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こけもも←フレツプス

(略)
たしかに日はいま羊毛の雲にはひらうとして
サガレンの八月のすきとほつた空気を
やうやく葡萄の果汁(マスト)のやうに
またフレツプスのやうに甘くはつこうさせるのだ   
(略)                  詩「樺太鉄道」   


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コケモモ(ツツジ科スノキ属)苔桃
高山の岩地やハイマツの下に群落をつくって生える落葉小低木。6~8月に、白色またはやや赤みを帯びた長さ約6mmの鐘形の花を開く。液果は直径5~7mmの球形で赤く熟し、食用となる。

アカモノ(ツツジ科シラタマノキ属)
山地帯から高山帯の乾いたところに生える常緑小低木。茎は地面を這い、高さ10~20cmになる。若枝には赤褐色の開出毛がある。6~8月に上部の葉腋に長さ7~8mmの鐘型の白花をつける。果実は赤く熟す。和名は赤桃の転化ではないかという。別名をイワハゼとも言う。

mayahaさんからご指摘を頂き、訂正しました。
ありがとうございました。 
今後とも、皆さん、お気づきのことがあればお教えくださいね。

フレップスはコケモモ、ツルコケモモ、クオマメノキ、クロウスゴ、ガンコウラン、ケヨノミ等の液果の総称である。このアカモノの実もフレップスといえそうですが。
アイヌ語のフレプ(エゾイチゴの意)からきているらしい。
賢治作品では花は語られずフレツプスのイメージが多い。

追記
イーハトーブの友からコケモモの画像が送られてきました。
ようやく、ここ数日で咲き始めたようです。
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by nenemu8921 | 2007-06-28 18:35 | 植物 | Comments(4)
そのきらびやかな空間の
上部にはきんぽうげが咲き
  (上等のbutter-cup(バッタカップ)ですが
   牛酪(バター)よりは硫黄と蜜とです)
下にはつめくさや芹がある
ぶりき細工のトンボが飛び
雨はぱちぱち鳴ってゐる
(略)                   詩「休息」


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ウマノアシガタ(キンポウゲ科キンポウゲ属)馬の脚形
野原の土手などに多い多年草。
バターカップはキンポウゲの英名。賢治はこの言葉も気に入っていたらしい。
花びらのつややかさは絶品である。

草原にからだを投げだして休息のひとときを唄っている詩だ。
by nenemu8921 | 2007-06-27 01:17 | 植物 | Comments(2)
(息子がいつでも云ってゐる
技師といふのはこの男か
も少しからだも強靭(しな)くって
何でもやるかと思ってゐたが
これではとても百姓なんて
ひどい仕事ができさうもない
だまって町で月給とってゐればいゝんだが)
(略) 
(みんなで米だの味噌だのもって
寒沢川につれて行き
夜は河原へ火をたいてとまり
みづをたくさん土産にしょはせ帰さうと
とてもそいつもできさうにない)
(略) 
                    詩「会見」


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ウワバミソウ(イラクサ科ウワバミソウ属)蟒蛇草
山菜のミズは植物学上の標準和名はウワバミソウである。いかにもウワバミ(大蛇)が出そうなところに多いことからのネーミングであろう。
山地の湿り気のあるところに生えるやわらかい多年草。
最近では都会のスーパーでも購入できる。
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黄白色の小花をかたまってつける。
食するのは茎の部分。水分が多くて、癖がない。
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湯がいてフキのように皮をむき、からし酢味噌などで食すると美味。
9月末には茎にむかごのように実がつく。これは味噌漬けが絶品だが、それは又別の作品とともに紹介したい。

