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ヤマガラは友達?

(略)一郎は俄かにまるでぽかんとしてしまひました。
たったいままで教室にゐたあの変な子が影もかたちもないのです。
みんなもまるでせっかく友達になった子うまが遠くへやられたやう、
せっかく捕った山雀に遁げられたやうに思ひました。
風がまたどうと吹いて来て、窓ガラスをがたがた云はせ、
うしろの山の萱をだんだん上流の方へ青じろく波だてゝ行きました(略)
                                       童話「風の又三郎」

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山雀はシジュウカラ科のヤマガラ。山の雀と書くが、雀という漢字は、もともと中国語で小さい鳥の意。
中国語でスズメは麻雀という文字を当てる。そこから雀は小鳥の総称として用いられた。

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風の神の子っ子が転校してくる世界では、子どもたちにとっての遊び友達は、
                      子うまであり、捕ったヤマガラでもあったようだ。

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ヤマガラは飼育しやすく、またよく馴れたので、素朴に飼い鳥として好まれた。

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つい最近まで、神社では、よく飼育されたヤマガラがおみくじ引きをする風景も珍しくなかったという。

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もちろん、現在では、野鳥を捕獲したり、飼育することは違法です。

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久しぶりに市川市郊外の大町自然観察園へ行きました。
野鳥に餌を与える人がいるらしく、ここの小鳥はあまり人をおそれません。
こんな表情で見つめられたら、もうたまらないですね。

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近くまでやってきますが、一瞬もじっとしていないので撮影は楽ではありません。

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この子、3歳の孫によく似ているので特別かわいい気がします。(^_-)-☆

画像はクリックすると、みな大きくなります。ぜひ、表情をお楽しみ下さい。


by nenemu8921 | 2012-12-18 18:54 | 鳥・動物 | Comments(16)

さいかちの樹

(略)
授業が済むとみんなはすぐ川下の方へそろって出掛けました。
喜助が「又三郎水泳びに行がなぃが。小さいやづど今ころみんな行ってるぞ。」
と云ひましたので又三郎もついて行きました。
そこはこの前上の野原へ行ったところよりもも少し下流で
右の方からも一つの谷川がはいって来て少し広い河原になり
そのすぐ下流は巨きなさいかちの樹の生えた崖になってゐるのでした。

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下から見上げるとさいかちの樹は、今の季節、新緑が美しい。
さいかちの実は巨大な豆で、足元には昨年の黒いさやがたくさん落ちていた。
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サイカチ(マメ科サイカチ属)Gleditsia japonica 皂莢
日本の固有種で本州、四国、九州の山野や川原に自生する。また、実などを洗剤代わりに利用することもあった。樹齢数百年というような巨木もある。

「おゝい。」とさきに来てゐるこどもらがはだかで両手をあげて叫びました。
一郎やみんなは、河原のねむの木の間をまるで徒競走のやうに走って
いきなりきものをぬぐとすぐどぶんどぶんと水に飛び込んで、両足をかはるがはる曲げて
だぁんだぁんと水をたゝくやうにしながら斜めにならんで向こう岸へ泳ぎはじめました。
                                        童話「風の又三郎」

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ネムノキ(ネムノキ科ネムノキ属)Albizia julibrissin 合歓木
イラン・インドから東南アジアを経て日本の東北地方北部まで自生する。落葉高木。陽樹であり、荒れ地に最初に侵入するパイオニア的樹木である。河原などで見ることも多い。

サイカチノキも、ネムノキも河原で大木を見ることが多い。サイカチはジャケツイバラ科に分類されることもある。どちらもマメ科の仲間だ。サイカチの花は気づかないことが多く、ネムノキは花は目立つが実は気づかないことが多い。
都内水元公園で6月に撮影したもの。
by nenemu8921 | 2011-07-03 05:19 | 植物 | Comments(18)

ヤマガラ

(略)
たつたいままで教室にゐたあの変な子が影も形もないのです。
みんなもせっかく友達になった子うまが遠くへやられたやう、
せっかく捕った山雀に遁げられたやうに思ひました。
(略)
                      童話「風の又三郎」

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ヤマガラ(シジュウカラ科)山雀
ほぼ全国的に留鳥として分布するが、暖地の常緑広葉樹林にもっとも多い。
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ヤマガラは山の雀と書くが、雀という漢字は、もともと中国語で小さいの意。
中国語で雀は麻雀という文字を当てるそうだ。そこから雀は小鳥の総称として用いられたという。
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ヤマガラは飼育しやすく、人にもよく慣れる鳥で、昔は飼い鳥として愛された。
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高度成長期以前には、神社で、よく飼育されたヤマガラがおみくじ引きをする光景もあったという。
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市川市郊外の大町自然公園でヤマガラに出会った。ミーミー鳴いて、すぐ近くまで飛んでくるので驚いた。
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飼い鳥だったのかと思うほど、人を恐れない。
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3羽ほどが入れ替わり立ち代り、時として揃って飛んできて、すぐそばまでやってくる。
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なんとも表情がかわいくて見飽きなかった。
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目の表情や首をかしげるしぐさが、正月に顔を見せた小さな孫に似ている。
by nenemu8921 | 2011-01-09 16:33 | 鳥・動物 | Comments(15)

