カテゴリ:園芸植物( 7 )

家といってもそれは町はずれの川ばたにあるこわれた水車小屋で、ゴーシュはそこにたった一人ですんでいて、午前は小屋のまわりの小さな畑でトマトの枝をきったり甘藍(キャベヂ)の虫をひろったりしてひるすぎになるといつも出て行ったのです。
                           童話「セロ弾きのゴーシュ」

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今では誰でも知っているトマトやキャベツですが、賢治の時代は一般家庭ではなかなか普及しませんでした。
賢治は農芸化学をまなんだこともあり、洋野菜にはなじみが深く、トマトもキャベツもアスパラガスも作品中に登場しますが、キャベツのことは、当時の新聞でも、玉菜とか、甘藍(かんらん)と呼ばれていました。


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銚子は漁港で有名ですが、実はキャベツの産地としてもよく知られています。
山側の耕作地では風力発電の風車のある風景のなかにいちめんキャベツ畑が続いています。

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これは大根かな。今年は野菜が高騰してクッキングする人はたいへんですね。
広い畑に人の姿はほとんどありませんでした。一見すると、千葉県とは思えないですね。

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セイタカアワダチソウを前ボケにしました。

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by nenemu8921 | 2016-11-15 14:38 | 園芸植物 | Comments(14)
谷津バラ園に立ち寄りました。バラも年々新しい品種が話題になりますね。
今年の薔薇の見どころは?と尋ねると、「ナラシノ・ローズ」だそうです。
谷津は習志野市にあるんですね。(^_-)-☆ 
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それから「ヨハネ・パウロ2世」も自慢ですとか。なるほど、ローマ法王のイメージでしょうか。
聖なるもの、威厳あるもの…バチカンのお庭にはこの花が沢山咲いているのかな。
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誰が撮っても美しく、写真写りがよい花です。「プリンセス・ドゥ・モナコ」
(モナコ王妃、グレース・ケリーですね。彼女のイメージより可憐な気がします。)
一時期はどこのバラ園でもこの花がいちばん美しく感じられました。
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こちらは友人の好きなアンネ・フランクの薔薇。ヒラタアブがアクセントになってくれました。
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最近の品種だと思います。「バーガンディ・アイスバーグ」
アイスバーグって白バラでしたね。氷山という意味でしたか。育てやすい名花ですよね。はて??
調べてみたら、バーガンディはブルゴーニュの英語読みとか。地名ですね。ワィンの名産地。
そこから転じて、ワインレッド、暗紅色のこともさすとか。アイスバーグの改良種なのね。
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こちらは私の好きな「デンティ・ベス」。1925年の生まれですから、私より年上ですが。
古いバラ園にはたいてい今でもありますね。一重の薔薇ですが、野ばらっぽくないですね。
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たくさんの薔薇を撮影しましたが、ご紹介は一部だけです。
多分、たくさん見るのも飽きますよね。(^_-)-☆

よかったら、園内のスナップです。つづきをどうぞ。



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by nenemu8921 | 2016-11-05 20:54 | 園芸植物 | Comments(8)

ペントステモン

最近の三陽メディアフラワーミュージアム(旧花の美術館)は、
ボーダーガーデンに私のお気に入りの花が多く、訪れるのが楽しくなった。
ことにペンステモンが目立った。

多くはハスカーレッドという品種である。
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これはエレクリックブルーという品種。館内で。
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これもハスカーレッド。
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野外で栽培するとこんな大きな株になります。
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銅葉が美しい。
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ペンステモン(ゴマノハグサ科ペンステモン属)Penstemon 最近ではペンステモンで流通している。かつてはツリガネヤナギ、チョウジヤナギなどと呼ばれた。

そこはたしかに畑の雪が溶けてゐる
玉葱と ペントステモン
         詩〔鈍い月あかりの雪の上に〕


こちらに以前の解説があります。

ペンステモンは最近では沢山の種類が日本でも流通していますが、
賢治の時代にはかなり珍しい園芸植物だったろうとおもいます。
賢治は蒔種し、苗を作り、育てたようです。
どんな花を咲かせたのだろうか。

賢治の「宿根草種名備忘」というメモの中にも「ペントステモン」の文字が見えます。

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by nenemu8921 | 2014-05-31 15:20 | 園芸植物 | Comments(10)

これぞ園芸種!

