氷の雫のいばらを、液量計の雪に盛り、

鐘をならせばたちまちに、部長訓示をなせるなり。

                     文語詩 「式場」

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赤きみゆふののいばらを
液量計の雪に盛る
鐘を鳴らせばたちまちに
かしらを下しまた反りて
部長訓示をなせるなり
            文語詩 「式場」(下書稿)

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ノイバラ(バラ科バラ属)
Rosa multiflora 野茨
山野にふつうに生える落葉低木で高さ2mほどになる。枝にはとげが多い。円錐形の花序に直径2~3cmの白色の5弁花を多数開く。分布は日本全土。

文語詩一百篇の作品である。文語詩篇ノートに、「ノバラ、アケビ、ツルウメモドキノ藪、雪、シリンダー、内務部長」のメモが1926年、1月の項にある。
国民高等学校の折の出来事らしい。開校式か、卒業式であろうか。

「岩手国民高等学校」は、1926(大正15)年、1月、花巻農学校に開設された。デンマーク式に即ったもので岩手県が三ヶ月の短期間に農村の指導者を養成する目的(文化の向上・成人教育・地方自治の基礎)で、行ったもの。
校長は県の内務部長だった。
このとき、農学校でも宮沢賢治ら、期間中嘱託となって講座を受け持ったという。

壇上には雪を盛った円筒形の器に真っ赤な野茨の実を飾った式の会場である。
開会を告げる鐘が鳴ると、県の部長は即座に壇上に立ち、訓示をたれるのだった。
と、そんなところだろうか。
下書き稿を勘案すれば、県のお役人はしきりに頭を下げたり、又ふんぞり返ったりしていた様子である。

More おまけです。
by nenemu8921 | 2010-11-09 07:49 | 植物 | Comments(16)

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by nenemu8921