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お知らせ

暑い日がつづきます。
  明日から出かけますので、1週間ほどお休みします。
     体調に自信がないので心配ですが、
           帰宅しましたらイーハトーブの風をお届けします。
   皆様も暑さに負けずにお過ごしくださいませ。
by nenemu8921 | 2012-07-26 23:56 | その他 | Comments(8)

合歓

花さけるねむの林を、さうさうと身もかはたれつ、
声ほそく唱歌うたひて、屠殺士の加吉さまよふ。

いづくよりか烏の尾ばね、ひるがへりさと堕ちくれば、
黄なる雲いまはたへずと、オクターヴォしりぞきうたふ。
                             文語詩「黄昏」

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大正3年3月、盛岡中学を卒業した賢治は4月に肥厚性鼻炎の手術を受け、
その折、病院の看護婦に一方的な恋情を抱くが実らず、5月に退院。
家業の質・古着商の仕事を嫌悪し、店番には身が入らなかった。

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友人たちはそれぞれの道へ進んだのに、自分の未来が見えず、鬱々としたつらい時期だった。
屋根に上がって日が暮れるまで空をながめていたり、周辺をあてもなく歩き回ったりした。賢治18歳。

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花さけるねむの林のたそがれをからすのはねを嗅ぎつつあるけり 
                                   歌稿197

その頃の短歌が上記歌稿197。それをもとに晩年文語詩に改稿した作品が「黄昏」である。
ネムの花の咲く季節は暑く、湿度もむっとして閉塞感がある。
落ちてきたからすの尾羽を所在無く嗅いでみる。
か細い声で唱歌をうたい行くのは、作者ではなく、屠殺士の加吉と虚構化して展開している。
屠殺士とは牛、豚、羊などの家畜を殺すことを職業とする人。

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ネムノキ(マメ科ネムノキ属)Albizia julibrissin 合歓木

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by nenemu8921 | 2012-07-25 10:36 | 植物 | Comments(15)

白百合

いなびかりまたむらさきにひらめけばわが白百合は思ひきり咲けり
                                  歌稿193
空を這ふ赤き稲妻わが百合の花はうごかずましろく怒れり
                                  歌稿194
夜のひまに花粉が溶けてわが百合は黄色に染みてそのしづく光れ
                                  歌稿196

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ヤマユリ(ユリ科ユリ属)Lilium auratum 山ユリ
賢治の白百合はカサブランカではありませんよォ。。山野に数多く自生するヤマユリだと言われています。


しかし、百合の花は多彩である。
昨今ではハイブリット系の園芸種も多いが、最近、初めて出会ったユりです。その名も黄金のユリです。
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オウゴンオニユリ(ユリ科ユリ属)Lilium lancifolium var. flaviflorum 黄金鬼百合 対馬のみに自生する。つくば実験植物園で初めて出会った。

こちらも百合です。
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アマゾン百合(ユリ科ユーカリス属)Eucharis grandiflora アマゾン百合。日本では植物園の温室で見られる。

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by nenemu8921 | 2012-07-24 08:34 | 植物 | Comments(17)

黄いろな花こ

(略)
そしてあんなにつぎのあさまで
胸がほとつてゐたくらゐだから
わたくしたちが死んだといつて泣いたあと
とし子はまだまだこの世かいのからだを感じ
ねつやいたみをはなれたほのかなねむりのなかで
ここでみるやうなゆめをみてゐたかもしれない
そしてわたくしはそれらのしづかな夢幻が
つぎのせかいへつゞくため
明るいいゝ匂のするものだつたことを
どんなにねがふかわからない
ほんとうにその夢の中のひとくさりは
かん護とかなしみとにつかれて睡ってゐた
おしげ子たちのあけがたのなかに
ぼんやりとしてはひつてきた
《黄いろな花こ おらもとるべがな》
たしかにとし子はあのあけがたは
まだこの世かいのゆめのなかにゐて
落葉の風につみかさねられた
野はらをひとりあるきながら
ほかのひとのことのやうにつぶやいてゐたのだ
(略)
                   詩「青森挽歌」


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カワラサイコ(バラ科キジムシロ属)Potentilla chinensis 河原紫胡

黄いろな花こは特定できないのです。
名もない野草が群がる野原のイメージがありました。
そんな情景にたまたま出会いました。
花の名は調べると、河原紫胡というそうです。
by nenemu8921 | 2012-07-22 22:21 | 植物 | Comments(8)

メタリック・トンボ

ぶりき細工のとんぼが飛び  
            詩「休息」

おい、とんぼのからだの銅線をつかひ出したな
                       詩「銅線」


宮沢賢治はトンボを金属的に捕らえていました。
レンズを通して見るとなるほどと思います。
光線次第で翅も体もメタリックです。
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ウチワヤンマは迫力があります。チョウトンボが止まった杭です。
テリトリー争いをしているのかな。
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イトトンボもたくさんいます。クロイトトンボでしょうか。
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こちらはおなじみのショウジョウトンボです。
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何処の水辺でも出会うシオカラトンボ
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これは珍しいかな? ベニイトトンボです。 ピンが甘いけれど…(涙)
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More オニバスは~
by nenemu8921 | 2012-07-20 00:40 | 昆虫・クモなど | Comments(16)

