十の蜂舎の成りしとき
よき園成さば必らずや
鬼ぞうかがふといましめし
かしらかむろのひとありき

山はかすみてめくるめき
桐むらさきに燃ゆるころ
その農園の扉を過ぎて
苺需めしをとめあり

(略)
                文語詩「田園迷信」


苺(イチゴ)(バラ科イチゴ属)
広義にはイチゴ(苺、Fragaria)はバラ科の多年草、およびその食用となる果実だが、ここではイチゴ属の栽培種オランダイチゴ (Fragaria ×ananassa Duchesne)であろう。イチゴ類の栽培種は他にもあるが、イチゴとして流通しているのはほぼ全てオランダイチゴだという。

オランダイチゴは、日本には江戸時代の終わりごろにオランダから輸入された。オランダイチゴの名の由来である。作物として栽培されるようになったのは200年前ごろからで、本格的に栽培されたのは明治5年からである。

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画像は、わが隣人の畑で栽培されたもの。

文語詩未定稿に分類されている詩である。
「宮沢賢治 文語詩の森 第二集」で、詩人の入澤康夫氏が論じている。それを参考にして、意訳すれば、
新しい農園に蜂舎が十もできて、施設が充実したときに、(その祝賀の席でであろうか)ひとりの頭の禿げた人(土地の古老か)が、「立派な園ができたときには、きっと魔物が来て狙うものだ」と警告したというのである。
山々がぼおっと萌え始め、紫色の桐の花が満開になる晩春、初夏の頃、この農園の前を通りかかったむすめが、「苺を売って欲しい」と言った。
扉は「と」、需めしは「もとめし」であろう。

ドラマを感じさせる内容だが、入澤氏も述べているように、この後の展開は言葉が凝縮され、謎にみちた内容で、解釈は難しい。読むとぞくっとする。

生前宮沢賢治とも親交があったと伝えられている齋藤宗次郎は、イチゴを栽培していて、花巻を訪れた師内村鑑三に、それをたくさん贈ったというエピソードがある。
Commented by sdknz610 at 2008-06-12 22:19
ワ~!バラ科だったですか・・・。知らなかったのであります♪
何でも取り敢えずバラ科と言っておけば間違い無さそう・・・って、冗談ですが・・・♪
勉強になります!
Commented by キッコ at 2008-06-12 23:00 x
この詩の続きの解説をお願いします。

イチゴ栽培、養蜂等をしていた農家は、この頃花巻にあったのですかね。
Commented by satuki at 2008-06-13 16:12 x
栽培されている苺はオランダイチゴ属なのですか、先日の山でみた
野生のノウゴウイチゴがオランダイチゴ属とあったのでどういうものかと
思ったのですが。普通の苺に近い種類なのですね~
Commented by nenemu8921 at 2008-06-13 22:05
samさん。こんばんわ。そうでーす。バラ子さんでーす。
植物は広がりがおおきくて、なかなか全体像を把握できませんね。
身近なところから、おぼえていきたいけれど、
このごろ、よく、ど忘れして……。コマリマス。
Commented by nenemu8921 at 2008-06-13 22:20
キッコさん。こんばんわ。
この詩の後半は、植物が出ていたかしら。
宿題ですね。がんばりますね。(*^_^*)

齋藤宗次郎が栽培していたのはたしかなようですが(写真がありますから)、
出荷していたかどうか、わかりません。
養蜂はどうでしょうね…?
小岩井農場は…?

Commented by nenemu8921 at 2008-06-13 22:27
皐月さんこんばんわ。
ノウゴウイチゴですか?山で? いいなあ。
味見は出来ませんでしたか? 甘いでしょう。
野生のものは出会ったことが無いけれど、園芸店で販売しているのは
栽培種と似ていますね。

イチゴは、キイチゴ属、ヘビイチゴ(キジムシロ)属、イチゴ属に分類されているようですが、
ブルーベリーなど外来種はまた別なのでしょうか?

そろそろベリー類も色づきますね(#^.^#)



by nenemu8921 | 2008-06-11 20:06 | 植物 | Comments(6)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921