タグ:サガレンと八月 ( 7 ) タグの人気記事

つめた貝

また私はそこから風どもが送ってよこした安心のような気持ちも感じて受け取りました。
そしたら丁度あしもとの砂に小さな白い貝殻に円い小さな孔があいて落ちているのを見ました。
つめたがいにやられたのだな、朝からこんないい標本がとれるならひるすぎには十字狐だってとれるにちがいないと私は思いながら、それを拾って雑嚢に入れたのでした。
そしたら俄に波の音が強くなってそれは斯う云ったように聞こえました。
「貝殻なんぞ何にするんだ、何にするんだ。」
「俺は学校の助手だからさ。」私はついまたつりこまれてどなりました。
                        童話「サガレンと八月」



「つめた貝にやられたはまぐり」いい標本です!!
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こちらが犯人のつめた貝です。
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これもつめた貝にやられたアサリですね。
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ツメタガイ(砑螺貝/津免多貝、Glossaulax didyma)は、軟体動物門に属するタマガイ科巻貝
東アジアから南アジアの砂浜に多く普通に見られる。
潮間帯から水深10cm~50cm程度の砂地の浅海に多く分布し、殻幅50mm程度に達する中型の巻貝。殻の色は紫褐色から黄褐色を呈する。底部は白色で滑らか。蓋は半円形となる。夜行性で、砂の中を活発に動き回る。また軟体部は殻から大きく露出し、殻を完全に覆いつくす。 肉食性であり、アサリなどの二枚貝を捕食する。アサリなどの二枚貝を捕まえると、やすりのような歯舌を用いて獲物の殻の最も尖ったところである殻頂部を平らに削っていき、2mm程度の穴をあけて軟体部を食べる[1] 。 繁殖期は春で、5月頃、茶碗をかぶせたような形に卵塊を作る。

先日、千葉賢治の会の皆さんと東金を訪れたとき、帰途九十九里海岸まで足を延ばして高村光太郎の詩碑を見学した。
その折、海岸で見つけたも

宮沢賢治は内陸育ちなのに、よくツメタガイを知っていたなあとその博識ぶりに驚きます。
実際にはアサリ漁をする漁民にとってはこのツメタガイは天敵です。大量発生してアサリを根こそぎだめにしてしまうこともあるという。

かつてサガレンでは養͡狐事業も盛んだった。
でも、十字狐は当時でも珍しい狐で、簡単には出会えない。キタキツネの変種みたいですね。

2005年に私がサガレンを訪れたときには閉鎖された養狐場を数多く見かけた。
栄浜でつめた貝にやられた貝の標本も見つけた。同室の友人に記念にプレゼントしたと思う。




More おまけです
by nenemu8921 | 2017-06-09 09:23 | その他 | Comments(9)

ミズクラゲ

(略)
「ひとりで浜へ行ってもいいけれど、あそこにはくらげがたくさん落ちている。寒天みたいなすきとおしてそらも見えるようなものがたくさん落ちているからそれをひろってはいけないよ。それからそれで物をすかして見てはいけないよ。おまえの眼は悪いものを見ないようにすっかりはらってあるんだから。くらげはそれを消すから。

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タネリはすばやくそれを洗いましたらほんとうにきれいな硝子のようになって日に光りました。
タネリはまたおっかさんのことばを思い出してもう棄ててしまおうとしてあたりを見まわしましたら
南の岬はいちめんうすい紫いろのやなぎらんの花でちょっと燃えているように見え
その向うにはとど松の黒い緑がきれいに綴られて何とも云えず立派でした。

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あんなきれいなとこをこのめがねですかして見たらほんとうにもうどんなに不思議に見えるだろうと思いますとタネリはもう居てもたってもいられなくなりました。
                      童話「サガレンと八月」


ミズクラゲ(Aurelia sp.) ミズクラゲ科ミズクラゲ属
日本近海でも最も普通に観察できるクラゲである。傘に透けて見える胃腔、生殖腺が4つあることから、ヨツメクラゲとも呼ばれる。

以前、やはりこの葛西水族園で撮影したアカクラゲを紹介したが、今回はミズクラゲの浮遊を撮影できた。
こうして見ると、タネリのクラゲはこのミズクラゲですね。
三番瀬でも、波が引いた砂浜のくぼみに、よく見るのはこのミズクラゲが多いです。


つづきもどうぞ。

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by nenemu8921 | 2016-01-20 22:29 | 鳥・動物 | Comments(14)

