カテゴリ:植物( 917 )

ばらの実

一つぶのばらの実を唇にあてました。
するとどうでせう。唇がピリッとしてからだがブルブルッとふるひ、何かきれいな流れが頭から手から足まで、すっかり洗ってしまったやう、何とも云へずすがすがしい気分になりました。空まではっきり青くなり、草の下の小さな苔まではっきり見えるやうに思ひました。
それにいままで聞こえなかったかすかな音もみんなはっきりわかり、いろいろの木のいろいろな匂いまで実に一一手にとるやうです。おどろいて手に持ったその一つぶのばらの実を見ましたら、それは雨の雫のやうにきれいに光ってすきとほってゐるのでした。
    童話「よく利く薬とえらい薬」


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画像提供はyonoさん
by nenemu8921 | 2006-11-28 23:19 | 植物 | Comments(0)
この荒れ畑の切り返しから
今日突然に湧き出した
三十キロでも利かないやうな
うすい黄いろのこの菊芋
あしたもきっとこれだけとれ、
更に三四の日を保する
このエルサレムアーティチョーク
イヌリンを含み果糖を含み
小亜細亜では生でたべ
ラテン種族は煮てたべる
古風な果蔬トピナムボー
  詩〔そもそも拙者ほんものの清教徒ならば〕

 
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キクイモ
キク科、ヒマワリ属、キクイモ 帰化植物。明治初期に資料として輸入されたものが各地で野生化している。エルサレム・アーティーチョークは英名で、エルサレムのヒマワリの意。果蔬トピナムボーは、果蔬(かそ)は食用にする果物や野菜のこと、トピナムボーはキクイモのフランス名。荒れ畑を開墾していて、キクイモの根茎がごろごろ出てきて、参っているのである。
しかし、賢治が言うように、確かにキクイモは、イヌリンをたっぷり含み、ビタミンもミネラルも豊富なので、最近では糖尿病改善、高血糖改善のための健康食品として注目されている。
しらべてみると、商品化されて、顆粒状にしたものやお茶やうどんまであるらしい。
http://www.e-kikuimo.com/index.html
きっと、宮沢賢治もびっくりしていることだろう。
今回、大迫の産直センターで袋入のキクイモが売られていたので、購入した。宿のご主人に話すと、「うちにもいっぱいある」と、行って奥から出してきて見せてくれた。そして塩漬けにしたものをご馳走になった。
by nenemu8921 | 2006-11-28 11:20 | 植物 | Comments(2)

ヤドリギ

「栗の木 死んだ、何して死んだ、
子どもにあたまを食われて死んだ」

「栗の木食って 栗の木死んで
かけすが食って 子どもが死んで
夜鷹が食って かけすが死んで
鷹は高くへ飛んでった」
 
     童話「タネリはたしかにいちにち噛んでいたやうだった」


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ヤドリギ(宿木)
クリ、ブナ、エノキ、ケヤキ、ミズナラなど、落葉樹の大木に寄生する常緑小低木。
常緑なので冬に宿主の葉が落ちると目立つ。
鳥がその実をついばみ、糞をすることで、他の枝に運ばれる。
賢治のヤドリギはクリの木がお気に入りのようだ。
カケスはヤドリギを食べるが、もちろんヨタカがカケスを食べることはない。
タネリはでまかせの歌を歌うのは得意である。
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晩秋のイーハトーブに行ってきました。
早池峰山の麓で、思いがけず出会いました。サガレン紀行は途中ですが、しばらく気ままに展開させてください。よろしく。from nenemu
by nenemu8921 | 2006-11-27 00:33 | 植物 | Comments(3)

不思議なブリーベル

不思議な釣鐘草(ブリーベル)とは何か。

海岸に多いハマベンケイソウではないかという説が有力であるが、内地のものより大きな花を咲かせる釣鐘草を見たという体験談もある。

私は海岸ではそれらしき植物に出遭えなかったが、郊外ではあちこちで野生化したコーンフリーを見た。


ハマベンケイソウ
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ツリガネニンジン
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コーンフリー
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by nenemu8921 | 2006-11-17 11:18 | 植物 | Comments(0)

こけももの実は

わたくしはしばらくねむらうとおもふ        
なぜならさつきあの熟した黒い実のついた
まつ青なこけももの上等の敷物(カーペット)と
おほきな赤いはまばらの花と
不思議な釣鐘草(ブリーベル)とのなかで
サガレンの朝の妖精にやつた
透明なわたくしのエネルギーを
いまこれらの濤のおとや
しめつたにほひのいい風や
雲のひかりから恢復しなければならないから
                詩「オホーツク挽歌」