作品は一部だけしか紹介できないので、解説するのは難しいが、賢治が農村指導をしていた時期の作品。逞しい野武士の子孫のような百姓からみれば、作者、すなわち賢治はとても百姓なんて無理だから、町で月給取っていればいいんだがと思わせてしまう。
下書稿では「さういふ面白い人ならば、鍋だの味噌だのみんなでしょって寒沢川の奥のほうへみづをとりに連れて行って川原へ火を焚いて明かそうと云ったが、このアンコでは仕方ないとさういふことを考へてゐる」とある。
賢治自身の自意識過剰とも思える作品だが、事実関係は不明。
by nenemu8921 | 2007-06-25 21:39 | | Comments(2)
少し前セイタカシギのラブラブカップルのことをお知らせしました。
気にかかっていたので、久しぶりに谷津干潟へ出かけて、様子を見てきました。
あの折に出会ったカップルとは別のカップルが観察できる場所で抱卵していました。
ご覧ください。

これはパパです。
雨が降り始めたなかで、じっと長い脚を折りまげて、たまごを冷やさないようにがんばっていました。
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こちらがママです。若い鳥です。人間で言えば、ヤンママといったところ。
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水に映ったわが身を見て、「ああ、アタシってきれい? たまごのお守なんて…」と、つぶやいたりしていませんよ。
1時間ほどで♂♀交代で抱卵している様子です。
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セイタカシギ(チドリ目セイタカシギ科)
主に旅鳥として渡来。東京湾周辺では越冬、繁殖するものもある。
水田、蓮田、入り江などに住むが、多くない。
by nenemu8921 | 2007-06-24 21:50 | 番外 | Comments(0)
ごらんなさい。この花は黒繻子ででもこしらへた変り型のコップのやうにみえますが、その黒いのはたとえば葡萄酒が黒く見えると同じです。この花の下を始終往ったり来たりする蟻に私はたづねます。
「おまへはうずのしゅげはすきかい、きらひかい。」
蟻は活発に答へます。
「大すきです。誰だってあの人をきらひなものはありません」
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「けれどもあの花はまっ黒だよ」
「いいえ、黒く見えるときもそれはあります。けれども、まるで燃えあがってま赤な時もあります。」
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「そしてあの葉や茎だって立派でせう。やはらかな銀の糸が植ゑてあるでせう。
私たちの仲間では誰かが病気にかかったときは、あの糸をほんのすこうし貰ってきてしづかにからだをさすってやります。」
                                           童話「おきなぐさ」

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オキナグサキンポウゲ科オキナグサ属)翁草
ウズノシュゲは、地方名。

この花に逢いたくての旅でした。願いどうり出会うことができてハッピーでした。
ご案内頂いたイーハトーブの友に感謝します。

≪イーハトーブの友≫
ご存知ですか?「税務署長の冒険」という童話では、≪イーハトーブの友≫という名前のお酒が登場しますね。
by nenemu8921 | 2007-06-22 22:49 | 植物 | Comments(10)
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     ノビネチドリ(ラン科テガタチドリ属)延根千鳥
     ブナ林や針葉樹林の林下に生える多年草。高さ30~60cmになる。和名は、根がひも状になって伸びる様子をあらわしたもの。

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      ズミ(バラ科リンゴ属)酸味
      高さ6~8mになる小高木。別名コナシ。コリンゴ。安比で見たものはみな1mほどの低い樹木で、つぼみが多かった。標高が高いゆえか。五輪峠では、5メートルもある大きな木に花が満開だった。五輪峠は標高どれほどなのか…。昔、人々も賢治も歩いてここを越したのだ。
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     ウスバシロチョウ(アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科)薄羽白蝶
     林に続く明るい草原で、白いはねに陽を透かしながら、ふんわりと、あまり羽ばたくことなく飛ぶ。五輪牧野でたくさん見た。

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      オオタカネバラ(バラ科バラ属)大高嶺薔薇
      高山や北地に生える落葉低木。日本に自生するバラの原種の一つ。盗掘されてしまうらしく、1株だけ、一輪だけ咲いていた。
     
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      ヤグルマソウ(ユキノシタ科ヤグルマソウ属)矢車草
深山の谷沿いに生える多年草。和名は、5枚の小葉が掌状についた様子が、端午の節句の鯉のぼりに添える矢車に似ていることによる。

