タグ:十力の金剛石 ( 15 ) タグの人気記事

(略)森の中はまっくらで気味が悪いようでした。
それでも王子は、ずんずんはいって行きました。
小藪のそばを通るとき、さるとりいばらが緑色の沢山のかぎを出して、
王子の着物をつかんで引き留めようとしました。
はなそうとしても仲々はなれませんでした。
王子は面倒臭くなったので剣をぬいていきなり小藪をばらんと切ってしまひました。(略)
                                       童話「十力の金剛石」

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(サルトリイバラ科シオデ属) Smilax china 猿捕茨
秋に赤い実が目立ったサルトリイバラは花をつけていました。

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by nenemu8921 | 2013-04-20 07:04 | 植物 | Comments(10)
ご案内いただいた東金ダム(ときがね湖)は、とてもよいところでした。
一見した印象では人工的なダムなのですが、
        周囲の雑木林の林縁にセンブリのほかにも
                       思いがけない植物がたくさんあって、
                                       胸が躍りました。
後日、時間をとって、また出かけ、一人でゆっくり歩いてみました。
サルトリイバラの赤い実があちこちにあって目立ちました。
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賢治作品で登場するサルトリイバラは、緑の葉や棘についての言及が多いのです。
美しい赤い実や、初夏に咲く繊細な花について触れていないのは何故だろうか。
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(略)森の中はまっくらで気味が悪いやうでした。それでも王子は、ずんずんはいって行きました。
小藪のそばを通るとき、さるとりいばらが緑色の沢山のかぎを出して、王子の着物をつかんで引き留め
やうとしました。はなさうとしても仲々はなれませんでした。
王子は面倒臭くなったので剣をぬいていきなり小藪をぱらんと切ってしまひました。
                                            童話「十力の金剛石」


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サルトリイバラ(ユリ科シオデ属)Smilax china 猿捕茨
山地に生える落葉つる性木本。茎はかたく、節ごとに屈折し、まばらに棘がある。



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by nenemu8921 | 2012-11-19 11:16 | 植物 | Comments(22)
りんだうの花は刻まれた天河石(アマゾンストン」と、打ち劈かれた天河石で組み上がり、
その葉はなめらかな硅孔雀石(クリソコラ)で出来てゐました。
黄色な草穂はかゞやく猫目石(キャッツアイ)、
いちめんのうめばちさうの花びらはかすかな虹を含む乳色の蛋白石、
たうやくの葉は碧玉、そのつぼみは紫水晶(アメシスト)の美しいさきを持ってゐました。
そしてそれらのなかで一番立派なのは小さな野ばらの木でした。
野ばらの枝は茶色の琥珀や紫がかった霰石(アラゴナイト)でみがきあげられ、
その実はまっかなルビーでした。
                                       童話「十力の金剛石」

1、りんどう(ホソバリンドウ)
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2、うめばちさう
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3、花びらが散った後のうめばちそうです。
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4、たうやく(トウヤク)→センブリ
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5、イヌセンブリ
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6、ノバラ
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童話「十力の金剛石」は、秋の野の花がつぎつぎ登場するが、そのことごとくが硬質な宝石のイメージに
置き換えられる。経典の影響がかんじられますね。

たうやくはトウヤクで、標準和名はセンブリである。
センブリ(千振 Swertia japonica )は、リンドウ科センブリ属の二年草。
薬草として利用され、生薬名は当薬(とうやく)という。
最近は見かけることが稀になった。

東金・成東の食虫植物群落へウメバチソウを見にでかけた。
ヤマラッキョウが咲き、草紅葉が美しかった。
午後から友人のご案内で近くのときがね湖・東金ダムへご案内いただいた。
センブリはときがね湖の周縁の草地で、出会ったもの。
イヌセンブリは群落で見つけたもの。
センブリはどこにでもありそうで、なかなか出会えなかった植物である。
すごく嬉しかった。



More おまけです。
by nenemu8921 | 2012-11-15 02:41 | 植物 | Comments(18)

ヌスビトハギ

(略)
「えゝ、王子さま。あなたのきものは草の実で一杯ですよ。」
そして王子の黒いびらうどの上着から、緑色のぬすびとはぎの実を一ひらづつとりました。
                                            童話「十力の金剛石」


ヌスビトハギの実が結実するのはもうじきです。
ちょうど小さな花が満開でした。
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ヌスビトハギ(マメ科ヌスビトハギ属) Desmodium podocarpum subsp. oxyphyllum 盗人萩


こちらがアレチヌスビトハギの花です。
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アレチヌスビトハギ(マメ科ヌスビトハギ属)Desmodium paniculatum 荒地盗人萩 北米原産の帰化植物です。

アレチヌスビトハギの実です。一足早いですね。
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by nenemu8921 | 2012-09-16 08:54 | 植物 | Comments(7)

野ばらの実

(略)
そしてそれらの中で一番立派なのは小さな野ばらの木でした。
野ばらの枝は茶色の琥珀がかった霰石(アラゴナイト)でみがきあげられ、
その実はまっかなルビーでした。(略)
                              童話「十力の金剛石」

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ばらの実が目に付く頃となった。ローズ・ヒップである。
このあたりはあたたかいせいか、葉はまだ青々している。
気温が下がれば、葉は枯れ、実はもっと赤くなる。

宮沢賢治らしいなと思うのは野ばらの枝の色まで観察しているところだ。
by nenemu8921 | 2011-10-20 16:35 | 植物 | Comments(16)
(略)
そして二人はどこまでもどこまでも、むくむくの苔やひかげのかつらをふんで
森の奥の方へはいって行きました。
森の木は重なり合ってうす暗いのでしたが、そのほかにどうも空まで暗くなるらしいのでした。
(略)
                                    童話「十力の金剛石」

