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ドイツトウヒ

わがうるはしき
ドイツたうひよ
(かゞやきの
そらに鳴る風なれにもきたれ)     歌稿B461

わがうるはしき
ドイツたうひは
とり行きて
ケンタウル祭の聖木とせん       歌稿B461a462
   大正六年四月

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ドイツトウヒ(マツ科トウヒ属)ヨーロッパ唐檜
明治中期に渡来した常緑針葉高木。高さ30mにもなるが、原産地では70mにも達する。老木では枝がたれる。5月ごろ開花。

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      球果はトウヒ属の中で最も大きく、長さ10~20cmの長楕円形。
      鳩時計のおもりはこれをかたどったもの。


大正六年は、賢治が盛岡高等農林学校3年生。このドイツトウヒは、構内にあったものを歌ったと思われる。
ケンタウル祭は「銀河鉄道の夜」に登場するが、聖木はクリスマスツリー風のイメージだろうか。

画像は7月22日、岩手大学を訪れて写したもの。生憎の雨の中での撮影で、ボケています。
岩大の構内には次のような標識がありました。
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by nenemu8921 | 2008-07-29 00:18 | 植物 | Comments(10)

地蔵菩薩

(略)
そこではしづかにこの国の
古い和讃の海が鳴り
地蔵菩薩はそのかみの、
母の死による発心を、
眉やはらかに物がたり
孝子は誨へられたるやうに
無心に両手を合すであらう
(略)
              詩 506〔そのとき嫁いだ妹に云ふ〕


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和讃は和文の七五調の仏をたたえる歌。(漢文調の漢讃に対しての語)
これを節づけて詠唱するのが御詠歌。

地蔵菩薩は、釈尊の入滅後、弥勒仏の出生するまでの間、無仏の世界に住して六道の衆生を教化救済するという菩薩。

嫁いだ妹の幼子が手を合わせるのは、こんな地蔵がいかにもふさわしい気がする。
「春と修羅」第二集の作品である。
盛岡市郊外天峰山の尼寺にて出会った地蔵たち。
by nenemu8921 | 2008-07-26 00:41 | イメージ | Comments(10)

ソバ

春になって、小屋が二つになりました。
そして蕎麦(そば)と稗(ひえ)とが播かれたやうでした。そばには白い花が咲き、稗は黒い穂を出しました。その年の秋、穀物がとにかくみのり、新しい畑が増え、小屋が三つになったとき、みんなはあまり嬉しくて大人までがはね歩きました。
                                      童話「狼森と笊森、盗森」


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ソバ(タデ科ソバ属)蕎麦
一年草。実の粉末(蕎麦粉)や、それを用いた麺(蕎麦)が食用にされる。
荒れ地でも容易に生育することから、救荒作物として5世紀頃から栽培されていた。原産地は、中国。

ソバの栽培風景は時を越えたものでしょうか。なぜか、はじめて出会っても懐かしい。

盛岡市郊外で見つけた。
思わず、車を停めて!! 写真を撮らせて頂き、帰りに「有難うございました」と
草取りをしていたご婦人に声をかけたら、「はずかしい…」って照れくさそうな表情でした。


追記
童話「狼森と笊森、盗森」の時代の人たちはソバを打って食したのでしょうか?
いや、そばもち、そばだんごみたいにしていたのかな?


c0104227_10595335.jpg外山森林公園のビジターセンターでいただいたそばもち。
実に素朴な味でした。


c0104227_1104014.jpg信州安曇野でいただいたそばもち。
ホットケーキ風で、味噌のソースがおいしかった。
by nenemu8921 | 2008-07-20 11:01 | 植物 | Comments(10)

ニホンリス

(略)一郎はまたすこし行きました。すると一本のくるみの木の梢を、栗鼠(りす)がぴよんと
とんでゐました。一郎はすぐ手まねぎしてそれをとめて、
「おい、りす、やまねこがここを通らなかつたかい。」とたづねました。
するとりすは、木の上から、額に手をかざして、一郎を見ながらこたへました。
「やまねこなら、けさまだくらいうちに馬車でみなみの方へ飛んでいきましたよ。」
「みなみへ行ったなんて、二とこでそんなことを言ふのはをかしいなあ。
けれども、まあ、もすごし行ってみよう。りす、ありがとう。」
りすはもう居ませんでした。
たゞくるみのいちばん上の枝がゆれ、となりのぶなの葉がちらつとひかつただけでした。
                                    童話「どんぐりと山猫」