さて、フラワー・ミュージアムの館内は春風景でした。
主にシクラメンと蘭をベースにした華やかな展開。
少しだけ紹介します。(館内は熱心に撮影しなかったので)
チューリップも新種のカンダーズラプソディという品種です。
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デザインされた花壇は園芸種の中でも新種ばかりを取り揃えたふうです。
フリージアです。大輪で色もソフトです。ブルーヘブン。注意深く見ないとフリージアとは思えません。
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宮沢賢治もこんなふうに自分で設計した花壇に、当時の人たちが見たこともない
新しい草花をふんだんに取り入れたかったに違いありません。
セイヨウオキナグサはこんなに大きくてはちょっと、違和感がありますね。
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こちらは温室で見つけたドンベヤ
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この美術館の名物の菜の花は咲きはじめたばかり。これから満開になります。
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More おまけです。
by nenemu8921 | 2014-01-09 17:57 | 園芸植物 | Comments(16)

ケール(葉牡丹)

お見舞いありがとうございました。メールやお電話も恐縮でした。
ぼちぼち行きますので、よろしくお願いいたします。

明るい被写体を求めて三陽フラワーミュージアムへ行ってみました。
旧千葉市花の美術館です。花壇のケールが目立ちました。

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宮沢賢治は数多くの花壇設計をしたことでも知られていますが、
実際に自分でもたくさんの園芸品種を栽培していました。
以下は昭和五年に使用していた銀行日誌手帳のメモの一部です。

四月二日((火) fine
Sowed Kale etc. on bed.

4月2日((火)晴れ
  ケールを苗床に蒔く。 でしょうか。
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別のページには
五月四日 ((土)晴時ニ雨
Kaleヲ植ウ
とあり、

さらに栽培品のリストと思われる別のページには
 On Bed
     59 Kale blue ◎ 50
     60  purple ◎ 50
    61    green ◎ 50 
とあります。

ブルーとパープル(紫)とグリーンのものをそれぞれ、50株作ったようです。
花壇の計画があったのか、あるいは販売などもしていたのかもしれません。
この年の夏以降は、宮沢賢治は東北砕石工場の仕事にシフトしていくわけです。

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園芸種は進化しているので、宮沢賢治が作ったものとは同じではないでしょうが、
ミュージアムでケールのあれこれを撮りました。
by nenemu8921 | 2014-01-08 01:18 | 園芸植物 | Comments(26)

アスパラガス

時計屋の店には明るくネオン燈がついて、一秒ごとに石でこさえたふくらふの赤い眼が、
くるっくるっとうごいたり、いろいろな宝石が海のやうな色をした厚い硝子の盤に載って、
星のやうにゆっくり循(めぐ)ったり、また向ふ側から、銅の人馬がゆっくりこっちへまはって
来たりするのでした。
そのまん中に円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。
                                             童話「銀河鉄道の夜」

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アスパラガス(ユリ科アスパラガス属)Asparagus spp.

アスパラガスの青い葉は、バラやカーネーションの花束に添えられるものでしたね。
最近ではかすみそうに代ってしまいましたが。

「えゝえゝ。さうです。おや、ごらんなさい。向ふの畑。ね。
光の酒に漬っては花椰菜でもアスパラガスでも実に立派なものではありませんか。」
                                        童話「チューリップの幻術」

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「アスパラガスは江戸時代にオランダ船から鑑賞用として日本にもたらされたが、食用として導入されたのは明治時代。そして本格的な栽培が始まったのは大正時代からで、欧米への輸出用缶詰に使うホワイトアスパラガスが始まりであった。その後国内でも消費されるようになり、昭和40年代以降はグリーンアスパラガスが主流となった。」と、Wikipediaにあります。

画像はこの九月に花巻郊外で撮影したもの。
車を止めて道をたずねたときに、眼に留まって撮影させてもらった。
赤い実が美しいが、野菜の栽培としては、こんなに実がついては如何なるものかと気になってしまった。
私が「下ノ畑」で栽培したときは、花を咲かせてしまい、野菜としては全然収穫できなかった。

「野菜はあなたがおつくりになるのですか。」
「お日さまがおつくりになるのです」
「どんなものですか」
「さやう、みづ、ほうな、しどけ、うど、そのほか、しめじ、きんたけなどです。」
「今年はうどの出来がどうですか」
「なかなかいゝやうですが、少しかほりが不足ですな。」
「雨の関係でせうかな。」
「さうです。しかしどうしてもアスパラガスには叶ひませんな。」「へえ」
                                 童話「紫紺染について」

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山男がイメージするアスパラガスはグリーンアスパラではなかったのでしょうか。
しかし、缶詰のホワイトアスパラを山菜と一緒にされてはなあ。。。と不審に思っておりました。


(略)
林は西のつめたい風の朝
頭の上にも曲った松がにょきにょき立って
白い小麦のこのパンケーキのおいしさよ
競馬の馬がほうれん草を食ふやうに
アメリカ人がアスパラガスを喰ふやうに
すきとほった風といっしょにむさぼりたべる
こんなのをこそspeisenとし云ふべきだ
   ……雲はまばゆく奔騰し
     野原の遠くで雷が鳴る……
林のバルサムの匂を呑み
あたらしいあさひの蜜にすかして
わたくしはこの終りの白い大の字を食ふ
                       詩「朝餐」