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コケモモは黒熟しない。「サガレンと八月」でも、「タネリは云ひながら、黒く熟したこけももの間の小さなみちを、砂はまに下りて来ました」とある。同じような場所に生え、黒く熟すガンコウランのことではないかという説もある。しかし、見たままを書くのが賢治である。赤い実は遠くから見れば黒っぽくも見えたのかもしれない。[インドラの網]では、「こけももには赤い実もついてゐたのです」と書いている。

私は栄浜でコケモモもガンコウランも見つけることは出来なかった。
このスナップは 2006年、8月末、秋田の八幡平で撮影したものである。
by nenemu8921 | 2006-11-15 17:25 | 植物 | Comments(0)

【15】 妖精のしわざ


朝顔よりはむしろ牡丹(ピオネア)のやうにみえる

おほきなはまばらの花だ

真っ赤な朝のはまなすの花です

  ああこれらのするどい花のにほひは

  もうどうしても 妖精のしわざだ

         詩「オホーツク挽歌」


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by nenemu8921 | 2006-11-14 03:59 | 植物 | Comments(1)

チモシイ

チモシイの穂がこんなにみじかくなって
かはるがはるかぜにふかれてゐる
   (それは青いいろのピアノの鍵で
    かはるがはる風に押されてゐる)
          詩「オホーツク挽歌」


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チモシイはイネ科の植物で、ユーラシア産の多年草。
明治初期に牧草として輸入され、現在では広く各地に野生化した。オオアワガエリ。

風に揺れているチモシイの穂が、演奏するピアノの鍵盤のように
代わる代わるゆれているのである。
オホーツクの海風がチモシイのピアノで演奏するのは、亡き妹の死後の
ありようを案じる詩人のこころだった。




 
by nenemu8921 | 2006-11-12 16:28 | 植物 | Comments(0)

ヤナギラン

南の岬は、いちめんうすい紫いろのやなぎらんの花でちょっと燃えているやうに見え

その向ふには、とど松の黒い緑がきれいに綴られて、何とも云へず立派でした。

あんなきれいなとこをこのめがねですかして見たら、ほんたうにもうどんなに不思議に

見えるだらうと思ひますと、タネリはもう居てもたってもゐられなくなりました。

                                       童話「サガレンと八月」

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      いちめんのやなぎらんの群落が

      光ともやの紫色の花をつけ

              詩「鈴谷平原」



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by nenemu8921 | 2006-11-08 23:51 | 植物 | Comments(2)

菊花品評会

魚燈して霜夜の菊をめぐりけり

班猫は二席の菊に眠りけり

狼星をうかゞふ菊の夜更かな

秋田より菊の隠密はいり候

水霜をたもちて菊の重さかな

             風 耿


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いずれも菊花品評会の折の句。風耿は賢治の俳号。
花巻市の双葉町には美味しい酒を飲ませる「風耿」という料理屋があります。

魚燈はイワシやニシンなど脂肪分の多い魚から取った脂を用いたランプのこと。
菊の香りを魚くさいランプで損なわなかっただろうか?
班猫は、道教えと言われる昆虫。走る宝石と呼ぶ人もいる美しい虫。
菊と隠密の取り合わせが面白いですね。大掛かりな品評会だったのでしょうか。
菊の季節は東北では霜が降りるほどの寒い季節だったのですね。
by nenemu8921 | 2006-11-06 00:27 | 植物 | Comments(1)

ヒカゲノカズラ

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「占めた」と叫んで、お父さんは急いで帰って、仲間の蛙をみんなつれて来ました。
そして、林の中からひかげのかずらをとって来て、それを穴の中につるして、たうた
う一ぴきづつ穴からひきあげました。
                                    童話「蛙のゴム靴」



ヒカゲノカズラ(ヒカゲノカズラ科)
山麓にみる常緑の多年草。茎は針金状で地をはい緑色で、長さ2mくらい。葉は輪生、
またはらせん状につき、硬い。子のう穂は細茎の上に2~4個つき、淡黄色で円柱形。
胞子葉は広卵形で先が鋭くとがり、らせん状につく。その上部基部に腎臓形の胞子のうを
生じ、横にさけて黄臼色の胞子をだす。



杭穴に落ちた蛙君たちを救出するのに使ったのはこんな植物だったのです。
蛙の視点で世界を見てこその発想ですね。

by nenemu8921 | 2006-11-04 23:45 | 植物 | Comments(2)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921