チューリップ ②
2008年 04月 22日
「この赤と白の斑は私はいつでも昔の海賊のチョッキのやうな気がするんですよ。ね。
それからこれはまっ赤な羽二重(はぶたえ)のコップでせう。
この花びらは半分すきとほってゐるので大へん有名です。
ですからこいつの球はずゐぶんみんなで欲しがります。」
「ええ、まったく立派です。
赤い花は風で動いてゐる時よりもじっとしてゐる時の方がいいやうですね。」
(略)
童話「チューリップの幻術」
チューリップ狂
チューリップ事件といえば、古くはチューリップバブル事件が有名だ。オスマン・トルコから輸入されたチューリップの球根に人気が集中し、異常な高値がつき、その後価格は100分の1以下にまで下がり、オランダ諸都市は混乱に陥った。オランダで1637年に起こった世界最初のバブル経済事件である。チューリップ・バブルは南海泡沫事件(イングランド)やミシシッピ計画(フランス)と並んで、近世ヨーロッパの三大バブルに数えられるそうである。
最近のチューリップ事件は、全国都市緑化ぐんまフェア画開催中の前橋市でプランターのチューリップ約1000本が切断されたというニュースが報じられたあと、あちこちでチューリップを踏みにじる人が続出したことである。
豊かな時代に人の心のかげりを突きつけられたようだった。
(ちょうど半月前に前橋へ出向く所要があり、緑化ぐんまフェアの会場も覗いたりしたので、ひどく心にかかった。)
童話「チューリップの幻術」は、農園でチューリップのコップで光のお酒を飲んだ園丁と洋傘直しが幻想世界に脚を踏み入れる物語である。
どうやら、チューリップは人を狂わせる花のようだ。
どうせなら、チューリップのグラスで光のワインをなみなみと注いでいただき、ヒバリの声を聞きながら、酔いたいものであります。
素敵なイメージ♪
群馬フラワーパークでチューリップの原種を見ましたが、小さい!低い!
でもカワイイんです♪
この童話には、そうした面が良く出ていると思う。
障壁仕立てだとか、球根を取り寄せるとか、リアルなことをいいながら、いつのまにか、読者を光の酒で酔わせてしまう…。
だが、読者より作者が先に酔ってしまったような風もある童話ですが。