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鳳仙花→ホウセンカ

鳳仙花
実をはぢきつゝ行きたれど
峡のながれの碧くかなしも
                 歌稿352


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ホウセンカ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)鳳仙花
熱帯アジア原産の1年草。本来の花の色は赤だが、園芸品種の花には赤や白のものがあり、八重咲きや距のないものもある。
果実はさく果で、熟すと果皮の内外の細胞の膨圧の差によって弾性の力を蓄積し、弾けて種を遠くに飛ばす。自然に弾ける寸前となった果実は指で触るなどの些細な刺激でも容易に弾ける。属名Impatiens インパチェンス(ラテン語で「我慢できない」の意)もこのことによる
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ツリフネソウ科と聞いて、そーかと思い、探してみるとキツリフネが出てきました。眺めてみると、たしかによく似ていますね。
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キツリフネ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)黄釣船
山中の湿地に生える1年草。賢治作品にはツリフネソウもキツリフネも登場しないのは残念だ。多分しばしば目にすることが多かった植物だと思うのだが。

歌稿352は大正5年7月~に分類されている作品。賢治、盛岡高農2年生。20歳。
荒川上流という表記がある。
9月2~9日にかけて行われた秩父、長瀞、三峰地方、土性・地質調査見学に参加した折の作品。
峡は秩父周辺の山峡であろう。
by nenemu8921 | 2008-08-28 15:38 | 植物 | Comments(8)

サルスベリ

(略)
けれども二人が一つの大きな帳面をのぞきこんで、一所に同じやうに口をあいたり少し閉ぢたりしてゐるのを見ると、あれは一緒に唱歌をうたってゐるのだといふことは、誰だってすぐわかるだらう。
僕はそのいろいろにうごく二人の小さな口つきをじっと見てゐるのを、大へんすきで、いつでも庭のさるすべりの木に居たよ。
ペムペルはほんたうにいゝ子なんだけれどかあいさうなことをした。
(略)
                                         童話「黄いろのトマト」


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サルスベリ(ミソハギ科サルスベリ属)百日紅
高さ3~9mになる落葉小高木。幹がなめらかな感じなので、この和名がある。
また、花期が長く、赤い花が次々と咲き続けるという意味でヒャクジッコウ(百日紅)ともいうが、
中には白色やピンクの花もある。公園樹。庭園樹。

「黄いろのトマト」は、博物館のガラスの戸棚の中の剥製の蜂雀が、私に語ったペムペルとネリのかあいさうな物語だ。
ペムペルとネリの暮す国は国籍不明だが、サルスベリは庭に植えられていたらしい。
蜂雀はこちらをどうぞ

サルスベリには青空がよく似合う。
by nenemu8921 | 2008-08-27 19:44 | 植物 | Comments(6)

ネムノキ

花さける
ねむの林のかたはれを
からすの尾ばね嗅ぎつゝあるけり  歌l稿197

いずくよりか
烏の尾ばね
落ちきたりぬ
ねむの林の
たそがれを行けば            197異稿

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ネムノキ(マメ科ネムノキ属)合歓の木
山地や川岸、野原などに生え、高さ6~10mになる落葉高木。
樹皮は灰褐色でなめらか。葉は大形の2回羽状複葉で、夜になると小葉は閉じる。
6~7月、枝先に10~20個の花が集まった頭状花をつける。淡紅色の花糸が目立つ。
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歌は大正3年4月~に分類されている作品。この年の3月賢治は盛岡中学を卒業し、
4月半ばに盛岡市岩手病院に入院。肥厚性鼻炎の手術を受ける。
このとき看護婦に片恋をしたと伝えられている。
この夏の宮沢賢治は家業の手伝いに身が入らず、悩んでいた。
その時期の歌であろう。

北上川の河原でもよく見かける木ですが、なかなかいいタイミングの写真が撮れない。
このネムノキは、今年7月千葉県市原の森で出会ったもの。
高い木が多いため、アップで花はなかなか撮影できませんでしたが、こうしてみると、
なにやら、悩める少年の心象スケッチのようにも見えますね。
by nenemu8921 | 2008-08-25 13:51 | 植物 | Comments(16)