前半を省略しましたが、前後を勘案すれば、
白い小麦のこのパンケーキとは、大という文字を鋳出して焼いたせんべいである。
競馬の馬がほうれん草を食ふやうに、アメリカ人がアスパラガスを喰ふやうに
わたくしは朝の林の中で、すきとほった風といっしょに、これをむさぼるというのである。
speisen(シュパイゼン)はドイツ語で食事をするの意味らしい。
何故アスパラガスを食するかといえば、ドイツ人にとって、白いアスパラ、は春の訪れを告げる食べ物、
日本人が旬のタケノコを賞味するように、行事のように食するという。
こちらにドイツでの生活体験者のtamayamさんの記事があります。こちらをどうぞ。
賢治はおそらくそんなアスパラガスにまつわるエピソードを仄聞していたのだろう。
アメリカ人ではなくて、ドイツ人とすべきだった。食事もドイツ語なのだし。
賢治がイメージしていたアスパラガスとは、グリーン・アスパラでもなく、缶詰のアスパラでもなく、
旬を告げる野菜としてのSpargel(シュパーゲル)ホワイトアスパラだったのではないかしら。
などと妄想しています。

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ドイツの市場に並ぶアスパラガス。
画像はお借りました。
by nenemu8921 | 2013-11-08 14:44 | 園芸植物 | Comments(6)

アルメリア 

(略)
《これをほしくて来たのです……》
賢治がゆびさして教えてくれた。それは、みどりいろに銀のへりのある細い葉の草で、
桃いろの丸い小さな花がついていた。花壇のへりや、通りみちのかたわらに、たくさん咲き盛っていた。
花壇のりんかくを撮るための可憐な花であった。
賢治は小屋から持ってきた移植ベラで、そのかわいらしい花をどんどん掘り出した。
私はあっけにとられて、ぼんやり立ったままで、見ていた。心のどこかで私は考えた。
《花どろぼうは、どろぼうのうちにははいらない》と、聞いたことを。
賢治は、その草花を掘ると、幾株かのかたまりの根から、ていねいに土をふるいおとした。
それを持ってきた紙に包むと、洋服のポケットごとに、いっぱいにふくらむほど入れた。
そして、ニコニコ笑いながらいった。
《これは、とてもふえるんです。人のいないところだから、花どろぼうですね……》
森荘已池『宮沢賢治の肖像』より。

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宮沢賢治が詩友の森荘已池さんを連れて、母校盛岡高等農林のキャンパスを
訪ねた時の思い出話です。大正14年の5月のある日曜日。
このときの花は何だろうと気になると思いますが、伊藤光弥さんは次のように書いています。

「(略)森が丁寧に覚えていたので、この花がアルメリアだったことがわかる。
アルメリアは和名をハマカンザシといい、花壇の縁取りなどに使われる。
アルメリアには緑葉に銀のへりがある斑入り種も確かにある。
                             伊藤光弥『イーハトーブの植物学』
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アルメリア(イソマツ科ハマカンザシ属) Armeria vulgaris アルメリア、浜簪。
最近花屋で見かけるものは改良種が多く、多彩ですが、グランドカバーに使われる植物みたいですね。
これは千葉市花の美術館で5月に撮影したもの。
あっ、最近花の美術館はリニューアルされて、<u>三陽メディア・フラワーミュージアムと名称も変りました。


宮沢賢治といえば、オキナグサやカタクリなどの野の花を愛した人、というイメージが強いし、そのとおりだと
思いますが、一方で、当時、珍しかった(東北の戦前ですから)西洋の草花の種を、たくさん取り寄せて、栽培したり、
花壇設計をしたことも知られています。

残された手帳やノートなの記述を丁寧に読むと、かなり多くの種類の園芸種を大量に育てていたようです。
昨今では、ガーデニングは多くの愛好家がいるわけですが、戦前の東北で、周辺の人が見たこともないような
美しい花々を沢山栽培していたなんて驚きですね。
例えば、ペチュニアやリナリア、オーニソガラム、ネメシア、クラーキア、ポーチュラカ、スキザンサス、
モクセイソウ、ゴテチア、ダッチアイリスなどなど。多くが学名の記述です。
詩や童話で、登場する園芸種は多くはないのですが、メモを見るとくらくらしそうです。

今後は、折々に、賢治の手帳やノートのメモから、園芸植物も紹介していきたいと思います。
お付き合いくださいね。
by nenemu8921 | 2013-06-12 15:32 | 園芸植物 | Comments(12)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921