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ニホンリス(ホンドリス)(ネズミ目 リス亜科)
日本列島に住むリスは北海道にエゾリス、エゾシマリス、本州、四国にニホンリスが生息する。最近では移入されたタイワンリスやチョウセンシマリスが増えて、在来種への影響が懸念されている。
画像は先月、盛岡市郊外のネイチャーセンターで、窓越しに訪れたリス君。
by nenemu8921 | 2008-07-19 01:46 | 鳥・動物 | Comments(6)

どんぐり

「(略)そこで今日のお礼ですが、あなたは黄金(きん)のどんぐり一升と、塩鮭(しほざけ)のあたまと、どっちをおすきですか。」
「黄金(きん)のどんぐりがすきです。」
 山猫は、鮭(しゃけ)の頭でなくて、まあよかったといふやうに、口早に馬車別当に云ひました。
「どんぐりを一升早くもってこい。一升にたりなかったら、めっきのどんぐりもまぜてこい。はやく。」
 別当は、さつきのどんぐりをますに入れて、はかって叫びました。
「ちやうど一升あります。」
                                  童話「どんぐりと山猫」

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ドングリ
ドングリ(団栗)はブナ科のクヌギ・カシ・ナラ・カシワなどの果実(正確には種子ではない)の総称である。
一昨日、ベランダの下のマテバシイの木を剪定したら、もうこんな青い実がついていた。
ある会で、お土産にどんぐりを枡一杯いただいたことがある。かねだ一郎くんの気分で、嬉しかった。
by nenemu8921 | 2008-07-17 22:20 | 植物 | Comments(8)

たばこ

(略)
少し行くと一けんの藁やねの家があって、その前に小さなたばこ畑がありました。たばこの木はもう下の方の葉をつんであるので、その青い茎が林のやうにきれいにならんでいかにも面白さうでした。
 すると又三郎はいきなり、
「何だい、此の葉は。」と云ひながら葉を一枚むしって一郎に見せました。すると一郎はびっくりして、
「わあ、又三郎、たばこの葉とるづど専売局にうんと叱られるぞ。わあ、又三郎何してとった。」と少し顔いろを悪くして云ひました。みんなも口々に云ひました。
「わあい。専売局でぁ、この葉一枚づつ数へて帖面さつけでるだ。おら知らなぃぞ。」
「おらも知らなぃぞ。」
「おらも知らなぃぞ。」みんな口をそろへてはやしました。
 すると又三郎は顔をまっ赤にして、しばらくそれを振り廻はして何か云はうと考えてゐましたが、
「おら知らないでとったんだい。」と怒ったやうに云ひました。
 みんなは怖さうに、誰か見てゐないかといふやうに向こふの家を見ました。
                                       童話「風の又三郎」


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タバコ(ナス科タバコ属)
たばこの原材料となる植物は、ナス科タバコ属の「ニコティアナ・タバカム」。
この「ニコティアナ・タバカム」は、ロート状のピンクの花を咲かせるが、タバコ栽培では葉肉を充実させるために花はすぐに摘まれてしまうとか。
物語は九月五日の章である。タバコの葉は黄色く色づいた葉を下から一枚づつ収穫する。
これは先月、岩手県旧玉山村(現盛岡市)にての撮影なので、まだ若い状態だ。
昔は専売制だったので、葉を一枚づつ管理していたのだろうか?
この童話は方言が難しくて、子どもが幼いとき、読み聞かせるのに苦労した思い出がある。

最近ではタバコを吸う人は国賊扱いである。健康志向、環境のクリーン化への掛け声のもとに。

宮沢賢治は愛煙家ではなかったが、時としてタバコを吸って見せたというエピソードもある。

タバコ栽培といえば映画「早池峰の賦」(羽田澄子監督)を思い出す。
早池峰山麓に暮らす人々の四季折々の生活を描いたものだ。神楽舞い、タバコ栽培のシーンなど、延々と黙々とカメラを回しつづけた、いい映画だった。
by nenemu8921 | 2008-07-15 11:00 | 植物 | Comments(18)

蕪島

1926(大正15・昭和元)年、8月、賢治は、妹シゲ、その長男純蔵、末妹クニをつれ、八戸方面へ小旅行を試みる。くたびれた白い麻の服を着、幼な子をあやしたり抱いたり、車窓を過ぎる風景を説明しながら八戸、鮫島着。陸奥館に入る。(略)
翌日は種差海岸へいく。(略)
三日目、朝早く砂浜に出ると、漁師のおばさんが海でとったばかりの大きなアワビを六、七個持っており、頼むと五〇銭でわけてくれたので安いのに驚く。
今日は舟を頼んでウミネコの繁殖地蕪島を見にゆくのである。屈強の男がふたり舟をこいで島へのりつけて上る。一面雑草の中に数知れぬウミネコがおり、春やってきて産卵し生まれたヒナたちを加えて何千羽かわからない。
男たちが雑草を根こそぎぬいて放りなげると、休んでいた鳥たちは一斉に舞い上がりミュウミュウと空をまっ暗に覆ってとびまわった。やがて騒ぎがおさまり、再び舟にのって帰る。
(略)
                           新宮沢賢治校本全集第16巻(下)年譜篇


