カテゴリ:色彩( 6 )

石竹色

石竹いろ?

(略)
ゆうべ凍った斜子(ななこ)の月を
茄子焼山からこゝらへかけて
夜通しぶうぶう鳴らした鳥が
いま一ぴきも翔けてゐず
しづまりかへってゐるところは
やっぱり餌をとるのではなくて
石竹いろの動因だった
(略)
           詩「春谷暁臥」


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セキチク(ナデシコ科ナデシコ属) Dianthus chinensis L 石竹

石竹とはナデシコの総称だが、石竹いろといった場合は、ピンクのこと。
石竹の英名は China pink である。
石竹いろの動因に関しては、以前ご紹介した。こちらをどうぞ。
↓ ですから、こちらは石竹だけれども、石竹いろとは呼ばないということでしょう。

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ナデシコ(撫子)というのは、カワラナデシコを指す場合が多いようです。秋の七草ですね。
こちらもナデシコと呼ぶのがふさわしいタカネナデシコ
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在庫画像から。
石竹は先日の三陽メディアフラワーミュージアムで。
タカネナデシコは昨年夏白馬で撮影したものです。
by nenemu8921 | 2014-07-29 00:06 | 色彩 | Comments(9)

ひわいろ

3日ほど郷里の前橋へ行っておりました。
赤城山のふもとの町も、里山も桜が満開でした。

ひわいろの
重きやまやまうちならび
はこねのひるの
うれひをめぐる
                歌稿B 270
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うすびかる
春のうれひを
ひわいろの笹山ならぶ函根やまかな
                  歌稿B 271
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風わたり
しらむうれひのみづうみを
めぐりて重きひわいろのやま
                歌稿B 272

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歌稿は大正5年3月、賢治、盛岡高農2年の時の修学旅行中の短歌。
ひわ色はマヒワの羽色のような黄緑色。
春の箱根の山々の印象をひわ色としている。

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by nenemu8921 | 2011-04-17 18:24 | 色彩 | Comments(16)

ご近所の紅葉狩り

散歩コースの真間川沿いの桜もきれいに色づきました。
春には近隣の皆さんがお花見を楽しむところです。

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今年は彩りがひときわ鮮やかです。
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あら、でも穴が目立ちますねえ…。(アメリカシロヒトリの発生??……)
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これを植栽した農家の方の話では管理がたいへんだとか。
消毒だけでも市が補助してくれれば助かるのですがねえとのこと。
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皆さんが楽しむお花見でもありますし。
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市が植えた桜かと思ったら、個人の篤志だったのですね。

「虔十公園林」を思い出してしまいました。
by nenemu8921 | 2010-11-27 21:01 | 色彩 | Comments(16)
(略)
「わたしのはしやつぽのうたです。」それはあの入口から三ばん目の木でした。
「よろしい。はじめ。」
「うこんしゃつぽのカンカラカンのカアン
あかいしやつぽのカンカラカンのカアン。」
「うまいうまい。すてきだ。わあわあ。」
「第六とうしやう、にせがねメタル。」
(略)
             童話「かしはばやしの夜」


「うこんしやつぽ」とは、ウコン(鬱金)色のシャッポ(chapeau)、帽子のこと。

しかし、ウコン色ってどんな色? 
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こんな色です。
ウコンで染められた布は虫除けになるといい、和服を包む大判の風呂敷、衣裳包の染料として用いられていました。(最近のものは殆どがウコン色の科学染料で、染められたもののようですが)


ウコンとは?
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こんな花が咲きます。
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こちらが葉です。
アキウコン(ショウガ科ウコン属) 
インドなどの熱帯アジア原産の多年草。根茎を香辛料や染料として古くから利用。
英名では、ターメリック(turmeric)。
秋ウコン、春ウコン、紫ウコンなどがある。

酒々井のハーブ園で花を撮影できたので、風呂敷を和箪笥の奥から引っ張り出してみました。
by nenemu8921 | 2009-07-20 12:26 | 色彩 | Comments(16)

石竹色

以前賢治の色彩語の用例として葱緑色を紹介した。
今回は気になる色彩語として、石竹色を考えたい。

略)
みんなはかぐはしい丘のいたゞき近く
黄金のゴールを梢につけた
大きな栗の陰影に来て
その消え残りの銀の雪から
燃える頬やうなじをひやす

しかもわたくしは
このかゞやかな石竹色の時候を
第何ばん目の辛酸の春に数へたらいゝか 
                   詩「北上山地の春」
 

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石竹色 石竹の花のような淡紅色。ピンク。
石竹→セキチク(ナデシコ科ダイアンサス属)
平安時代に日本に渡来した中国原産の多年草。園芸種として改良を重ねてきた。
岩間に竹のような葉をつけて咲くことからの名。

作品は外山詩群の一つ。春の代名詞として石竹色、なでしこ、ピンク、はごく一般的な使い方だ。


(略)ゆふべ凍った斜子(ななこ)の月を
茄子焼き山からこゝらへかけて
夜通しぶうぶう鳴らした鳥が
いま一ぴきも翔けてゐず
しづまりかへってゐるところは
やっぱり餌をとるのではなくて
石竹いろの動因だった
(略)
             詩「春谷暁臥」


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詩友森荘巳池と岩手山麓で一夜を過ごした折の詩。
夜通しぶうぶう鳴らした鳥とは、さわしぎ(オオジシギか、ヤマシギだろう)が、夜中ディスプレイ行動を繰り返していたことをさす。
石竹いろの動因とは繁殖期行動のイメージだろう。石竹いろはセクシュアルなイメージで用いられている。

この石竹という花は、優しい風情の花だが、宮沢賢治には花そのものの用例はなく、
すべて石竹いろとして登場し、春のイメージ、性的なニュアンスを滲ませて使用している。

今年、私の下ノ畑ではこの石竹は赤やピンク、白い花も四月頃から咲き始め、次々によく咲き、
未だに咲き続けている。
優しい花だと思っていたが、その繁殖力の旺盛なこと、ピンクであることなどが、
詩人に官能的なイメージを連想させたのかもしれないと思う。
by nenemu8921 | 2009-06-11 21:51 | 色彩 | Comments(2)

葱緑

葱緑とはどんな色か?!

賢治作品は他に類例を見ない多彩な色彩用語、色を形容する独特の表現があることでも知られますが、葱緑(そうりょく)という言葉が気にかかっておりました。

鳥がいっぴき葱緑の天をわたって行く
(略)                  詩「鳥の遷移」
 
 

季節外れのあたたかな陽ざしのさす午後。散歩の折に美しい小さな葱畑を見つけました。
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こんなみどり色のことかなと思いましたが…。
1924.6.21の日付のある作品で、カッコウが登場する舞台として描かれているので、もっと明るいイメージかなと思っておりました。
雑談の折、ふと漏らした言葉を拾って、さっそく壺中人さんから、メールが入りました。

葱緑
(名) あざやかな黄緑色  89頁
岩波 中国語辞典 倉石武四郎著 
1969年9月16日 第一刷発行  だそうです。ありがとうございました。

だとすると、こんな色でしょうか。逆光の中で葱緑はじつにきれいでした。 
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More つづきを読む
by nenemu8921 | 2009-01-21 14:42 | 色彩 | Comments(16)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921