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アケビの蔓



心象のはいいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐蝕の湿地
いちめんのいちめんの諂曲模様
         詩「春と修羅」

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ミツバアケビは野趣に富んでいて好きな花。
この蔓を見れば、諂曲模様を連想させるのがわかりますね。



こちらは五葉アケビと呼ばれるアケビです。
やさしい新緑だけれど……。
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ゴヨウアケビの雄花。
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こちらが雌花。蕊を見ると実になるのがわかりますね。
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by nenemu8921 | 2017-05-16 17:26 | 植物 | Comments(9)

アケビ 蔓

心象のはいいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲模様(てんごくもよう)
              詩「春と修羅」



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こちらが雌花ですね。雌しべが六本、これが実になります。
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こちらは雄花です。数は多いけれど、この花は受粉が難しいのか、実は花の1/100も実らない。
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アケビ(アケビ科アケビ属) Akebia quinata 木通、通草

詩集のタイトルにもなった代表的作品の冒頭の一節。アケビは野にあって、目立たないがきれいな花を咲かせる。
雌雄同株であるが、雄花と雌花を同時期にたくさん咲かせる。
撮影に行く途中、ランチにと立ち寄ったパン屋さんの駐車場わきのスペースで見つけた。
立派な棚づくりである。
賢治の詩は、この美しいアケビの花を賛美しているわけではなく、アケビの蔓が旺盛に伸びてからまる様を
心象の諂曲模様に例え、イメージしているのだ。
「諂曲」とは、てんごくと読み、事実をゆがめ、心にもないことを言って媚びること。
「ここでは、むしろ自分自身への諂曲であって、その卑しさに自己嫌悪を覚えて怒りを発するのであろう」
とは、恩田逸夫先生の見解である。しかし人は自分自身へ媚びへつらいをするものだろうか。

つづきを見てね。

More アケビの蔓はこんな風です。
by nenemu8921 | 2016-04-18 00:19 | 植物 | Comments(12)

アケビ

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心象のはいいいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲模様
(略)
                   詩「春と修羅」


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アケビ(アケビ科アケビz属)Akebia quinata 木通、通草

諂曲(てんごく)は事実をゆがめ、心にもないことを言って媚びること。
醜い諂曲的心象をアケビの蔓に表徴させている。


もう入口だ〔小岩井農場〕
  (いつものとほりだ)
混んだ野ばらやあけびのやぶ
〔もの売りきのことりお断り申し候〕
(略)
              詩「小岩井農場」パート三


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ミツバアケビ(アケビ科アケビ属) Akebia trifoliata 三葉木通、三葉通草


アケビもミツバアケビも野山に自生する。野山のアケビの蔓や藪はすさまじい勢いだ。
きれいな画像にまとめるのは、難しい。雄花と雌花の両方にピンをあわせると、背景が煩雑になる。
by nenemu8921 | 2015-04-21 09:21 | 植物 | Comments(8)

ミツバアケビ

心象のはひいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲模様(てんごくもよう)
(略)
                      詩「春と修羅」


1、
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2、
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3、雌花です。ここに実がなります。
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4、雄花です。
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ミツバアケビ(アケビ科アケビ属) Akebia trifoliata 三葉木通 

よく知られた「春と修羅」の冒頭の一節です。
空に伸び雲に絡まるアケビは野生のミツバアケビがふさわしい。
諂曲とは聴きなれない言葉だが、こびへつらうこと、そしることの意。
by nenemu8921 | 2013-04-05 08:52 | 植物 | Comments(20)

ステッドラーの鉛筆

(略)
その早池峰と薬師岳との雲環は
古い壁画のきららから
再生してきて浮きだしたのだ
   色鉛筆がほしいつて
   ステツドラアのみじかいペンか
   ステツドラアのならいいんだが
   来月にしてもらいたいな
   まああの山と上の雲との模様を見ろ
   よく熟してゐてうまいから               
                   詩「栗鼠と色鉛筆」

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  作品は朝の散歩を歌ったもの。
  早池峰山と薬師岳の上に浮かんだ雲の環の美しさを
              とどめたいという気持ちが働き、
                        思わず出た言葉であろう。
      雲の模様が熟していてうまい!というのも賢治流の美学ですね。

