たうごま←トウゴマ

(略)
   ……砂丘のなつかしさとやはらかさ
      まるでそれはひとりの処女のやうだ……
はるかなはるかな汀線のはてに
二点のたうごまの花のやうな赤い火もともり
二きれひかる介のかけら
雲はみだれ
月は黄金の虹彩をはなつ
               詩「牛」下書稿(一)手入れ形「海鳴り」

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トウゴマ(トウダイグサ科)唐胡麻。別名ヒマ(蓖麻)
アフリカ原産の1年草(熱帯圏では多年草)。 
種からとれるひまし油(蓖麻子油)は下剤,印刷インキなどに使われる。
大きな葉は掌状に 5 ~ 11 に中裂し,鋸歯がある。長さ約 20 センチの直立した総状花序をつけ,上部には雌花,下部には雄花がつく。
種子は有毒。画像は雌花。

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左側の黄色い小さな花のかたまりが雄花。↑

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左の青い実が若い種子。そうです。オオオナモミに似ていますね。↑

1924年5月22日の日付がある作品。花巻農学校の生徒を引率して北海道修学旅行へ出かけた折の作品。苫小牧の製糸工場を見学した後、夜の海岸でのスケッチ。
戦前には、トウゴマはひまし油を採るために栽培する農家も珍しくなかった。
介(カイ)は、かたいことの意で、転じて甲羅、貝殻、よろいなどの意もあり、ここでは貝殻であろう。
トウゴマの花はもちろん雌花のことだろう。
こうして花を確認してみれば、海に灯った赤い火は小さな漁船でもあろうか。
この作品は手を入れられて、後に文語詩「牛」に改稿される。
Commented by rinrin at 2008-10-17 20:25 x
初めて見るような気がします。光に例えるなんてすごいですね
そんなにすばらしい花なんですか?
Commented by nenemu8921 at 2008-10-17 20:43
いいえ、すばらしい花とは…。
つまり小さな火だったと思うのですが。
rinrinさんの周辺ではトウゴマを栽培している農家はありませんよね。
Commented by グレ at 2008-10-18 00:37 x
こんばんは(*^。^*)/
初めて見ました!
まるで海の中の黄色いサンゴとサンゴ礁に張り付いている磯巾着の触手みたいです?
なんか不思議な植物ですね^^;

Commented by nenemu8921 at 2008-10-18 01:06
グレさん。賢治もビックリするようなすばらしい形容ですね。
植物も実に多彩ですね。
実は木場公園の緑化植物園での取材です。
調べたら、ここの帰化植物園にあると分かったので、グレさんの「クサギの実」の公園だと、がんばって行ってきました。
我が家から高速を使って、30分でした。駐車場もありました。
現代美術館へは以前家族と行ったことがあって、思い出しました。
ありがとう。

Commented by namiheiii at 2008-10-18 08:53
ふうむ、何処か近くの畑でで見たような・・・それにしてもこの植物からよくまあこれだけの想像と文章が湧き出るものですね。
Commented by sdknz610 at 2008-10-18 16:36
イガイガの実・・・面白い形♪ 
紅いピラピラがボ~っと松明のように見えましたが、こういう花があるとは、
初めて知りましたよ♪
Commented by nenemu8921 at 2008-10-19 20:37
namihei先生。お近くで、栽培しているところがありましょうか。
そうなのです。賢治の表現は過剰な面がありますね。
文章を読んだだけでは、どのようなものかと思い、実物を確認すれば……と、感じることも少なくありません。
それが文学の力ともいえますが。
Commented by nenemu8921 at 2008-10-19 20:40
samさん。本当に面白い花ですね。
今回初めて確認して、……ムム……と、思ってしまいました。
by nenemu8921 | 2008-10-17 18:32 | 植物 | Comments(8)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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