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マクロフィスティス

(略)
海ぞこのマクロフィスティス群にもまがふ、
巨桜の花の梢には、
(略)           詩「函館港春夜光景」
          

マクロフィスティスとは、オオウキモ(英名のジャイアント・ケルプの方がなじみがありますね)の学名。
夜空に広がる巨大な桜の木の梢は海に繁茂するケルプの森のようだというのです。
葛西臨海公園水族園で見つけました。

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オオウキモ(学名:Macrocystis pyrifera)は、コンブ目コンブ科に属する海藻である。
英名 Giant Kelp。

茎状部には空気をためた浮き袋が付いているため、これにより海中で直立して浮いていることができる。
茎状部は海面に達するまで伸び続け、50m以上に達することもある。
海面に達した後は、海面上に広がるような形で成長する。
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この画像では、桜の大木が枝を広げたイメージと違うじゃん!とお思いの方も多いでしょうが(>_<)。
問われるのは、あなたの想像力が宮沢賢治に匹敵するかどうかです。えへへ。

この藻場(ケルプの森)は、生物多様性に富んでいて、カニなどの甲殻類やウニやヒトデなどの卿日動物、そしてアザラシやラッコなどの海獣類のコロニーとなっている。
特にラッコは、海流により藻場から流されないように、このケルプを体に巻きつけて眠る習慣があるそうです。
そんな情景を見てみたいですね。
カルフォルニア州のモントレー湾はジャイアント・ケルプの繫殖する海としてよく知られています。
こんな感じでしょうか。(園内の案内から)
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農学校の教師時代、宮沢賢治が、大正13年5月、生徒たちを引率して、
北海道修学旅行に行った折の作品ですね。函館山からの夜景を歌った長い詩の一部です。


おまけもあります(^_-)-☆

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by nenemu8921 | 2016-01-22 13:35 | 植物 | Comments(10)

巨桜の花の梢 

ネパールの旅レポートの途中ですが、
   日本の春が気になり、誘われて桜の撮影に行って来ました。

(略)
海ぞこのマクロフィスティス群にもまがふ
巨桜の花の梢には
いちいちに氷質の電燈を盛り
朱と蒼白のうっこんかうに
海百合の椀を示せば
釧路地引の親方連は、
まなじり遠く酒を汲み
魚の歯したワッサーマンは、
狂ほしく灯影を過ぎる
(略)
                    詩「函館港春夜光景」

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夜空に広がる巨きな桜の枝をマクロフィスティス群(ジャイアントケルプのこと)にたとえています。
農学校の修学旅行で訪れた北海道函館港の夜景を歌ったもの。うっこんかうは欝金香で、チューリップの漢名ですね。
にぎやかなお花見の情景です。夜桜で、つるされたチューリップ型の電燈に海百合と呼ばれる化石のイメージまで重ねています。
ワッサーマンはwasserman(独語)で、Nix、Nickerとも呼ばれるヨーロッパの民間伝承にしばしば登場する水の中に住む妖精。緑色の歯、魚の歯をし、緑の帽子をかぶっていて、溺れた人間の魂を逆さに伏せたポットの中に閉じ込めておくと言い伝えられ、多くの伝承説話があります。(ハイネ「流刑の神々」にも言及がある)。
樹齢数百年の桜の大木の梢を見ると、いつもこの詩句を思い出します。ここでは水を張ったちいさな田に写りこんだ樹影に巨大な昆布のイメージがダブり、いっそうその感を強くしました。

マクロフィスティス Macrocystis(大気胞)ジャイアントケルプは、よくラッコが毛布代わりに体に巻いている大型の渇藻類のこと。この植物は主に深さ6~18メートルで成長し、その群生したものは森と呼ばれる。
カリフォルニアのモントレー海岸はジャイアントケルプの森で有名である。私は葛西臨海公園の水族館で見せて戴いた体験があるが、若芽のきれっぱしのような貧弱なもので、イメージとは遠かった。
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海百合とは海底に棲む棘皮動物ですが、エンクリヌスという文字が下書稿にあることから化石のイメージを重ねていたことは明らかです。こんな形を見れば、なるほどチューリップによく似ていますね。
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by nenemu8921 | 2010-04-26 11:44 | 植物 | Comments(22)

浅草オペラ

地球照ある七日の月が、
海峡の西にかかって、
岬の黒い山々が
雲をかぶってたたずめば、
そのうら寒い螺鈿の雲も
またおぞましく呼吸する
そこに喜歌劇オルフィス風の、
赤い酒精を照明し、
妖蠱奇怪な虹の汁をそそいで、
春と夏とを交雑し
水と陸との市場をつくる
(略)

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夢幻劇「天国と地獄」の舞台

あはれマドロス田谷力三は、
ひとりセビラの床屋を唱ひ
高田正夫はその一党と、
紙の服着てタンゴを踊る
(略)
                            詩「函館港春夜光景」

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浅草オペラ「天国と地獄」のオルフィス役の田谷力三

「函館港春夜光景」は、1924.5.19の日付の作品。
農学校の北海道修学旅行の折、生徒らを引率して参加した賢治は、函館港の夜景を函館山から眺めた。
北国函館の5月はようやく春たけなわ、折から花見客であふれ、紙の服着て、仮装した人々も賑わい、その華やかさは、かつての幻想的な浅草オペラの舞台を思わせるものであった。
こうして舞台写真を見ると、たしかに妖蠱奇怪な雰囲気ですね。
現実の光景と過去の体験と入り混じってのイメージが展開されている作品である。

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by nenemu8921 | 2009-10-13 10:10 | イメージ | Comments(6)

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by nenemu8921