アナロナビクナビ 睡たく桐咲きて
峡に瘧のやまひつたはる

ナビクナビアリナリ 赤き幡もちて
草の峠を越ゆる母たち

ナリトナリアナロ 御堂のうすあかり
毘沙門像に味噌たてまつる

アナロナビクナビ 踏まるる天の邪鬼
四方につゝどり鳴きどよむなり

            文語詩「祭日〔二〕」

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キリ(ゴマノハグサ科キリ属)桐
本州や九州、朝鮮半島の山地で野生状態を示すところもあるが、はっきりした原産地は不明。有用材として各地で植栽されている落葉高木。
花色のせいだろうか。満開のこの花の群落は眠たそうにも見える。
くらっとする独特の芳香がある。

毘沙門像は岩手県東和町にある成島の毘沙門天像のこと。
カタカナ書きは、「法華経」陀羅尼品の中の呪文。
桐が眠たく咲く季節である。山に囲まれた谷間の村々におこりの病がはやっている。
母たちは信仰の証として堂宇に納める小さなのぼりをもって峠をこえる。
毘沙門天に詣でて味噌を献じ治癒を祈願するのである。
周囲ではツツドリの鳴声が響き渡っている。

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越後の山峡の部落にも桐の花が眠たく咲いていた。谷間のあちこちに見かけた。

成島の毘沙門天に関してはこちらをどうぞ。
Commented by fan_tail at 2008-05-26 05:13 x
近所の山には桐と藤が咲いています。
遠目では違いが分かりにくかったのですが、
上に向いて咲くのが桐で、下に花房が向くのが藤だと教わりました。
高いところで咲いているので匂いまでは知りませんでした。
どんな香りなのでしょうか?
ノウゼンカズラ科も初めて知りました。花が同じですね。^^;

Commented by satuki at 2008-05-26 09:54 x
こちらでも今咲いています、山の緑が濃くなってきた中で
桐は葉が展開する前に大きな花を立ち上げるので
遠くからでもいい色で目立ちますね~

おこり病が流行ったら、お祈りするしかなかったのですね~
毘沙門像に味噌たてまつる、いい響きです。
Commented by nenemu8921 at 2008-05-26 14:58
fan_tailさん。
そうです。木が高いので花はなかなか接写では撮れません。
色も似ていますね。藤と桐。
香りは一度体験すると、忘れられない香りです。
なんというか、濃厚な、成熟した貴婦人といった趣でしょうか。
樹木の下に落ちている花びらを拾ってもいい香りです。
そうですか。房総でも咲いているのですね。
ノウゼンカツラ科と保育社の「原色日本植物図鑑木本編Ⅱ」にはありますが、知人から電話があって、ノウゼンカツラ科とすべきとのご卓見。
素直に従いました。ペコリ(o_ _)o))
よろしくお願いします。
Commented by nenemu8921 at 2008-05-26 15:05
satukiさん。関西も咲いているのね。

この花は子どものときはまったく気づきませんでした。

花札のカードをなぜか、思い浮かべてしまいます。
形象化された絵ですが…。

ねむたく咲くという表現が気に入っています。




Commented by rinrin at 2008-05-26 21:41 x
nenemuさんも毘沙門天には行きました?
私も久しく行っていません。
そのうち近くにある(毘沙門天の)棚田とか見てきますね。
Commented by namiheiii at 2008-05-26 22:17
もう桐の花が咲くのですね。高い所にあるものですから何時も見逃してしまいます。それにしても写真の木は小振りなのにすごく花つきが良いのですね。それに葉が出る前に花が咲くとは意外でした。
Commented by かぐら川 at 2008-05-26 23:43 x
 ゴマノハグサ科かノウゼンカツラ科かか興味のあるところですが――そもそも分類学にとって〔科〕とは何かという問題にいきつきますが――、APG植物分類体系では、「キリ科〔Paulowniaceae〕」として分類されているようです。学名の《Paulownia tomentosa 》をそのまま検索したらば、そこに含まれている〔Paulown-〕次のような情報をえました。
“The common name Royal Paulownia is taken directly from the genus Paulownia which was coined by a Dutch botanist named Siebold to honor Anna Pavlovna, the Queen of the Netherlands from 1840 to 1865. ”
 そうでした。キリの学名はシーボルトによってつけられたものなのです。(〔genus〕は、「属名」。余談ですが、〔coin〕が動詞としてつかわれる場合、「貨幣を鋳造するように新語をつくる」という意味があることを、初めて知りました。)
http://www.sierrapotomac.org/W_Needham/RoyalPaulownia_050522.htm
 「桐」にまついわる伝承についても、↓がくわしく解説しています。
http://www.worldtreetech.com/legends/legends.html