ブナ林

(略)
   《ああいい さつぱりした
    まるで林のながさ来たよだ》
鳥のやうに栗鼠(りす)のやうに
おまへは林をしたつてゐた
(略)
                 詩「松の針」


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(画像はクリックすると大きくなります)
ブナ林に入ると、いつもこの一節を思い出す。
by nenemu8921 | 2008-08-19 10:11 | イメージ | Comments(14)

ハグロトンボ

(略)
さう亀茲国の夕日のなかを
やっぱりたぶんかういふふうに
鳥がすうすう流れたことは
そこの出土の壁画から
たゞちに指摘できるけれども
池地の青いけむりのなかを
はぐろとんぼがとんだかどうか
そは杳として知るを得ぬ
            詩 一五四 「亜細亜学者の散策」

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ハグロトンボ(カワトンボ科)羽黒蜻蛉
成虫は5~10月頃まで見られ、とくに7~8月に多い。主に平地から低山地のヨシなどの挺水植物や、エビモ、バイカモなどの沈水植物などが茂る緩やかな流れに生息する。幼虫は、おもに夜半から早朝にかけて、挺水植物などに定位して6~7月頃に羽化する。羽化後の若い個体は薄暗いところを好み、水域から離れて林の中で生活するが、成熟すると再び水域に戻り、明るい水辺の石や植物などに止まり縄張りを張る。交尾後、雌は水面近くの水中植物に産卵する。
画像は上から♂、♂、♀。

作品は「春と修羅」第二集のもの。
亀茲国はキジコクと読み、西域の古国。現在のクチャの地。現中国新疆ウイグル自治区。
インドと接する古代亀茲国は中国人とインド人との混血も多かった。「法華経」を漢訳した鳩摩羅什もインド人を父に、中国人を母にしてこの地で生まれた。天山山脈南麓に位置し、シルクロードの中継点の一つ。仏教文化が栄え、寺院址等の遺跡も多い。
宮沢賢治にとっては憧れの地でもあったのだろう。
by nenemu8921 | 2008-08-17 20:50 | 昆虫・クモなど | Comments(12)

沖縄で出会った人たち

水牛をひく人(西表島で)
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じいちゃんと孫(石垣島の農家で)。 ワイルドな鶏を撮影させてもらいました。
じいちゃんが持っているのはガァバという果物です。
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これです。庭先の実をもいでくれました。かじるとすごくジューシーでおいしかった!

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パイナップル畑で。
花を撮影させてもらったのですが、食べたそうに見えたのかな。
持っていた鎌で器用にパイナップルを切って食べさせてくれました。すごく甘かった!!
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石垣島の舟蔵という古い料亭で。沖縄の歌を歌ってくれました。
後ろの女性は踊ってくれた方です。
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お会いした方たち。皆さんに親切にしていただきました。有難うございました。
沖縄は人も自然もゆったりしていました。
by nenemu8921 | 2008-08-16 21:23 | 番外 | Comments(6)

沖縄の植物 ③

ノボタン(ノボタン科)です。園芸種みたいですが、山道に咲いていました。
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蝶はカバマダラ。植物の名は不明。直角に曲がっているのは成り行きなのでしょうね。
どなたか、ご存知でしたら、ご教示下さい。
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ガジュマル(クワ科)だったと思います。スゴイ根っこですね。
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もっとスゴイ根っこ、ヒルギなど。マングローブの林で
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どこの家に庭にも咲いている花、ベニデマリ(アカネ科)というようです。
どこでもよく見かけた蝶、オオゴマダラです。
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オオゴマダラのサナギは黄金色です。                幼虫はこちらです。由布島植物園でc0104227_22572122.jpgc0104227_22574666.jpg
by nenemu8921 | 2008-08-14 22:57 | 番外 | Comments(10)