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現在では島の周辺は埋め立てられて、蕪島は地続きである。
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先月訪れたときは繁殖期の終わりに入っていた時期で、大きくなったヒナがあちこちに見られた。
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それにしても野生に生きるものはきびしい。雨、狭いテリトリーをめぐっての争い、親鳥たちの表情も必死に見えた。
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   宮沢賢治はウミネコの群を見てどんな風に感じたのだろう。この小旅行に関連した作品としては駅で見かけた人をスケッチした文語詩しか残されていないのが残念である。
by nenemu8921 | 2008-07-12 04:34 | 場所 | Comments(12)

鱗翅目 鞘翅目 

凝灰岩(タフ)もて畳み杉植ゑて、    麗妹六七なまめかし、
南銀河と野の黒に             その牖々をひらきたり。

数奇(すき)の光壁(こうへき)更たけて、千の鱗翅と鞘翅目、
直翅の輩はきたれども、          公子訪へるはあらざりき。
                                   文語詩「林間開業」


難しい文語詩だが、大胆に意訳すれば、
林の中に開業した店があるというのである。石造りで、植木も配され、美女が6,7人もそろっている。
星空のもと、野に窓を開けてみれば、たくさんの蛾やら甲虫、バッタなどばかりで、いっこうにイイ男の来店はなかったというのである。
宮沢賢治研究者諸兄にはお叱りを受けそうだが、アカデミックにこの作品を読みたい方には「文語詩の森」(宮沢賢治研究会編・柏プラーノ)をお勧めする。

さて、鱗翅目とは、蝶や蛾などチョウ目のこと。 鞘翅目は甲虫やオサムシなど、コウチュウ目のこと。 直翅目はコオロギ、キリギリス、バッタなどバッタ目のこと。

最近出会った鱗翅目 鞘翅目を紹介したい。
ゴマケンモン(ヤガ科)
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アオハムシダマシ(ハムシダマシ科)近縁種はいくつかあるようだ。ハマナスの花に見つけた。
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虫ナビさんのご協力をいただきました。
by nenemu8921 | 2008-07-08 22:05 | 昆虫・クモなど | Comments(10)

栗の花

(略)
はげしい栗の花のにほひ
送ってきたのは西の風だ
谷の霧からまっ青なそらへ
岬のやうに泛んでゐる
向こうの尾根のところどころ
月光いろの梢がそれだ
そのいちいちの粟のやうな花から
風にとかされ無数の紐や波になって
ここらの尾根を通るのだらう(略)
                 詩〔朝日が青く〕

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クリ(ブナ科クリ属)栗
高さ17mほどにもなる落葉高木。多くの品種があり、果樹としてもよく植えられている。花期は6月ごろ。雄花は長さ約15cmの花序につき、雌花はその下部に着く。
花は独特の芳香がある。

風にとかされて紐や波になるのは栗の花の香りばかりでない。
時として「鳥とは青い紐である」(詩「春夜暁臥」)と、詩人は言う。
by nenemu8921 | 2008-07-07 01:07 | 植物 | Comments(8)
1930(昭和5)年4月15日 レタスの種まき
           4月19日 晴れ ラディッシュの種まき
           4月26日 曇  レタス・ラディッシュ・アスター百日草すべて発芽
           5月23日 曇時に雨 ラディッシュの収穫をはじめる
                             新校本宮沢賢治全集第十六巻(下)年譜篇レタス
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   ラディッシュ
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昭和3年夏、疲労が祟って病に倒れ、この頃の賢治は豊沢町の自宅で療養生活を続けていた。
ようやく小康を得て、この昭和5年春頃から苗床を作り野菜や草花などを栽培していたことが銀行日誌手帳から伺える。
私も作ってみた。ラディシュは1月ほどで収穫できる。
レタスは隣人の苗を頂き、育てたもの。外側の葉から1枚づつ使う分だけちぎって使います。

ジャガイモの収穫
そして、ジャガイモの収穫をしました。ちょっと早かったかな?
でも粒がそろわなくても、新鮮な野菜はたいへんおいしい。
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ブルーベリー
畑の隅に1本だけあるブルーベリーも実が色づき始めた。
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4月末にこんな小さな花を咲かせました。
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by nenemu8921 | 2008-07-06 01:18 | 植物 | Comments(6)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921