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臼田宇宙空間観測所

なつかしき
地球はいづこ
いまははや
ふせど仰げどありかもわかず
             歌稿159

そらに居て
みどりのほのほかなしむと
地球のひとのしるやしらずや
             歌稿160


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臼田宇宙空間観測所
ご案内をいただいて巨大なパラボナアンテナを見に行きました。
長野県佐久市(旧南佐久郡臼田町)にあります。直径64mのパラボラアンテナは日本最大かつ東洋最大。 ハレー彗星探査機「さきがけ」「すいせい」との交信を行うために1984年に運用が開始され、その後も火星探査機「のぞみ」や小惑星探査機「はやぶさ」など、日本の惑星探査機の運用を支えてきた施設です。
宮沢賢治だったら、かなり強い関心を持って眺めただろうなと思いました。
このあと、サルオガセの森へ行くのが気になって、中の施設は見学せずに失礼してしまいました。

短歌は、賢治若き日の精神不安定な時期の作品。
自身の居場所を地球の外に感じていたのでしょうか。疎外感もスケールが大きいですね。
by nenemu8921 | 2011-07-30 10:30 | 天体 | Comments(12)
こいつはもう
あんまり明るい高級(ハイグレード)の霧です。
白樺も芽をふき
からすむぎも
農舎の屋根も
馬もなにもかも
光りすぎてまぶしくて
    (よくおわかりのことでせうが
     日射しのなかの青と金
     落葉松は
     たしかにとどまつに似て居ります)
まぶし過ぎて
空気さへすこし痛いくらゐです
                      詩「高級の霧」

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作品は「春と修羅」中の一篇。1922(大正11)年6月27日の日付がある。
おそらく小岩井農場周辺の景観であろう。
賢治作品にはからまつは度々登場する。落葉松とも書き、ラリックスとも呼ぶ。
岩手山の麓でなく、八ヶ岳の麓でもハイグレートの霧が立ち込める。

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by nenemu8921 | 2011-07-28 16:24 | 植物 | Comments(10)
最初の朝、yutorieさんのご案内で、日の出を見に行きました。7月22日4時27分
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雲海が見事でした。

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4時49分

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4時56分
あっという間の暁のショーでした。さわやかな高原の朝が始まります。

その後は山荘に戻って朝食までの間、周辺の野草や昆虫を撮影しました。

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ホタルブクロ(キキョウ科ホタルブクロ属)Campanula punctata Lam. 蛍袋 賢治も好きな花ですね。

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ウツボグサとセセリチョウ

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ノアザミとモンキチョウ

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ヒカゲチョウの仲間?

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この白い蛾は?

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これはカミキリムシの仲間?

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by nenemu8921 | 2011-07-27 10:38 | 植物 | Comments(14)

八千穂高原② コメツガ

(略)
またこめつがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな
大きな乾葡萄(レジン)がついてゐる
(略)
             詩「山の晨明に関する童話風の構想」

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コメツガ(マツ科ツガ属)Tsuga diversifolia 米栂
亜高山帯にふつうに生え、高さ20~25mになる常緑針葉高木。

詩「山の晨明に関する童話風の構想」は、早池峰山の夜明けを歌ったもの。
でも、八ヶ岳の麓でも、この一節をすぐに思い浮かべた。
かつて高村光太郎はこう言った。
「内にコスモスを持つ者は世界の何処の邊遠に居ても常に一地方的の存在から脱する。
内にコスモスを持たない者はどんな文化の中心に居ても常に一地方的の存在として存在する。
岩手県花巻の詩人宮沢賢治は稀に見るこのコスモスの所持者であった。
彼の謂ふ所のイーハトヴは即ち彼の内の一宇宙を通してこの世界全般のことであった。」と。

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by nenemu8921 | 2011-07-25 11:09 | 植物 | Comments(6)
友人のお招きをいただいて、涼しい信州へ行ってきました。
ところが、出かけたこの2,3日は首都圏も涼しかったようですね。
でも、八ヶ岳の麓、八千穂高原はイメージどうりすてきなところでした。
すばらしい友人との出会い、楽しい時間、気持よく残された大自然を堪能しました。
賢治ワールドのイメージの重なりを絡めながら、少しづつご紹介したいと思います。
どうぞ、お付き合いください。

(略)
プランペラポランは
塞外の砂漠で
三十年馬を下りなかったために
たうたうからだが鞍に着き
鞍が又馬とくっついて
又顔や手にはさるをがせ
一面に生えて どうしても
このままお目通りにでられません。
いますぐ医者にかゝかりまして
それからお顔を拝します
              童話「三人兄弟の医者と北守将軍」


さるをがせって……? ご存知ですか?こんなのです。
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以前、ご紹介した記事は→こちらをどうぞ。

こんなふうに樹木に着生する地衣類(苔の仲間)なのです。
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こんな森です。
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ヤナギダケというキノコだそうです

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by nenemu8921 | 2011-07-24 21:22 | 植物 | Comments(8)