沖縄の花 ②

沖縄の花のつづきです。
賢治ファンには気になるめくらぶどうですが、南の島では陽気な表情でした。
テリハノブドウ(ブドウ科)です。
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リュウキュウボタンヅル(キンポウゲ科)
いつもボタンズルを見ると、センニンソウかと一瞬考えてしまいます。
賢治の詩にもセンニンソウか、カオリンゲルかと、呟く一節がありましたっけ。
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オキナワスズメウリ(ウリ科)
「えっ、これが天然もの?」と思ってしまいました。まるで作り物のようでしょう。
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パイナップルの花です。果実はおなじみですが…。栽培畑で。
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キチョウが吸蜜しているのはアワユキセンダングサ(キク科)です。
野菊と秋明菊とかけあわせたような…と思ったら、種を見てセンダングサと納得。
でも、なぜ、雪のない国に淡雪なのかしら? 島の何処でも見ることが出来ます。
帰化植物です。
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ギンネム(マメ科)です。
牛の飼料として入ってきて、いまや全島を席巻するほどの勢いで増えているとか。
花はカワイイのですが…。
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ホテルのプール前の芝生で見つけたアオタテハモドキです
蝶は、種類も数も実に多く楽しませてもらいましたが、なかなかキャッチできませんでした。
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by nenemu8921 | 2008-08-13 09:20 | 番外 | Comments(12)

沖縄の花 ①

おかげさまで企画展が無事スタートできましたので、
以前から予定していた旅行に家人とともに出かけました。
本当のことを言えば、PCやメールの調子が復活せず、別の宿題は
仕上がらないままの出発でしたので、少々うしろめたい気分でしたが、
もう、あれこれ考えずに出かけました。
家族で過ごす夏休みはン十年ぶりだったのです。

行き先ははじめての石垣島。青い空とサンゴ礁の海。
宮沢賢治だったら、この底抜けに明るい海を、なんと表現するかしら。
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知人の経営するリゾートホテル。萱で葺いたポリネシアスタイルのコテージをお借りし、
ゆったりした時間を過ごしました。コテージの前庭にはバナナやアダンの実が下がっていて、
その茂みを抜けると、すぐビーチです。
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初めて出会った沖縄の植物を紹介します。
パパイヤ(パパイヤ科)の花です。パパイヤは果物と野菜があるそうです。
お刺身のツマがパパイヤでした。
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こちらはアダン(タコノキ科)の実です。田中一村の絵を思い出しました。
一村といえば、またアカショウビンも思い浮かべますが、実際に朝方アカショウビンの声が
しきりにしていました。姿は確認できず、残念。
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ゲットウ(ショウガ科)月桃と書きます。
この葉で食物を包むそうです。
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アリアケカズラ(キョウチクトウ科)島のあちこちで見かけました。
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やはりハイビスカスがないと……。
赤いハイビスカス(アオイ科)は、野生化した木が島の至るところにありました。
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植物園ではピンクや黄色、八重咲きのものなど多種多様のハイビスカス。
しかし、白い花も美しかったのです。
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by nenemu8921 | 2008-08-12 16:28 | 番外 | Comments(12)

宮沢賢治と鳥っこ展 ②

鳥っこ展の会場はこんな風に展示されています。
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又、この展示を開催しているもりおか啄木賢治青春館はこんな建物です。
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こちらから2Fのホールに直接行くことも出来ます。
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ステキな建物でしょう。実はここは明治43年築の旧第九十銀行を再生したものだそうです。
石川啄木と宮沢賢治が青春時代を過ごしたこの盛岡の街とふたりの青春時代を紹介する博物館というわけです。1Fは啄木と賢治に関する常設展示と、落ち着いてコーヒーが飲める喫茶室があります。2Fのホールで「宮沢賢治と鳥っこ展」が開催されています。2Fにはかつての銀行の頭取室があって、そこでは啄木と賢治を紹介するビデオが流されています。建物は国の重要文化財だそうです。以前ご紹介した岩手銀行とは通りを隔てて斜め前にあります。その後ろを中津川が流れています。
二人の文学者を育てた盛岡の町はほんとうに気持ちのいい、落ち着いた北の都会です。
by nenemu8921 | 2008-08-05 18:27 | その他 | Comments(27)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921