カテゴリ:地質( 1 )

黒曜石

(略)
そしてさうだ、向ふの崖の黒いのはあれだ、明らかにあの黒曜石のdykeだ。
こゝからこんなにはっきり見えるとは思はなかったぞ。
よしうまい。
〔向うの崖をごらんなさい。黒くて少し浮き出した柱のやうな岩があるでせう。
あれは水成岩の割れ目に押し込んで来た火山岩です。黒曜石です。〕
ダイクと云おうかな、いゝや岩脈がいゝ。
〔あゝいふのを岩脈といひます。〕わかったかな。
〔わかりましたか。向うの崖に黒い岩が縦に突き出てゐるでせう。
あれは水成岩のなかにふき出した火成岩ですよ。岩脈ですよ。あれは。〕
ゆれているゆれている。光の網。
                                短編「台川」

c0104227_1021969.jpg
黒曜石(obsidian)
熔岩の急激な冷却によって結晶できずに生じた天然ガラスの一種。『新宮沢賢治語彙辞典』
ガラス質の火山岩。黒色または暗灰色、時に赤褐色。割れ目は貝殻状を示す。流紋岩質や安山岩質のマグマが冷えて固まったもの。先史時代には石器に使用された。近年は焼いて粉末にし、断熱材に利用する。十勝石など。黒曜岩。『三省堂大辞林』

c0104227_1024498.jpg


作品「台川」は、花巻温泉と大温泉の間を流れる実在の川。賢治が農学校の教師時代、生徒を連れての地形や岩石を調べるフィールドワークをスケッチしたもの。賢治の内心のつぶやきと現実に発せられた発言や、生徒の会話が織り込まれた構成になっている。

画像は八千穂高原で取材したもの。麦草峠から、白駒池まで歩く間にyutorieさんが見つけてくださった。
下の画像は拾った小さな石を磨いて、部屋で撮影したものです。
長野県霧が峰周辺や和田峠は良質の黒曜石の産地として国内でも屈指の場所。

まことに実り多き八千穂高原の休日でした。
宮沢賢が、イーハトーブと呼んだ世界は、
何処でも、だれにでも感じることが出来る世界なのだと実感しました。
今回の旅を企画してくださったyutorieさんに心から感謝をささげます。

More 続きを読む
by nenemu8921 | 2011-08-01 12:19 | 地質 | Comments(12)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921