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葱緑

葱緑とはどんな色か?!

賢治作品は他に類例を見ない多彩な色彩用語、色を形容する独特の表現があることでも知られますが、葱緑(そうりょく)という言葉が気にかかっておりました。

鳥がいっぴき葱緑の天をわたって行く
(略)                  詩「鳥の遷移」
 
 

季節外れのあたたかな陽ざしのさす午後。散歩の折に美しい小さな葱畑を見つけました。
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こんなみどり色のことかなと思いましたが…。
1924.6.21の日付のある作品で、カッコウが登場する舞台として描かれているので、もっと明るいイメージかなと思っておりました。
雑談の折、ふと漏らした言葉を拾って、さっそく壺中人さんから、メールが入りました。

葱緑
(名) あざやかな黄緑色  89頁
岩波 中国語辞典 倉石武四郎著 
1969年9月16日 第一刷発行  だそうです。ありがとうございました。

だとすると、こんな色でしょうか。逆光の中で葱緑はじつにきれいでした。 
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これは浅葱の春の水なり
まさに浅葱の春の水なり
かずのぶが蒔絵の中の浅葱水なり
                  冬のスケッチ二

ふーむ、葱緑は天空の色、
浅葱は春の流れの色…。

さらに追伸をいただきました。
葱青(ソウセイ) あをあをしたさま。 {沈約詩}林薄杳・・
葱翠(ソウスイ) あをあをとみどりいろしたさま。 岳陽風土記
漢詩 上記等にある。(葱は草木のあをあをとしげったさまとして 十八史略 東漢や左傳等に有ると云う) だそうです。
なるほど、ネギ畑は草木の青々茂ったさまに見えます。
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宮沢賢治の時代、教養のベーシックな部分を漢文や漢詩によるところも大きかったようですね。


追記
また、ネギ畑の畝を見ていて、「第三芸術」という言葉がしきりに去来しました。
ネギ畑ではなく、蕪の種をまく場面なのですが。こんな詩です。

蕪のうねをこさえへてゐたら
白髪あたまの小さな人が
いつかうしろに立ってゐた。
それから何を撒(ま)くかときいた
赤蕪をまくつもりだと答へた
赤蕪のうね かう立てるなと
その人はしづかに手を出して
こっちの鍬(すき)をとりかへし
畔を一とこ斜めに掻いた
おれは頭がしいんと鳴って
麻薬をかけてしまはれたやう
ぼんやりとしてつっ立った
日が照り風も吹いてゐて
二人の影は砂に落ち
川も向ふで光っていたが
わたくしはまるで恍惚として
どんな水墨の筆蝕
どういふ彫塑家の鑿(のみ)のかをりが
これに対して勝るであろうかと考へた

                     詩「第三芸術」


賢治の畑作りを見かねた近くの農民がお手本に示した赤蕪の畝作り、その鍬の掻き方に詩人はすっかり感服して、麻薬をかけられたようになったというのです。
書や彫刻に匹敵するほどだというのです。
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いかがでしょうか。「第三芸術」を感じますか?
Commented by キッコ at 2009-01-21 17:10 x
ほう、葱緑ですか。
賢治も面白いですが、nenemuさんの視点もユニークですね。
浅黄色と浅葱色はちがうのですか?

Commented by namiheiii at 2009-01-21 21:13
ふむ、歌に使えば人を驚かすような言葉ですね^^
Commented by nenemu8921 at 2009-01-21 22:06
キッコさん。こんばんわ。
さぁ、あまり難しいこと質問しないで下さいね。(~_~)
もとは同じ語源かも…。
しかし、こんな黄緑色の空ってありますか??
Commented by nenemu8921 at 2009-01-21 22:08
namiheiせんせい。
言葉って世界を変える力がありますね。
オバマ新大統領はそれを証明したかのように見えます。
Commented by matsu_chan3 at 2009-01-22 07:56 x
おはようございます
こちらは雪に覆われ真っ白の状態です。
葱緑は今はビニールハウス・・・緑も恋しくなります。
Commented by tamayam2 at 2009-01-22 10:12
葱緑と言う言葉はじめて知りました。3枚目の写真の青はすてき
です。青みがかっていて、すこし、乳白色がかかったような緑。
ネギの色ですね。たくましい生命力を感じさせる色。
Commented by nenemu8921 at 2009-01-22 10:14
matsu_chanさん。
北海道の葱と言えば、アイヌネギ(行者にんにく)を思い出します。
宮沢賢治はネプウメリという不思議な言葉で語っています。
Commented by nenemu8921 at 2009-01-22 10:20
tamayamさん。葱の色って、本来はそんなに多様ではないと思うのです。
やはり、日の光の演出でしょうね。
中国語に多様な表現があるのは、それだけ身近な野菜で、人々はよく観察していたということでしょうか。
Commented by グレ at 2009-01-22 13:39 x
こんにちは(*^。^*)/
葱緑、また新しい言葉を知りました!
黄みがかった緑というより、何かもっと素敵な色に感じます。
2枚目の葱の色美しいですね(*^^)v
でもかねてから、葱の皮を剥いていくと白い部分から緑になるところの黄みがかった緑がなんてきれいな色だろうと思っていました。
葱に限らず自然なものの美しさには感動しますね(^^♪
Commented by ケイタロー at 2009-01-23 01:06 x
宮沢賢治は色彩の表現の天才と思っていましたが、実はひかりに敏感な人なのかも…。
それにしても、すき焼きにしたいネギですね。(^^♪
Commented by nenemu8921 at 2009-01-23 09:56
グレさん。おはようございます。
身近にあるありきたりの野菜でも、詩の言語になるということなのでしょうね。
台所でも新しい発見がありますね。(^^♪
賢治の視野にあったのは、野外の畑のネギ、日の光を浴びた色なのかなあと思っています。
Commented by nenemu8921 at 2009-01-23 10:02
ケイタローさん。おはようございます。
写真を撮り始めてから、光が色に及ぼす作用の大きいことを実感しました。
賢治の詩はすべて野外での体験が元になっていますから、よく感じていたのでしょうね。
ケイタローさん、すき焼き用には下仁田名産の太い短いネギがあります。美味しいですよ。
Commented by 夕焼け小焼け at 2009-01-23 18:03 x
第三芸術ですか。確か、吉本隆明がこの詩には言及していましたね。
赤蕪の畝はもっと低いのでは…。
それにしても葱緑には目から鱗ぼろぼろです。
Commented by sdknz610 at 2009-01-23 20:00
逆光の葱・・・こういう視点があったのか~・・・♪
参考にさせてもらいますので♪
Commented by nenemu8921 at 2009-01-26 00:11
夕焼け小焼けさん。
吉本隆明、そうでしたね。
赤カブの畝、そうでしょうね。(~_~)
葱緑、まあ、不思議な表現ですよね。(^^♪
Commented by nenemu8921 at 2009-01-26 00:16
samさん。
極めていますね。視点も技術も(^^♪
逆光の中のカワセミはいかがでしょう(*^_^*)

by nenemu8921 | 2009-01-21 14:42 | 色彩 | Comments(16)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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