タグ:マクロフィティス ( 1 ) タグの人気記事

巨桜の花の梢 

ネパールの旅レポートの途中ですが、
   日本の春が気になり、誘われて桜の撮影に行って来ました。

(略)
海ぞこのマクロフィスティス群にもまがふ
巨桜の花の梢には
いちいちに氷質の電燈を盛り
朱と蒼白のうっこんかうに
海百合の椀を示せば
釧路地引の親方連は、
まなじり遠く酒を汲み
魚の歯したワッサーマンは、
狂ほしく灯影を過ぎる
(略)
                    詩「函館港春夜光景」

c0104227_8351149.jpg
夜空に広がる巨きな桜の枝をマクロフィスティス群(ジャイアントケルプのこと)にたとえています。
農学校の修学旅行で訪れた北海道函館港の夜景を歌ったもの。うっこんかうは欝金香で、チューリップの漢名ですね。
にぎやかなお花見の情景です。夜桜で、つるされたチューリップ型の電燈に海百合と呼ばれる化石のイメージまで重ねています。
ワッサーマンはwasserman(独語)で、Nix、Nickerとも呼ばれるヨーロッパの民間伝承にしばしば登場する水の中に住む妖精。緑色の歯、魚の歯をし、緑の帽子をかぶっていて、溺れた人間の魂を逆さに伏せたポットの中に閉じ込めておくと言い伝えられ、多くの伝承説話があります。(ハイネ「流刑の神々」にも言及がある)。
樹齢数百年の桜の大木の梢を見ると、いつもこの詩句を思い出します。ここでは水を張ったちいさな田に写りこんだ樹影に巨大な昆布のイメージがダブり、いっそうその感を強くしました。

マクロフィスティス Macrocystis(大気胞)ジャイアントケルプは、よくラッコが毛布代わりに体に巻いている大型の渇藻類のこと。この植物は主に深さ6~18メートルで成長し、その群生したものは森と呼ばれる。
カリフォルニアのモントレー海岸はジャイアントケルプの森で有名である。私は葛西臨海公園の水族館で見せて戴いた体験があるが、若芽のきれっぱしのような貧弱なもので、イメージとは遠かった。
c0104227_11234461.jpg

c0104227_10594152.jpg


海百合とは海底に棲む棘皮動物ですが、エンクリヌスという文字が下書稿にあることから化石のイメージを重ねていたことは明らかです。こんな形を見れば、なるほどチューリップによく似ていますね。
c0104227_11352096.jpg


More つづきを読む
by nenemu8921 | 2010-04-26 11:44 | 植物 | Comments(22)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921