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ハグロトンボ

(略)
さう亀茲国の夕日のなかを
やっぱりたぶんかういふふうに
鳥がすうすう流れたことは
そこの出土の壁画から
たゞちに指摘できるけれども
池地の青いけむりのなかを
はぐろとんぼがとんだかどうか
そは杳として知るを得ぬ
            詩 一五四 「亜細亜学者の散策」

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ハグロトンボ(カワトンボ科)羽黒蜻蛉
成虫は5~10月頃まで見られ、とくに7~8月に多い。主に平地から低山地のヨシなどの挺水植物や、エビモ、バイカモなどの沈水植物などが茂る緩やかな流れに生息する。幼虫は、おもに夜半から早朝にかけて、挺水植物などに定位して6~7月頃に羽化する。羽化後の若い個体は薄暗いところを好み、水域から離れて林の中で生活するが、成熟すると再び水域に戻り、明るい水辺の石や植物などに止まり縄張りを張る。交尾後、雌は水面近くの水中植物に産卵する。
画像は上から♂、♂、♀。

作品は「春と修羅」第二集のもの。
亀茲国はキジコクと読み、西域の古国。現在のクチャの地。現中国新疆ウイグル自治区。
インドと接する古代亀茲国は中国人とインド人との混血も多かった。「法華経」を漢訳した鳩摩羅什もインド人を父に、中国人を母にしてこの地で生まれた。天山山脈南麓に位置し、シルクロードの中継点の一つ。仏教文化が栄え、寺院址等の遺跡も多い。
宮沢賢治にとっては憧れの地でもあったのだろう。
Commented by マルメロ at 2008-08-18 00:59 x
昨夏帰省した今頃、夜明けの中ノ橋の河川敷に流れこむ水路の脇にハグロトンボを見つけたときは無我夢中のうちに腹ばいになってシャッターを切っておりました。呼吸するかのように艶やかな黒い羽を開いては閉じる様を時を忘れて見ておりました。まさにこの詩のように現のもとさだめのつかないおもいがありました。調べてみるとハグロトンボ生息国にはインド・スリランカ・インドシナとあり賢治の博識には驚きます。
Commented by bella8 at 2008-08-18 16:39
ハグロトンボはなかなかお目にかかえれませんよね。
とてもスリムでお洒落なところはnenemuさんに似てるかな?

石垣島に行ってこられたのですね。
美しい海と自然・・・南国の人たちの明るさが伝わっています。
いいご旅行ができて良かったですね。

Commented by nenemu8921 at 2008-08-18 19:16
マルメロさん。そうですか。ハグロトンボは中津川でも見ることが出来るのですね。
いい写真になりましたか?
本当に宮沢賢治ってよくいろんなこと知っていましたね。
現代のように情報も多くなかったでしょうに、特にビジュアルな情報は少なかったと思うのですが。
でも、マルメロさんのアンテナもたいしたものです。(#^.^#)
この詩のなかのすうすう流れた鳥はどんな鳥だったのでしょね。
壁画に描かれていた様子ですが…。





Commented by nenemu8921 at 2008-08-18 19:26
べらさん。とんでもないですよォ。運動不足です。
5キロ減量されたとか。あなたを見習いたい心境であります。

久しぶりに家族との旅行でしたが、やはり子どもや孫がいないと夏休みは盛り上がりませんね。
お宅がうらやましいです。
Commented by rinrin at 2008-08-18 22:41 x
このとんぼ、この間も我家の家の中に入ってきましたよ。
Commented by こにタン at 2008-08-19 00:33 x
ハグロトンボがひらひらと飛んでいる様は何だか仏教的なものをイメージさせますね。
ホトケトンボと呼ぶ地方もあるのも納得できます。
私の職場でもハグロトンボはたくさん見られます。
オスのメタリックなボディーもきれいですが、
メスが翅を広げると絽のように透き通り、とても美しいです。
Commented by nenemu8921 at 2008-08-19 08:14
rinrinさんのお宅は大邸宅かな?
お庭に川も流れていたりして!!
水辺を好むようなんですよ。このトンボ。
Commented by nenemu8921 at 2008-08-19 08:22
こにタンさん。久しぶり。
ホトケトンボですか?初めて聴きました。
こにタンさん、拝見しましたよ。お宅の職場のトンボたち。
すごい写真ばかりですね。
ウスバキトンボの目玉、どうやって撮ったの!! どんなカメラで!?
アオメアブはきれいなサングラスですね!
Commented by 皐月 at 2008-08-19 10:21 x
鳩摩羅什も漢民族の皇帝にひどい目にあったのですよね~
現中国新疆ウイグル自治区がどんな状態にあるのか分かりませんが
このトンボに西域を思い浮かべるなんて、発想が壮大ですね。
Commented by sdknz610 at 2008-08-19 17:52
ハグロトンボの翅のスジもバッチリですね!
真ん中の翅広げ、いいチャンスをモノにしましたね!
青いけむりのなかをとぶ・・・何とも微妙な表現・・・。賢治はスゴイな~と♪
Commented by nenemu8921 at 2008-08-19 22:08
皐月さん。そうでした。歴史は後から来たものにいろんなことを考えさせますね。
北京オリンピックを見ながら、現中国の見えない部分も感じることがありますね。
中国にも賢治を通じての友人や知人がおりますけれども。

Commented by nenemu8921 at 2008-08-19 22:10
samさん。ありがとう。
samさんの画像にはかないませんが。
トンボや蝶の撮影をしていると、夢中になって時間があっという間ですね。
by nenemu8921 | 2008-08-17 20:50 | 昆虫・クモなど | Comments(12)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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