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ヒカゲのカズラ(ヒカゲのカズラ科ヒカゲノカズラ属)Lycopodium clavatum、日陰鬘、日陰蔓

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白駒の池の周囲は倒木や苔に覆われた原生林です。
たくさんの苔が生息しています。(でも、不勉強で種類は識別できません)
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7月に訪れたときとは別のルートを八千穂山荘のご主人が案内してくれました。
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白駒の池も又違った雰囲気で迎えてくれました。
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やっぱり森はいいな。
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今回の八千穂レポートはこれでおしまいにします。
お世話になった友人yutorieさん、八千穂山荘のご夫妻、レンゲショウマのガーデンを
開放してくださったTさん、ありがとうございました。
また、行きます。
by nenemu8921 | 2011-09-15 20:48 | 植物 | Comments(18)

しずく

「ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイツイ
はやしのなかにふるきりの、
つぶはだんだん大きくなり、
いまはしずくがポタリ。」

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「ポッシャン、ポッシャン、ツイ、ツイ、ツイ。
はやしのなかにふるきりは、
いまはこあめにかぁはるぞ、
木はぁみんな、青外套。
ポッシャン、ポッシャン、ポッシャン、シャン。」
                  童話「十力の金剛石」
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昨夜の雪が少し積もったので、とけないうちにと千葉市郊外へ出かけました。
木々に積もった雪が朝日のなかであめのようにおちてきました。
思わずしずくを歌った童話を思い出しました。
実際、川辺には霧も立ち込めていたのです。

More おまけ
by nenemu8921 | 2010-02-02 15:35 | イメージ | Comments(16)

野ばら → 野茨

(略)
そしてそれらの中で一番立派なのは小さな野ばらの木でした。
野ばらの枝は茶色の琥珀や紫がかった霰石(アラゴナイト)で磨き上げられ、
その実はまっかなルビーでした。
(略)
                              童話「十力の金剛石」
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ノイバラ(バラ科バラ属)野i茨
山野にふつうに生える落葉低木。枝には棘が多い。5~6月、円錐形の花序に直径2~3cmの白色の5弁花を多数開く。芳香が強い。果実は直径6~9mmの卵形で赤く熟す。

「十力の金剛石」 は、登場する植物に、宝石のイメージを重ねている。
金剛石はダイヤモンド。アルゴナイトは霰石、炭酸カルシウムからなる鉱物。
真珠やサンゴもアルゴナイトだという。

近くの江戸川の散策の折に野ばらの実を見つけた。雨上がりの雫が美しい。

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by nenemu8921 | 2009-11-12 20:27 | 植物 | Comments(8)

【39】 露

ほろびのほのほ湧きいでて
つちとひととを つゝめども
こはやすらけきくににして
ひかりのひとらみちみてり
ひかりにみてるあめつちは………

その十力の金剛石こそは露でした。
                  童話「十力の金剛石」

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 画像提供はyonoさん

王子たちが見出したものは、《十力の金剛石》、露であり、同時に森羅万象をかがやかせる原理そのものだったというのが、主題である。
by nenemu8921 | 2006-12-14 23:47 | その他 | Comments(0)

【38】 はちすゞめ 3

はちすゞめが度々宝石に打たれて落ちそうになりながら、やはりせはしくせはしく飛びめぐって、
  ザッザザ、ザザッザ、ザザアザザザア、
  降らばふれふれひでりあめ
  ひかりの雲のたえぬまゝ。
と歌ひましたので、雨の音は一しほ高くなり、そこらは又一しきりかゞやきわたりました。   


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ユミハシハチドリ(ベネズエラ) 画像提供は谷英雄さん


それから、はちすゞめは、だんだんゆるやかに飛んで、
  ザッザザ、ザザァザ、ザザアザザザア、
  やまばやめやめ、ひでりあめ、
  そらは みがいた 土耳古(トルコ)玉
と歌ひますと、雨がぴたりとやみました。
                童話「十力の金剛石」


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トパーズハチドリ(ベネズエラ)  画像提供は谷英雄さん

ハチドリは、おそらく、自然界でまさにもっとも美わしいものだろう。
ハチドリについてさまざまと書かれたものを全部読んでいても、初めて見る生きたハチドリは、
あらゆる他の美しいものとその美しさをまったく異にしていて、新しい美の啓示のごとく心を打つ。 
                              W・H・ハドソン『ラ・プラタの博物学者』

賢治の時代、明治、大正期の子ども向けの科学読み物などにも、世界で一番小さな鳥、花の蜜を食べる鳥、宝石のように美しい鳥、南北アメリカにだけ生息する鳥という解説があちこちに見られ、いわば、当時の博物誌の目玉商品といった趣も感じられる。

ハチドリは毎秒約60回羽ばたき、蜂に似た唸りを出すことから、英名ではHumming-Birdという。賢治は詩「阿耨達池幻想曲」では蜂雀と書き、ハニーバードとルビを入れている。ハチドリという表記は見当たらない。

花の蜜を食べる小さな美しい鳥は賢治のお気に入りだった。ほかの作品でも、この「十力の金剛石」でもそうだが、はちすずめは、いわば聖地へ誘うものとして描かれている。
                                             『賢治
鳥類学』

by nenemu8921 | 2006-12-13 23:44 | 鳥・動物 | Comments(2)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921