2007年6月10日。とうわ野鳥の会の皆さんと自然観察会に参加しての一日でした。ありがとうございました。
by nenemu8921 | 2007-06-21 22:42 | 植物 | Comments(6)
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     マイズルソウ(ユリ科マイズルソウ属)舞鶴草
     高さ10~25cmの多年草。亜高山帯の針葉樹林下にいちめんに群生していることが多い。今回はあちこちで可憐な白い花を満喫した。葉脈の曲がり方を鶴が翼を広げて舞っている姿に見立てた名だという。夏の終りには赤い実が目立ち、そのほうが存在感がある。
     
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     ベニバナイチヤクソウ(イチヤクソウ科イチヤクソウ属)紅花一薬草
     高山の森林内に生える常緑の多年草。群生することが多い。

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     ギンラン(ラン科キンラン属)銀蘭
     キンランに似た花だが、白色の花をつけることからこの名がある。山地や丘陵地の林内に生える多年草。蘭というゴージャスなイメージに遠い花だが、気品がある。

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     クリンソウ(サクラソウ科サクラソウ属)九輪草
     山地の湿り気のあるところに生える多年草。観賞用に栽培されていることも多く、台の民家の庭先で園芸種も多く見かけた。これは小岩井の奥で撮影したもの。

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     コバイケイソウ(ユリ科シュロソウ属)小梅蕙草
     亜高山地帯から高山地帯にかけての日あたりのよい少し湿ったところに生える多年草。茎は高さ50~100cmになる。早池峰の頂上近くにこの花の見事な群落があるが、8月でないと見られない。小岩井の奥で、小さな群落を見つけたが、まだ花はつぼみが多く、日あたりのよい場所で開いた花を見つけた。

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     ヤマオダマキ(キンポウゲ科オダマキ属)山苧環
     深山に生える多年草。くらかけ山の麓で、大きな群落に出会った。昨今では園芸種の華麗なオダマキをあちこちで見かけるが、ここで風に揺れていた花は素朴だった。ミヤマオダマキは花弁が青紫色で美しい。けれども、賢治作品には、どちらも登場しない。

岩手山を何度も登り、小岩井周辺をたびたび散策したという賢治であれば、ここで紹介した植物はどれも目に留めていたと思う。作品に登場しないのは残念である。一つ一つに心を引かれながらも、文学の素材としては描ききれなかったのだろうか。

ゆきねこさんのコメント「アナグマ先生のモーリオにおける講演会」はこちらをどうぞ。
ゆきねこさん、話題提供ありがとうございます。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20070620_8
また洞熊先生(アナグマ)はこちらです。
by nenemu8921 | 2007-06-20 11:35 | 植物 | Comments(8)
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     ブナの森にはたくさんの植物が見られた。はじめて出会ったものも多い。

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     ツクバネソウ(ユリ科ツクバネソウ属)衝羽根草
     輪生する4枚の葉を正月の羽根つきの羽根にたとえた和名。

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     ユキザサ(ユリ科ユキザサ属)雪笹
     山地の樹下に生える多年草。

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     エンレイソウ(ユリ科エンレイソウ属)延齢草

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     ルイヨウボタン(メギ科ルイヨウボタン属)類葉牡丹
     葉が牡丹の葉を思わせることからこの名がある。
by nenemu8921 | 2007-06-19 07:22 | 植物 | Comments(4)