クラゲ

「ひとりで浜へ行ってもいいけれど、あそこにはくらげがたくさん落ちている。
寒天みたいなすきとおしてそらも見えるようなものがたくさん落ちているからそれをひろってはいけないよ。
それからそれで物をすかして見てはいけないよ。(略)」                童話「サガレンと八月」


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アカクラゲ

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ギヤマンクラゲ

潮の引いた海岸を歩くと、潮だまりの中にくらげを見つけることがある。
以前ご紹介した三番瀬の浜で見つけたくらげはこちらをどうぞ。
くらげは、漢字表記では水母、海月、水月等の文字を当てる。
宮沢賢治はくらげをメガネのイメージを重ねてみていたようだ。
異界への導入のアイテムになっているのが面白い。
「サガレンと八月」のタネリは、おっかさんの言いつけを破って、くらげを拾い、
それをすかして南の岬をながめたばかりに、犬神にさらわれ、チョウザメの下男にされてしまう。

荒唐無稽な物語の展開をさせたのはくらげという生物の不思議な印象だったろう。

画像は先日、葛西水族館でのスナップ。
暗い館内でiso感度を上げての撮影、見苦しさをご容赦ください。白い粒粒は給餌です。
by nenemu8921 | 2014-10-27 04:02 | 鳥・動物 | Comments(10)
旭岳で一番印象に残ったのはチングルマの綿毛です。
青空のもと、きらきら輝いておりました。
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チングルマ(バラ科ダイコンソウ属) Geum pentapetalum 珍車、稚児車

それからシラタマノキ。ついつぶしてサロメチールの匂いを確認したくなります。
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シラタマノキ(ツツジ科シラタマノキ属) Gaultheria miqueliana 白玉の木

これはクロウスゴ。葉の紅葉もきれいですね。黒い実が見えますでしょうか。

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クロウスゴ(ツツジ科スノキ属) Vaccinium ovalifolium 黒臼子

ガンコウランも多かったです。でも、実は少ないですね。
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ガンコウラン(ツツジ科ガンコウラン属) Empetrum nigrum var. japonicum 岩高蘭

これはコケモモです。ガンコウランの葉が茂っていますね。
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コケモモ(ツツジ科スノキ属) Vaccinium vitis-idaea L. 苔桃


コケモモといえば、賢治作品にはしばしば登場しますね。花ではなく、実の描写です。
でも赤い実が黒く熟すると勘違いしている様子が感じられます。
それは画像をご覧いただくとわかるように、コケモモは黒く熟するガンコウランやクロウスゴと
混じって生えていることが多いからではないでしょうか。

タネりは云ひながら黒く熟したこけももの間の小さなみちを砂はまに下りて来ました。
                                          「サガレンと八月」

こけももの暗い敷物
北抱蘆州の人たちは
この赤い実をピックルに入れ
空気を抜いて瓶詰にする
           詩「阿耨達池幻想曲」

ここはこけももとはなさくうめばちさう
かすかな岩の輻射もあれば
雲のレモンのにほひもする
           詩「早池峰山巓」

なぜならさつきあの熟した黒い実のついた
まつ青なこけもものの上等の敷物(カーペット)と
おほきな赤いはまばらの花と
不思議な釣鐘草(ブリューベル)とのなかで
透明なわたくしのエネルギーを
いまこれらの濤のおとや
しめったにほひのいい風や
雲のひかりから恢復しなければならないから
                    詩 「オホーツク挽歌」

そのとき私は大へんひどく疲れてゐてたしか風と草穂との底に倒れてゐたのだとおもひます。
その秋風の昏倒の中で私は私の錫いろの影法師にずゐぶん馬鹿ていねいな別れの挨拶をやってゐました。
そしてたヾひとり暗いこけももの敷物(カーペット)を踏んでツェラ高原をあるいて行きました。
こけももには赤い実もついてゐたのです。
                            童話「インドラの網」

追記
お問い合わせがいくつかあったので、クロウスゴ、ガンコウラン、コケモモの画像を追加しました。
関心を持っていただき、ありがとうございます。


More おまけも見る
by nenemu8921 | 2014-09-30 05:56 | 番外 | Comments(14)

海からの贈り物 ②

宮沢賢治の貝殻といえば、思い出すのは「サガレンと八月」です。

また私はそこから風どもが送ってよこした安心のような気持も感じて受け取りました。
そしたら丁度あしもとの砂に小さな白い貝殻に円い小さな孔があいて落ちているのを見ました。
つめたがいにやられたのだな
朝からこんないい標本がとれるならひるすぎは十字狐だってとれるにちがいないと
私は思いながらそれを拾って雑嚢に入れたのでした。  童話「サガレンと八月」