チョウトンボ

チョウトンボに会いたくて暑いなか、がんばって出かけました。
いつもの水元公園です。
クリックすると、画像はみな大きくなります。
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チョウトンボ(トンボ科)Rhyothemis fuliginosa 蝶蜻蛉
ひらひらとたくさん飛んでいました。でもなかなか止まってくれません。


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じっと動きを見守りました。やがてカンガレイの葉に止まりました。


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うーん。面白いフォルムですが。こっちをむいてほしいなあ。


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おや、隣の池では杭の上で、くつろいでいる個体がいます。しかし光が……。


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じりじりと移動して~。


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くっきりと羽模様も美しい。

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それにしても、メカニックな印象を受けますね。


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宮沢賢治だったら、精巧な機械というかもしれません…。

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by nenemu8921 | 2012-07-17 19:30 | 昆虫・クモなど | Comments(28)

ツバメ

会合があって立ち寄った近くの公民館の玄関の天上隅に今年はツバメが営巣しています。
最後の2羽が残っていました。
もういつ巣立ってもおかしくないような大きさです。
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2日後、遊びに来た孫と見に行きました。
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近くの電線に親鳥が来て、促すように鳴くと1羽が飛び立ちました。
あっという間の一瞬の出来事でした。
残った1羽が不安そうにあたりを見回します。
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そして……。
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「ツバメしゃん。また来てね」小さな孫が叫びました!
by nenemu8921 | 2012-07-16 22:24 | 鳥・動物 | Comments(10)

楊梅→ヤマモモ

……楊梅(やまもも)もひかり
                もひかり
      都市は今日
      エヂプト風の重くて強い容子をなせり……
(略)
                       詩「高架線」
 
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ヤマモモ(ヤマモモ科ヤマモモ属) Myrica rubra 山桃
中国大陸原産の常緑高木。暖地に生育し、暑さには強い。日本では関東以南の低地や山地に自生する。
作品は昭和3年6月の日付がある。関東大震災後の復興しつつある東京の景観を歌ったもの。
街路樹のヤマモモは、東北では自生していないので賢治の目には新鮮だったのだろう。
楊梅は漢名。樹皮は楊梅皮(ようばいひ)という生薬で、タンニンに富むので止瀉作用がある。
千葉市郊外の高層住宅地で街路樹のヤマモモが落果し、広い道路を赤い実のじゅうたんが帯のようにつづいていた光景を見たことがある。
by nenemu8921 | 2012-07-14 06:11 | 植物 | Comments(14)

オニグルミ

にはとこが月光いろにさいたので、
鬼ぐるみにも瓔珞がかけられる
              詩〔あちこちあをじろく接骨木が咲いて〕

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瓔珞とは珠玉を連ねた首飾りや腕輪。インドにおける装身具であったが、仏教では仏像を荘厳(しょうごん)する飾り具をいい、また寺院内の宝華(ほうけ)状の荘厳をいうが、ここではクルミの雄花のことだ。

つつましき
春のくるみの枝々に
黄金のあかごら
ゆらぎかゝれり。
             歌稿B709

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川岸のオニグルミは初夏の頃になると、長さ30cmほどの緑色の紐がいっせいに垂れる。クルミの雄花である。その元のところに小さな鮮紅色の二又に開いた雌しべが10個ほどかたまっている。その一つ一つにくクルミのふくらみが見える。受精すれば、それがどんどん大きくなって黄金の赤子となる。
                                  中谷俊雄著「宮沢賢治の樹木園」

松とくるみは宙に立ち
   (どこのくるみの木にも
    いまみな金のあかごがぶらさがる)
                  童話「おきなぐさ」

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クルミ科クルミ属オニグルミ Juglans ailantifolia 鬼胡桃

賢治が描くくるみは日本列島どこにも自生しているオニグルミのこと。他のクルミはすべて栽培種だという。

先月、佐倉城址公園で花しょうぶの撮影の折、立派なオニグルミの木を見つけた。黄金のあかごがたくさんぶら下がっていた。

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by nenemu8921 | 2012-07-12 16:01 | 植物 | Comments(10)

ひかる水玉

何と云はれても
わたくしはひかる水玉
つめたい雫
すきとほった雨つぶを
枝いっぱいにみてた
若い山ぐみの木なのである
              詩〔何と云はれても〕


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雨上がりに見つけた賢治の世界。
宮沢賢治を読んでいると、なんでもないものが、起き上がってくる。

これはフェンネルの花。以前ウイキョウという賢治の詩句と共に紹介した。こちらをどうぞ。

山ぐみはこちらをどうぞ。
by nenemu8921 | 2012-07-08 10:31 | 気象 | Comments(22)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921