあ? イーハトーヴへ旅しているのかな?もしや・・・いや、そんなはずは!?・・・とあらゆる妄想がめぐっていたのですが、PCくんが大変だったのですね。PCくんのご機嫌よろしほでけっこです、とお伝えください。
やまなしは「病なし」とはよく言ったものですね。やまなしのお酒は百薬の長になりそう(とお酒好きはよろこぶのか)!
心身ともに疲れ果てましたが、もう元気を取り戻しつつあります。
風のワークショップがあって、花巻へも行ってきました。
今度のセミナーはこちらでの会合と重なるので行けないと思います。
PCをいったん、チャラにする必要があったので、あれこれ喪失した情報も多く、元通りになるにはまだまだ時間がかかりそうですが。
今後ともご支援をよろしくお願いいたします。