これがツメタガイです。ハマグリやアサリなどの二枚貝に覆いかぶさって、穴をあけ、
実を溶かして、ちゅうちゅう、吸い出して、食べてしまいます。
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こちらがツメタガイにやられた貝。これはマツヤマワスレガイ(松山忘貝)というそうです。
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「サガレンと八月」は、オホーツクを舞台にした作品ですが、2005年の夏、サガレンを訪れた時、
作品舞台と思われる当時の栄浜海岸(現スタロドゥブスコエ)でも、私は実際ツメタガイとツメタガイに
やられた二枚貝を拾った。同室の友人に記念にあげてしまったけれど。
近くの三番瀬でも拾ったことがある。格別珍しいものではないようである。

親切なご夫妻に「サガレンと八月」の話をしたら、雑然とさまざまな貝殻が無造作に入れられている
大きなかごの中から、探し出してくれた。

以前、ご紹介した記事はこちらをどうぞ。
十字狐に関しては こちらをどうぞ。
by nenemu8921 | 2014-08-04 21:17 | その他 | Comments(12)

ヤナギラン

       (略)
       南の岬はいちめんうすい紫いろのやなぎらんの花で
               ちょっと燃えてゐるやうに見え、
                  その向ふにはとゞ松の黒い緑がきれいに綴られて
                                    何とも云へず立派でした。                
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       あんなきれいなとこをこのめがねですかして見たら
            ほんたうにもうどんなに不思議に見えるだらうと
                思いますとタネリは
                        もう居てもたってもゐられなくなりました。
                                        童話「サガレンと八月」

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ヤナギラン(アカバナ科ヤナギラン属)Chamerion angustifolium

賢治作品でヤナギランが登場するのはサガレンを舞台にした童話や詩です。
イーハトーブでもヤナギランは咲くのになあと思うのですが。
以前サガレンで、コンデジで撮ったヤナギランはこちらです。

八幡平の帰りに安比高原に寄りました。
いつものブナ林へ入らずに、丈高い草原を歩いていくと
奥へ行けば、行くほどに、ヤナギランやアイリスの大きな群落がありました。
少し盛りを過ぎていましたが、すばらしかったです。
日暮れの光線で撮影するのにもう夢中になりました。

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by nenemu8921 | 2012-08-07 21:30 | 植物 | Comments(12)

クラゲ

(略)
「ひとりで浜へ行ってもいいけれど、あすこにはくらげがたくさん落ちてゐる。
寒天みたいなすきとほしてそらも見えるやうなものがたくさん落ちてゐるから、それをひろってはいけないよ。
それからそれで物をすかして見てはいけないよ。
おまへの眼は悪いものを見ないやうにすっかりはらってあるんだから。くらげはそれを消すから。」(略)
砂の一とこが円くぽとっとぬれたやうに見えてそこに指をあてて見ますとにくにく寒天のやうなつめたいものでした。そして何だか指がしびれたやうでした。

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びっくりしてタネリは指を引っ込めましたけれども、どうしてももうそれをつまみあげて見たくてたまらなくなりました。
拾ってしまひさへしなければいいだらうと思って、それをすばやくつまみ上げましたら、砂がすこしついて来ました。
砂をあらってやらうと思って、タネリは潮水の来るとこまで下りて行って待ってゐました。
まもなく浪がどぼんと鳴って、それからすうっと白い泡をひろげながら潮水がやって来ました。
タネリはすばやくそれを洗ひましたら、ほんたうにきれいな硝子(がらす)のやうになって日に光りました。

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タネリはまたおっかさんのことばを思い出して、もう棄ててしまうとしてあたりを見まはしましたら、南の岬はいちめんうすい紫いろのやなぎらんの花でちょっと燃えてゐるやうに見え、その向ふにはとど松の黒い緑がきれいに綴られて何とも云へず立派でした。
あんなきれいなとこをこのめがねですかして見たら、ほんたいうにもうどんなに不思議に見えるだらうと思ひますと、タネリはもう居てもたってもゐられなくなりました。(略)
                                      童話「サガレンと八月」

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ミズクラゲ (鉢虫綱・旗口クラゲ目・ミズクラゲ科)
日本近海でも最も普通に観察できるクラゲである。傘に透けて見える胃腔、生殖腺が4つあることから、ヨツメクラゲとも呼ばれる。
トップの画像は、近くの三番瀬で見つけたもの。砂の模様はシギか、チドリか、鳥の足跡である。
他の画像は、サンシャイン水族館で出会ったもの。


      
by nenemu8921 | 2009-01-13 18:19 | 鳥・動物 | Comments(7)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921