ねむの木

(略)
みんなは、とった魚を、石で囲んで、小さな生簀をこしらえて、生き返っても、
もう遁げていかないやうにして、また上流のさいかちの樹へのぼりはじめました。
ほんたうに暑くなって、ねむの木もまるで夏のやうにぐったり見えましたし、
空もまるで、底なしの淵のやうになりました。
(略)
                                   童話「風の又三郎」


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ネムノキ(マメ科ネムノキ属)合歓の木 Albizia julibrissin
山地や川岸、野原などに生え、高さ6~10mになる落葉高木。

さいかち淵のシーンである。子どもたちが泳いだり遊んだりしているところは、
サイカチの木やネムノキの木が茂っているのだ。
サイカチの木は以前紹介したことがある。 こちらをどうぞ。
ネムノキは大きな木を見かけることが多い。花が高い場所で、なかなかいい写真が撮れなかった。
この画像は江東区の木場公園で取材したもの。
by nenemu8921 | 2010-07-26 17:32 | 植物 | Comments(12)
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何だと思いますか?
そう、あざらし(ゴマフアザラシ)です。
でも、水族館じゃありませんよォ。オホーツク海です。いや日本海の最北端になるのかな。
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画像はクリックするとみな大きくなります。
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礼文島の金田ノ岬という処で偶然出会った光景です。岩でも丸太でもありませんよォ。

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どっちが顔で、どっちが尾か、わかりますか?

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かわいいのですが、島の漁民にとっては網を食いちぎられたり、何かと迷惑な存在だそうです。心配で船を出して巡回します。

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アザラシはお昼寝を邪魔されて海に入りますが……。
このあたりは昔はトドが多かったそうです。


体調がすっきりしないまま、以前から予定していた旅行へ思い切って出かけました。
身体が動く間に、やりたいことを試みよう、行きたいところへ行ってみようという魂胆です。
野草を訪ねて、利尻、礼文の島を巡りましたが、
  まず、印象に残ったアザラシ君からご紹介します。

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by nenemu8921 | 2010-07-16 19:24 | 鳥・動物 | Comments(10)

ロウバイ

         郷里の留守宅で咲くロウバイ。
             
            誰も見る人がいなくて
               張り合いがないだろうなと、

                  枝ごと伐って、
                    持ち帰って
                      部屋に飾った。
         
              うれしかったのか、
                  いや、部屋が暖かいせいですね、
                         一挙につぼみが開いてしまった。
           
                        家中がいい香に包まれ、
                              しばし、春気分でした。

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ロウバイ(ロウバイ科ロウバイ属)蝋梅
江戸時代に渡来した観賞用の落葉低木。高さ2~4mになる。
葉を開く前に直径2cmほどの香のよい黄色の花を開く。
花被片は多数あり、小形の内層片は暗紫色を帯、大形の中層片は黄色。
すべて黄色のものをソシンロウバイという。

ごらんのように花びらの質感がいかにも蝋細工のようだ。
賢治作品にはこの花は登場しないが、蝋は賢治の時代、今よりずっと身近なものだったらしい。

霧がふっと切れました。陽の光がさっと流れて入りました。その太陽は、少し西の方に寄ってかゝり、幾片かの蝋のやうな霧が、逃げおくれて仕方なしに光りました。「風の又三郎」

だまってその譜を聞いてゐると、そこらいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かゞひろがり、またまっ白な蝋のやうな霧が太陽の面を擦めていくやうに思われました。
                                 「銀河鉄道の夜」


などと霧の形容としてしばしば登場する。
(蝋のやうな霧)は、都会の気候では、なかなか実感できないものです。


  
                   
by nenemu8921 | 2010-01-08 21:08 | 植物 | Comments(12)

種山ヶ原

種山ヶ原といふのは北上山地のまん中の高原で、青黒いつるつるの蛇紋岩や、
硬い橄欖岩(かんらんがん)からできてゐます。
高原のへりから、四方に出たいくつかの谷の底には、ほんの五、六件づつの部落が
あります。
春になると、北上の河谷のあちこちから、たくさんの馬が連れて来られて、この部落
の人たちに預けられます。
そして上の野原に放たれます。それも八月の末には、みんなめいめいの持ち主に戻
ってしまふのです。
なぜなら、九月には、もう原の草が枯れはじめ水霜が下りるのです。
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放牧される四月(よつき)の間も、半分くらいまでは原は霧や雲に鎖(とざ)されます。
実にこの高原の続きこそは、東の海の側からと、西の方からとの風や湿気のお定まりの
ぶっつかり場所でしたから、雲や雨や雷や霧は、いつでも、もうすぐ起って来るのでした。