たまたま身近な商品カタログで見つけたので、ステッドラーの色鉛筆を取り寄せてみました。

ステッドラー(独: STAEDTLER Mars GmbH & Co. KG)は、ドイツ・ニュルンベルクに本拠を置く、筆記具や製図用品の世界的なメーカーである。それまでは家業として鉛筆を生産・販売していたが、産業革命の波を受け1835年にヨハン・セバスチャン・ステッドラー (J. S. Staedtler) によって会社化された。彼は1662年頃にニュルンベルクで鉛筆を発明したフリードリッヒ・ステッドラーの子孫にあたる。 他メーカーの製品と比べると単価が高く国内流通品の中でもトップクラスの値段だが、それは品質についても同様であり高い精度を持つ事で有名。 また一般的な文具店で見かけることは少なく、主に画材や設計用品を扱う店舗で販売されていることが多い。 製品の殆どがドイツで生産されているが、一部の製図製品は日本など他の国で生産している。
それにしても、大正期のこの時期にステツドラアとは!!すごいですね。
宮沢賢治はブランド好みだったのかな。
そういえば、「土神ときつね」でもツァイスの望遠鏡が登場しますね。

by nenemu8921 | 2012-12-09 11:01 | その他 | Comments(16)

ヌスビトハギ

(略)
わたくしは森やのはらのこひびと
蘆のあひだをがさがさ行けば
つつましく折られたみどりいろの通信は
いつかぽけつとにはいつてゐるし
はやしのくらいとこをあるいてゐると
三日月がたのくちびるのあとで
肱やずぼんがいつぱいになる
             詩「一本木野」


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ヌスビトハギ(マメ科ヌスビトハギ属) Desmodium podocarpum subsp. oxyphyllum 盗人萩

詩「一本木野」は、「春と修羅」中のさくひん。岩手山麓、滝沢村の柳沢の北部の地名。
秋晴れのある日、ここを半日ゆっくり歩くことを、「いつたいなんといふおんけいだらう」と賢治はつぶやいている。
よほど気持ちのよいところだったらしく、更に「わたくしはそれをはりつけとでもとりかへる」とまで言っている。
また、童話「土神ときつね」の舞台でもある。
ここは、現在は自衛隊の広大な演習場で、中に入ることはできない。
「三日月がたのくちびるのあと」は、このヌスビトハギの実のこと。
たしかにくちびる型にも見えますね。
この作品の主題はといえば、イーハトーブの自然賛歌ともいえますが、妙になまめかしい雰囲気があります。
9月にご紹介したヌスビトハギ、アレチヌスビトハギの花は こちらです
by nenemu8921 | 2012-10-02 07:45 | 植物 | Comments(20)

ヌスビトハギ

(略)
わたくしは森やのはらのこひびと
蘆(よし)のあひだをがさがさ行けば
つつましく折られたみどりいろの通信は
いつかぽけつとにはいつてゐるし
はやしのくらいとこをあるいてゐると
三日月がたのくちびるのあとで
肱やずぼんがいつぱいになる
                  詩「一本木野」


蜘蛛の巣の撮影を夢中でしていると、手袋や肱やズボンが確かに草の実でいっぱいになります。
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三日月がたのくちびるに見えますか?
自然観察会ではブラジャー型の実(笑)という解説の方が受けますが…。
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花はこんなにも頼りない小さな花です。
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ヌスビトハギ(マメ科ヌスビトハギ属)Desmodium podocarpum subsp. oxyphyllum 盗人萩
山野に多い多年草。8~10月に淡紅色の蝶形花をまばらにつける。豆果は2節があり、節は半月形で長さ約6㎜。和名は、半月形の豆果が盗人の忍び足の足跡に似ているからともいうが、異説もある。

