サンショウ

(略)
 さてこの国の第一条の
「火薬を使って鳥をとってはなりません、
 毒もみをして魚をとってはなりません。」
 といふその毒もみといふのは、何かと云ひますと床屋のリチキはかう云ふ風に教へます。
 山椒(さんしょう)の皮を春の午(うま)の日の暗夜(やみよ)に剥(む)いて、土用を二回かけて乾かし、うすでよくつく、その目方一貫匁(かんめ)っを天気のいい日に、もみぢの木を焼いてこしらへた木灰七百匁とまぜる、それを袋に入れて水の中へ手でもみ出すことです。
 さうすると、魚はみんな毒をのんで、口をあぶあぶやりながら、白い腹を上にして浮かびあがるのです。そんなふうにして、水の中で死ぬことは、この国の語(ことば)ではエップカップと云ひました。これはずいぶんいい語です。
(略)
                                  童話「毒もみのすきな署長さん」
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サンショウ(ミカン科サンショウ属)山椒
山地や丘陵地に自生するが、若葉を食用とするため人家にもよく植えられる。
高さ2~3mの落葉低木。枝や葉柄の基部に対生するとげがある。葉は奇数羽状複葉で互生。4~5月、枝先に黄緑色の小花を多数開く。雌雄異株。果実は赤褐色で種子は黒色。
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「毒もみのすきな署長さん」は、たしかにへんてこなお話である。
が、妙に心惹かれる登場人物であり、読後に声に出せない爽快感がある。
この童話の登場人物たちに関して、「賢治の好きでたまらなかった人間型であったようだ」と弟の清六氏がコメントしているのも、賢治文学の本質を考える上で示唆的である。

この夏は過激な暑さだったが、11月になって私の「下の畑」のサンショが狂い咲きした。
実をつける時期だというのに。
春には他の植物も華やかな時期なので気にも留めなかった小さな花を、改めてゆっくり眺めることとなった。
Commented by オキザリス at 2007-12-05 08:43 x
サンショの花は確かに気がつきませんね。
赤い実がぴりりと辛そうに撮れていますね。(^n^)クスクス

この毒もみを実際に試した人はいないのですか?

Commented by ヤジュル at 2007-12-05 11:23 x
 今日は。ご無沙汰をしています。突然のワリコミ失礼致します。
オキザリスさん、わたくしは良く子供のころ、「サンショウ毒もみ」をしましたよ。佐藤隆房先生の自宅北側、崖下の小川が絶好の場所でした。
この小川は、滝清水神社の所で、豊澤川に合流していた、秘密の場所でした。
ところで、さんしょうは人間にとって「毒」ではなく、とれた魚は安心して食べられますが、一番弱い小魚から先に浮いてきます。暫らく経つと元気に泳ぎ出して逃げていく魚もいます。工兵隊の「発破」とはちがいます。こちらは全滅です。
ネネムハックニーさん。割り込みごめんなさい。
いつも感心して拝見しています。
Commented by オキザリス at 2007-12-05 19:16 x
nenemuさん。ヤジュルさん。まあっまあ。スゴイ!!

本当に毒もみってあったのですね。小魚はぴりりと味付けされていたりして。(#^.^#)

佐藤隆房先生というと、あの花巻共立病院の院長先生ですか?
ヤジュルさんは花巻の方なのですね。
花巻もずいぶん変わったでしょう。

スゴイ人がネネムさんの背後に控えているのですね。
ヤジュルさんのロゴス古書も拝見しました。
わさび田のこともなるほどと思いました。

いろいろありがとうございました。
Commented by nenemu8921 at 2007-12-05 22:41
オキザリスさん。よかったですね。
「サンショウ毒もみ」の体験者が名乗り出てくださって。
いい質問を書き込んでくださって、感謝です。
Commented by nenemu8921 at 2007-12-05 22:55
ヤジュルさん。ありがとうございます。
ワリコミ大歓迎です。
懐かしい思い出ですね。
佐藤隆房氏のご自宅は病院に隣接していたのでしょうか?
今の花巻病院と同じ場所でしょうか?

どうぞ、時々、お知恵をお貸しください。
話題が広がって、皆さん、喜ばれると思います。

今後もご登場期待しています。


Commented by ケイタロー at 2007-12-06 14:45 x
庭に山椒の木が一本あると便利ですね。

ショウガ、しその葉、ゆず、山椒があれば、食生活はご機嫌であります。

宮沢賢治という人はあまり食べ物にこだわらなかったのですかね。



Commented by nenemu8921 at 2007-12-06 18:38
ケイタローさんはグルメですね。
ケンジは精神的食べ物のグルメだったのでは…。
山椒は我が家でも助かっています。
来年はゆずも植えようかな。(^-^)ニコッ
Commented by マルメロ at 2007-12-07 22:55 x
山椒の木と毒もみのことははじめて知りました。紅葉の灰との反応がどのようなものかわかりませんが浮いてきた魚を人間様が食べてもいいような「毒」なら大歓迎ですね。我が家には鳥の置き土産山椒が10数年たち見事なとげの幹と赤い実と黒光りする種はとても気に入っています。花が咲くことは今年初めて気がつきマクロでたくさん撮るほど夢中になりました。紫蘇とゆず、もと植えてきていますがやはり同じように考えられる御仁がいらっしゃるのですね。
Commented by ウーミン at 2007-12-08 09:14 x
毒もみで捕った魚は食べたのですか?
どんな風に?
Commented by namiheiii at 2007-12-08 22:03
サンショウの花も実も始めて見ました。実の写真いいですね。nenemuさんにはいろいろといままで気が付かなかったものを教えてもらいます。
Commented by nenemu8921 at 2007-12-08 22:27
マルメロさん。いいなあ。
わがガーデンでは、鳥さんのお土産の木って、ネズミモチが多いのですよ。すぐ抜いてしまいます。
山椒の新芽の佃煮も実においしいですよね。
昆布と煮てもおいしいのよね。
これからはゆずの季節、おいしいお料理していますか?


Commented by nenemu8921 at 2007-12-08 22:30
ウーミンさん。
ヤジュルさんに伺いたいところですね。
川魚は小さいものは甘露煮でしょうか?
イメージですけれど。
Commented by nenemu8921 at 2007-12-08 22:37
namihei先生。実はともかく、花には気づきませんでした。
小さくて目立たないのです。木の幹にも気づきませんでした。
賢治の童話を読んでいると、今まで何も気にかけなかった自然の顔が新しく見えてくるような気がします。

by nenemu8921 | 2007-12-05 01:12 | 植物 | Comments(13)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921