めくらぶだう→ノブドウ
2008年 11月 04日
(略)
そのかすかなかすかな日照り雨がはれましたので、草はきらきら光り、向ふの山は明るくなって、大へんまぶしさうにわらってゐます。
そっちの方から、もずが、まるで音符をばらばらにしてふりまいたやうに飛んで来て、みんな一度に、銀のすゝきの穂にとまりました。
めくらぶだうは感激して、すきとほった深い息をつき、葉から雫をぽたぽたこぼしました。
(略)めくらぶだうの青じろい樹液は、はげしくはげしく波うちました。
さうです。今日こそ、たゞの一言でも、虹とことばをかはしたい、丘の上の小さなめくらぶだうの木が、よるのそらに燃える青いほのほよりも、もっと強い、もっとかなしいおもひを、はるかの美しい虹に捧げると、……(略)
童話「めくらぶだうと虹」
山地や丘陵地、野原や河原にごくふつうに生える落葉つる性木本。茎の基部は直径4cmほどになる。葉と対生して二俣に分かれた巻きひげがある。
葉は互生し、直径4~13cmのほぼ円形、ふつう3~5裂する。7~8月、茎先に葉に対生して花序を出し、淡緑色の小花を開く。液果は球形で、淡緑色から紫色、碧色となる。
近寄って見ると、それは下手に丸めた白団子で、いびつだし、大小さまざまある。そこへかかった染め粉の具合もいろいろで、梨地、胡麻点散らし、墨流し模様、どぎつい青一色、薄緑地に黒っぽい紅紫の霧吹き染めなど、染め方の見本帖みたいだ。
「ノブドウ」 宇都宮貞子『秋の草木』より
思いがけず、ご近所の運送会社の事務所脇のフェンスに絡まった立派なノブドウを見つけた。いつも車で通りすぎてしまうところだったが、たまたま自転車で通りすがりに発見。雨上がりを見計らって撮影させていただいた。イーハトーブでは9月末に色づき始めるが、このあたりでは1ヶ月ほど遅い。
ノブドウに出会うと、「めくらぶだうと虹」を思い出し、撮影していると、宇都宮さんの文章を思い出す。
いただいたコメントはそのままコピーさせていただき、アップしました。
Commented by matsu_chan3 at 2008-11-03 21:08 x
まだ熟していないノブドウは色合いが面白いですね。
こちらではもう真っ黒に熟しほとんどヒヨドリや
ヒグマに食べられていますよ(^_-)-☆
Commented by mo-su1717 at 2008-11-03 22:51
ノブドウ綺麗。この色合いは大好きです。近くで見れるのですね。自転車だと発見がありますよね。
Commented by 夕焼け小焼け at 2008-11-04 08:17 x
ノブドウ、実にきれいですね。まさに地上の虹です。
これも賢治ブルーですね。ラッキョウの花も、東金まで撮影に行く予定でしたが、小学校の傍の市民農園で見つけたのです。身近にも小さな自然、さがせばあるものですね
宇都宮貞子さんの草木覚書は絶版で古書市場でも、出てこないそうですね。
Commented by nenemu8921 at 2008-11-04 09:09
matsu_chanさん。ヒヨドリやヒグマがノブドウを食べますか?
初めて伺いました。
北海道では、そろそろ初雪の便りが、あちこちから聞かれる頃でしょう。
きびしい季節だけれど、美しい季節になりますね。
Commented by nenemu8921 at 2008-11-04 09:13
基子さん。本当に!!
車から降りると、周期がクローズアップされるようです。
ラッキョウの花も、東金まで撮影に行く予定でしたが、小学校の傍の市民農園で見つけたのです。身近にも小さな自然、さがせばあるものですね。
Commented by nenemu8921 at 2008-11-04 09:16
夕焼け小焼けさん。立派なノブドウでしたが、フェンスに絡まっているというのが残念なところです。
きっと、この実の美しさを感じる人がいて、刈らずに残しているのでしょうね。
Commented by tamayam2 at 2008-11-04 09:51
ああ、なんてきれいなノブドウ。驚きです。そして、なんと
素敵な賢治さんのお話。いいものを見させていただきました。
ありがとう。
Commented by キッコ at 2008-11-04 16:35 x
めくらぶどうというのは方言ですか?
あまりいい言葉ではないですね。賢治用語としては。
野原のぶどうそのものは、たしかにこうしてみると、すばらしいですが。
Commented by nenemu8921 at 2008-11-04 18:12
tamayamさん。
ノブドウは本当に美しいと思いました。
腕がよかったら、もっときれいに撮れるはずですが…。
Commented by nenemu8921 at 2008-11-04 18:15
キッコさん。めくらぶどうは方言のようです。
盲人(座頭)の目玉に似た実をつけることからだそうです。
Commented by rinrin at 2008-11-04 21:52 x
やっとこちらにこれましたよ~
こちらの読むものが貯まってました^^;)
↑2枚写真が見れないのは私だけかしら?
一度私も見てみたい!・・・
ノブドウってきれいな色ですね、トルコ石のようなラピスラズリーのような神秘的な色で素敵!
こんなに色々と変化するんですね!
”めくらぶどうの実が、虹のように熟れていました”
ぴったりの表現ですね(*^^)v
ぜひ、傑作を撮ってください。
きっと何回も画像を入れなおしたのがよくなかったのね。
友人からの電話も助かりました。
どうぞ、今後ともよろしく。
メクラブドウの名、唐突ですがなんとなく分かる気がします。