「一本木野」は、『春と修羅』中の作品で、大正12年10月28日の日付がある。一本木野とは岩手山麓の地名。岩手郡滝沢村の原野。童話「土神ときつね」の舞台でもあり、初期短歌でも歌われている。現在は広大な自衛隊の演習場になっている。
この詩は秋の自然の中を散策することの喜びをうたったものだが、賢治独特の表現によって、誰もが感じる感覚が際立って迫ってくる。
by nenemu8921 | 2010-11-01 10:26 | 植物 | Comments(10)

やなぎの花

けふはぼくのたましひは疾み
烏(からす)さへ正視できない
  あいつはちやうどいまごろから
  つめたい青銅(ブロンズ)の病室で
  透明薔薇の火に燃される
ほんたうに けれども妹よ
けふはぼくもあんまりひどいから
やなぎの花もとらない
                 詩「恋と病熱」


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ネコヤナギ(ヤナギ科ヤナギ属)salix gracilistyla
山野の水辺などに自生する落葉低木。雌雄異株。
カワヤナギの類では銀白色の花穂が大きく、美しいので、鑑賞用としても栽培されている。
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〈やなぎの花〉といったら、このヤナギのイメージが強い。
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ミツバチ君も蜜集めに懸命でした。
毎年、この季節になると、ヤナギの花を撮影せずにいられない。
毎年撮っているのに、もういいという気持ちにならないのがふしぎである。

作品は「春と修羅」中の1編。
妹が病気で苦しんでいるときに、自分は修羅のさなかにいることの負い目が歌われている。
以前にも紹介したが「冬のスケッチ」に原点がある。

〈「新宮沢賢治語彙事典」で、このやなぎの花を鵞黄の柳と混同したり、雪柳の花かとも考えられるとあるのは、明らかな間違いである〉
by nenemu8921 | 2010-03-12 23:41 | 植物 | Comments(13)

時間のないころのゆめ

久慈へ向かう道路沿いに見た光景です。
こんな情景に出会うと、思わず、大好きな詩が言葉になって出てきます。

「ああいいな せいせいするな」
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クリックすると画像はみな大きくなります。
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風が吹くし
農具はぴかぴか光ってゐるし(略)

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みんな時間のないころのゆめをみてゐるのだ(略)  詩「雲の信号」
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詩「雲の信号」は、花巻農学校の農業実習時に歌ったもので、この地が作品舞台というわけでは
ないが、時空間を越えて、これが賢治の作品世界だと感じる自由は誰にだってあると思う。
                                              (岩手町・大坊での撮影)

ご案内いただいた友へ。ありがとうございました。
すっかり味を占めたので、また、よろしくお頼み申します。
by nenemu8921 | 2009-08-30 07:29 | イメージ | Comments(8)

ぐみ (なつぐみ)

城のすすきの波の上には
伊太利亜製の空間がある
そこで烏の群が踊る
白雲母(しろうんも)のくもの幾きれ
             (濠と橄欖天蚕縬(かんらんびろうど)、杉)
ぐみの木かそんなにひかつてゆするもの
(略)
                    詩「マサニエロ」

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ナツグミ(グミ科グミ属)夏茱萸
山野に生え、高さ2~5mになる落葉高木。
葉は互生し、長楕円形で長さ5~8cm、裏面は灰白色の鱗片を密生して白っぽく見える。
実は6月初めの撮影。花は4月初めに撮影したもの。

グミにはナツグミとアキグミとある。
「そんなにひかってゆするもの」という表現から、葉裏が白く翻るナツグミであろう。
作品舞台は花巻城址。季節は秋。
橄欖天蚕縬(かんらんびろうど)は、橄欖はオリーブのこと、天蚕縬(てんさんじゅう)はルビがあるようにビロードのこと。
杉の樹木をオリーブ色のビロードに見立てているのであろう。
なぜなら、城の上空は伊太利亜製、イタリアのように青く明るいからだ。
タイトルの「マサニエロ」は、実在したイタリアの漁夫(1620~1647)。ナポリの反乱の立役者。
劇的なその生涯は歌劇にもなった。

この作品の解釈は幾つか論があって、悩ましい作品である。
先日の千葉賢治の会の勉強会でも取り上げたが、見解が分かれて、面白かった。
by nenemu8921 | 2009-06-22 10:06 | 植物 | Comments(8)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921