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クリックすると画像は大きくなります
今年も、もう空に、透き徹った秋の粉が一面散り渡るやうになりました。
雲がちぎれ、風が吹き、夏の休みももう明日だけです。
                                          童話「種山ヶ原」
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短編「種山ヶ原」は、のちに童話「風の又三郎」に、取り込まれる草稿だが、この冒頭の数行は
種山ヶ原の地形や気候、この地域で生活する人の解説になっていて、それがいかにも童話的、
感覚的表現で、この場所に立つと、「ああ、そのとおりだな」と、いつも思う。

日頃何かとお世話をおかけする「とうわ野鳥の会」の八月の定例観察会に参加させていただき、種山ヶ原で気持ちのよい一日を過ごした。
物見山山頂でイヌワシが悠々と飛ぶ姿を見て皆さん、感激でした。
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イーハトーブ里山の樹木ウオッチングのO氏の解説を興味深く聞きました。
皆さん、ありがとうございました。

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by nenemu8921 | 2009-08-30 09:14 | 場所 | Comments(12)

たばこ

(略)
少し行くと一けんの藁やねの家があって、その前に小さなたばこ畑がありました。たばこの木はもう下の方の葉をつんであるので、その青い茎が林のやうにきれいにならんでいかにも面白さうでした。
 すると又三郎はいきなり、
「何だい、此の葉は。」と云ひながら葉を一枚むしって一郎に見せました。すると一郎はびっくりして、
「わあ、又三郎、たばこの葉とるづど専売局にうんと叱られるぞ。わあ、又三郎何してとった。」と少し顔いろを悪くして云ひました。みんなも口々に云ひました。
「わあい。専売局でぁ、この葉一枚づつ数へて帖面さつけでるだ。おら知らなぃぞ。」
「おらも知らなぃぞ。」
「おらも知らなぃぞ。」みんな口をそろへてはやしました。
 すると又三郎は顔をまっ赤にして、しばらくそれを振り廻はして何か云はうと考えてゐましたが、
「おら知らないでとったんだい。」と怒ったやうに云ひました。
 みんなは怖さうに、誰か見てゐないかといふやうに向こふの家を見ました。
                                       童話「風の又三郎」


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タバコ(ナス科タバコ属)
たばこの原材料となる植物は、ナス科タバコ属の「ニコティアナ・タバカム」。
この「ニコティアナ・タバカム」は、ロート状のピンクの花を咲かせるが、タバコ栽培では葉肉を充実させるために花はすぐに摘まれてしまうとか。
物語は九月五日の章である。タバコの葉は黄色く色づいた葉を下から一枚づつ収穫する。
これは先月、岩手県旧玉山村(現盛岡市)にての撮影なので、まだ若い状態だ。
昔は専売制だったので、葉を一枚づつ管理していたのだろうか?
この童話は方言が難しくて、子どもが幼いとき、読み聞かせるのに苦労した思い出がある。

最近ではタバコを吸う人は国賊扱いである。健康志向、環境のクリーン化への掛け声のもとに。

宮沢賢治は愛煙家ではなかったが、時としてタバコを吸って見せたというエピソードもある。

タバコ栽培といえば映画「早池峰の賦」(羽田澄子監督)を思い出す。
早池峰山麓に暮らす人々の四季折々の生活を描いたものだ。神楽舞い、タバコ栽培のシーンなど、延々と黙々とカメラを回しつづけた、いい映画だった。
by nenemu8921 | 2008-07-15 11:00 | 植物 | Comments(18)

クルミ

どっどど どどうど どどうど どどう、
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいくゎりんもふきとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう
            童話「風の又三郎」


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オニクルミ(クルミ科クルミ属)鬼胡桃
原産地はヨーロッパ南西部からアジア西部とされ、北半球の温帯地域に広く分布する。樹高は8-20mにおよぶ。

すっぱいくゎりんはこちらをどうぞ。
by nenemu8921 | 2007-09-02 21:12 | 植物 | Comments(2)

小さな学校

谷川の岸に小さな学校がありました。
教室はたった一つでしたが生徒は一年から六年までみんなありました。
運動場もテニスコートのくらゐでしたが、すぐうしろは栗の木のあるきれいな草の山でしたし、運動場の隅にはごぼごぼつめたい水を噴く岩穴もあったのです。
(略)
                                     童話「風の又三郎」     



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小さな学校
種山ヶ原から人首町へ向かう途中で見つけた。廃校になって久しいのかもしれない。
思わず、車を止めて撮影した。
人影はなく、蝉の声ばかりが真夏の太陽の下で響いていた。
どうと風が鳴ったら、嘉助や一郎が飛び出してきそうだった。
by nenemu8921 | 2007-08-30 23:52 | イメージ | Comments(6)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921