ブナの森 エゾハルゼミ

イーハトーブは一つの地名である。しいて、その地点を求むるならば、それは大小クラウスたちの耕してゐた野原や、少女アリスがたどった鏡の国と同じ世界のなか、テパンタール砂漠の遥かな北東、イヴァン王国の遠い東と考えられる。実にこれは著者の心象中に、このような情景をもって実在したドリームランドとしての日本岩手県である。
そこでは、あらゆる事が可能である。人は一瞬にして氷雪の上に飛躍し大循環の風を従へて北に旅する事もあれば、赤い花杯の下を行く蟻と語ることもできる。
罪やかなしみでさへそこでは聖くきれいに輝いてゐる。
深いぶなの森や、風や影、月見草や、不思議な都会、ベーリング市迄続く電柱の列、それはまことにあやしくも楽しい国土である。
この童話集の一列は実に作者の心象スケッチの一部である。
それは少年少女期の終り頃から、アドレッセンス中葉に対する一つの文学としての形式をとってゐる。(略)
                            童話集『注文の多い料理店』広告チラシ文


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ブナの二次林
二次林とは、その土地に本来あった森林が、台風や噴火などの自然災害や伐採などによって失われ、その後に自然に再生した森林のこと。
安比高原のブナ二次林は、昭和初期、地元の人達の木炭や漆器等の資材にするため皆伐された。その際、1ヘクタール当たり1本ほどの母樹が、また、当時は手鋸を使っていたため、伐採できないような大きな木が残されたという。それらが親木となり、種子が落下し、一斉に発芽し、生育した森である。 
当時は牛の林間放牧も盛んに行われていたため、ブナの稚樹の成育をさまたげるササ等の競争相手が採食されたことも、生育にとって好都合だったようだ。
 
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     ブナ(ブナ科ブナ属)
     山地に生える落葉高木。高さ30mくらいになる。ブナの実は森で暮らすクマたちにとっては大切な冬の食料。運良く食べ残された実は春になって芽吹く。
賢治はこのチラシ文に椈の字をあてている。(誤植で掬となっているが)


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     エゾハルゼミ(セミ科セミ亜科)蝦夷春蝉
     成虫の体長は35mmほど。体色は黄褐色が強く、松林に生息するハルゼミよりむしろヒグラシに似ている。和名に「エゾ」とあるが、北海道だけでなく本州・四国・九州にも分布する。ただし西日本では標高の高い山地にしか生息せず、南にいくほど生息地が限られる。ハルゼミとちがってブナの林に生息する。成虫は6月から7月にかけて発生し、オスの鳴き声は「ミョーキン・ミョーキンケケケ…」などと聞きなされる。

森ではエゾハルゼミの大合唱に出会った。ああ、「雨のようだし、湧いているようだ」と思った。
ある人はエゾハルゼミの爆鳴といい、ある人は蝉津波と表現した。宮沢賢治だったら、なんと言うだろうか。
森じゅうにわあーん、わあーん、ぐぁぁーん、ぐぁぁーんと響いていた。
1本の大きな幹に、20も30も抜けがらがあった。
見れば、たったいま羽化したばかりの個体もあって、まだ羽がはんぶん伸びきっていないのだった。
by nenemu8921 | 2007-06-18 10:44 | イメージ | Comments(8)
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     オオバキスレか?タカネスミレか?
     葉が大葉黄菫のように思えるのですが…。高嶺菫でしょうか?

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     ヒメイチゲ(キンポウゲ科イチリンソウ属)姫一花
     亜高山帯の針葉樹林下や湿原などに見られる多年草。

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     ショウジョウバカマ(ユリ科ショウジョウバカマ属)猩猩袴
     山地のやや湿り気のあるところに生える多年草。紅紫色の花を猩猩の紅い顔に、下に広がった葉をそれの袴に見立てたことからの名ではないかという。 
    
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     ヒナザクラ(サクラソウ科サクラソウ属)雛桜
     雪の多い亜高山帯から高山帯の湿原に生える多年草。

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八幡平頂上付近は、まだ雪が残っていました。

イチゲの仲間は可憐である。早春に咲くキクザキイチゲをはじめて見たのも、数年前、カタクリを見に東北を訪れたときだった。賢治作品にこの花が登場しないのは、とても不思議に思う。
賢治のお気に入りのキンポウゲ科なのに。それとも、私が見落としているのかしら。
by nenemu8921 | 2007-06-16 20:42 | 植物 | Comments(4)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921