四又の百合

(略)
大蔵大臣はひとり林の方へ行きました。林はしんとして青く、すかして見ても百合の花は見えませんでした。
 大臣は林をまわりました。林の蔭に一軒の大きなうちがありました。日がまっ白に照って家は半分あかるく夢のように見えました。その家の前の栗の木の下に一人のはだしの子供がまっ白な貝細工のような百合の十の花のついた茎をもってこっちを見ていました。
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 大臣は進みました。
「その百合をおれに売れ。」
「うん、売るよ。」子供は唇を円くして答えました。
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「いくらだ。」大臣が笑いながらたずねました。
「十銭。」子供が大きな声で勢よく云いました。
「十銭は高いな。」大臣はほんとうに高いと思いながら云いました。
「五銭。」子供がまた勢よく答えました。
「五銭は高いな。」大臣はまだほんとうに高いと思いながら笑って云いました。
「一銭。」子供が顔をまっ赤にして叫びました。
「そうか。一銭。それではこれでいいだろうな。」大臣は紅宝玉の首かざりをはずしました。
「いいよ。」子供は赤い石を見てよろこんで叫びました。大臣は首かざりを渡して百合を手にとりました。
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「何にするんだい。その花を。」子供がふと思い付いたように云いました。
「正遍知にあげるんだよ。」
「あっ、そんならやらないよ。」子供は首かざりを投げ出しました。
「どうして。」
「僕がやろうと思ったんだい。」
「そうか。じゃ返そう。」
「やるよ。」
「そうか。」大臣は又花を手にとりました。
「お前はいい子だな。正遍知がいらっしゃったらあとについてお城へおいで。わしは大蔵大臣だよ。」
「うん、行くよ。」子供はよろこんで叫びました。
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 大臣は林をまわって川の岸へ来ました。
「立派な百合だ。ほんとうに。ありがとう。」王さまは百合を受けとってそれから恭々しくいただきました。
 川の向うの青い林のこっちにかすかな黄金いろがぽっと虹のようにのぼるのが見えました。みんなは地にひれふしました。王もまた砂にひざまずきました。
 二億年ばかり前どこかであったことのような気がします。
                     童話「四又の百合」


正遍知は仏の十号の一。正しい悟りを開いた仏、如来のこと。
童話「四又の百合」は仏教的香りが濃厚な作品だが、いかにも賢治風なのは正遍知を迎えるのに
野の百合こそがふさわしいというイメージである。
しかも、子どもも大臣も王も同じ想いでいることのさわやかさ。

賢治の白百合は山百合であろう。
東北には山百合のほかにウバユリ、オニユリ、クルマユリなどが自生しているが、
野山でもっとも目に付きやすく、人々に親しまれ、愛された花である。

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by nenemu8921 | 2011-07-20 00:22 | 植物 | Comments(24)

印旛沼夕景

夕陽の達人さんのご案内をいただいて印旛沼の夕景を撮りに行きました。
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画像はクリックすると、みな大きくなります。

今日の夕焼けはどうかな?
日が暮れはじめると、数人の人が集っていました。
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日が落ちての数分間がドラマのクライマックスです。
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夕陽の達人さんは毎日のように通って撮り続けているそうです。
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日が落ちた後の空は、賢治が言うように本当に桔梗色になります。
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ありがとう。
初めてにしては、まずまずの夕焼けに出会うことが出来ました。
こちらに夕陽の達人さんのすごい写真があります。
ぜひ、デジブックをご覧ください。
by nenemu8921 | 2011-07-18 07:00 | 気象 | Comments(14)

尾瀬 ③

(略)
ここはこけももとはなさくうめばちさう
かすかな岩の輻射もあれば
雲のレモンのにほひもする
                詩「早池峰山巓」


1、ツルコケモモ(ツツジ科ソノキ属)Vaccinium oxycoccos 蔓苔桃
早池峰の山頂で歌われているのはコケモモだが、尾瀬の湿原で見つけたのはツルコケモモ。
木道の隙間のミズゴケのなかに可憐な花を咲かせていました。
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2、タテヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属)Gentiana thunbergii var. minor  立山竜胆
ハルヤマリンドウの高山型変種だそうです。小さな小さな花でした。
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3、ナガバノモウセンゴケ(モウセンゴケ科モウセンゴケ属)長葉の毛氈苔
まだ花は咲いていませんでした。
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4、ヤナギトラノオ(サクラソウ科オカトラノオ属)Lysimachia thyrsiflora 柳虎の尾
初めて出会った植物でした。
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5、クロバナロウゲ(バラ科クロバナロウゲ属)Comarum palustre 黒花狼牙
今年初めてつくばの植物園で出会った花。ここでは一箇所でしか見られなかった。
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6、オオタカネバラ(バラ科バラ属)Rosa acicularis 大高嶺薔薇
山小屋の入り口で。
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by nenemu8921 | 2011-07-13 18:39 | 植物 | Comments(14)

尾瀬 ②

尾瀬の続きです。お付き合いください。

1、正面が至仏山です。夜明けです。
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2、地塘にも日が差して
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3、朝露のコーラス
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4、木道に立てば、森からカッコウの声が響きます。
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by nenemu8921 | 2011-07-12 09:15 | 場所 | Comments(10)

尾瀬 アイリス

2,3日出かけていて更新が遅れました。
お誘いを頂き、10数年ぶりに尾瀬ヶ原を歩いてきました。
カッコウやウグイス、ホトトギスが鳴き、ヤマドリゼンマイが茂る草原はどこまでも青く、
足元は辛かったけれど、あれこれ、良い体験になりました。

まっ青に朝日が融けて
この山上の野原には
濃艶な紫いろの
アイリスのはながいちめん
靴はもう露でぐしゃぐしゃ
(略)
                         詩「種山ヶ原」

1、
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2、
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賢治作品の舞台は種山ケ原ですが、尾瀬もまたイーハトーブの地つづきの世界だったのです。

3、
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朝日は顔を出さず、わずかに東の空が青く、紅く、融けたのです。

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by nenemu8921 | 2011-07-11 12:09 | 植物 | Comments(10)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921