・Anna Pavlovna
http://en.wikipedia.org/wiki/Anna_Pavlovna_of_Russia
Commented by かぐら川 at 2008-05-27 00:11 x
 あらためてシーボルト関連で検索すると、大場さんの文章で、こんなページがありました。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2000Siebold/05/0510.html
〔 Anna Paulowna(Anna Pavlovna) 〕は、シーボルトを支援していたオランダ女王なのです。このページでは、シーボルトのお抱え絵師とも言われた川原慶賀によるキリの絵も見ることができます。(ねじめ正一さんに『シーボルトの眼―出島絵師 川原慶賀』という本があるのですね。)

 川原慶賀によるキリの絵と《Flora Japonica》の本文は、ここでも見られます。
http://www.lib.pref.fukuoka.jp/tosho/sho/ksh010.htm
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/b01/image/01/b01l0031.html
Commented by nenemu8921 at 2008-05-27 08:51
rinrinさん。もちろん、行きましたとも。何回も。
いつもシーズン・オフですが。(ノ_-。)
でも、最初に訪れたときが印象深かったです。
あの周辺も棚田があるのですか?
田瀬の方へ行くと、田は広々していますね。
Commented by nenemu8921 at 2008-05-27 09:15
namihei先生。
桐はいつも高速道路上で見ることが多く、撮影の機会がありませんでした。
桐は成長が早い樹木のようです。
ですから、若い木でも花つきがよいのでしょう。
樹木全体をうまく撮るのは難しいですね。
風景の中に納まるものでお茶を濁してしまいました。



Commented by nenemu8921 at 2008-05-27 09:58
かぐら川さん。いろいろ有難うございます。
訂正文を間違えて書いていますね!われながら、情け無い…。
その間違いにも気づかずにいたところ、またまた、お電話で、やさしいご指摘をいただきました。
やれやれ、出来の悪い孫?弟子?に、愛情深い大勢の大人が見守っていますの図を思い浮かべてしまいました。

以前、教えていただいたシーボルトの「日本植物誌」にも載っていますね。
画像で見ると、また素晴らしいですね。京大の貴重資料画像もこうして見ることが出来るのですね。
有難うございます。
まあ、恥をかきながらの日々ですが、今後ともよろしくお願いいたします。
ねじめ正一の本も面白そうですね。
読んで見たいです。




Commented by nenemu8921 at 2008-05-27 10:06
fan_tailさんのコメントへの返信は、もちろんノウゼンカツラ科と保育社の「原色日本植物図鑑木本編Ⅱ」にはありますが、知人から電話があって、ノウゼンカツラ科ではなくて、ゴマノハグサ科とすべきとのご卓見。
素直に従いました。ペコリ(o_ _)o))
よろしくお願いします。

であります。

皆様、今後ともよろしく。あたたかく見守ってください。(。-_-)ノ☆・゚::゚ヨロシク♪


Commented by マルメロ at 2008-05-28 00:57 x
ねむたく咲く桐の花がまさか都心の母校の構内で満開に咲く大木になっていようとは。3年前にカメラを持ち始めたころのモチーフとしてその威風堂々とした樹形が古い建造物と高層建築とを背景に最高のポートレートになっています。香りといえば幼児期にその木につながれたヤギのその乳を飲んで育ったと聞かされてた桐の花の重たい香りとヤギの乳との香りとが渾然となって記憶の底に残っています。また賢治本の中で見たここの毘沙門天の巨大さはその足だけが堂内に祭られてその脛に味噌を塗りたくっての信仰が飢饉病の度ごとにすがりつくところの頼りとするものの大きさを思わせられる話です。かように賢治に詠われた桐の花をも共有している縁をいまさらにして不思議に思います。
Commented by nenemu8921 at 2008-05-28 08:44
マルメロさん。その写真お借りしたかったわ。
大きな木は花を際立たせて撮るのは難しいなあと実感しています。
ヤギの乳、私も子どもの頃、飲みましたよ。(*^-^)ニコ
この毘沙門天像は、初めて見たときは圧倒されましたね。
やはり、イーハトーブ出身の方は、賢治作品に歌われている背景を生活の中で共有しているのですね。
マルメロさんのように意識している方と、意識しないままの方も大勢居るのでしょうね。
Commented at 2008-05-30 00:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nenemu8921 at 2008-05-30 08:18
マルメロさん。ありがとう。
ぜひ教えてくださいな。あまり遠いと行けないかもしれませんが。
賢治は桐の実のことも書いています。
実の季節に撮影したいですね。
メール入れてくださいな。
お待ちします。
Commented at 2008-06-12 08:24 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nenemu8921 at 2008-06-13 21:59
kannjiさん。こんばんわ。
ご挨拶が遅れてごめんなさい。
ブログ開設おめでとうございます。ステキな表紙ですね。
どうぞ、記事を楽しみにしています。
人生の楽しみ方を賢治さんに教えてもらったようなものです。
写真、褒められてすごくうれしいです。
あまり自信が無くて、どうにか続けているものですから。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

by nenemu8921 | 2008-05-25 15:56 | 植物 | Comments(18)

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