ノバラ
2010年 12月 10日
そこは小さな円い緑の草原で、まっ黒なかやの木や唐檜に囲まれ、
その木の脚もとには野ばらが一杯に茂って、丁度草原にへりを取ったやうになってゐます。
清夫はお日さまで紫色に焦げたばらの実をポツンポツンと取りはじめました。
清夫はお母さんのことばかり考えながら汗をポタポタ落として、一生懸命実をあつめましたが
どう云ふ訳か、その日はいつまで経っても籠の底がかくれませんでした。
そのうちにもうお日さまは、そらのまん中までおいでになって、林はツーンツーンと鳴り出しました。
(木の水を吸ひ上げる音だ)と清夫はおもひました。
まだ籠の底は隠れません。
よしきりが林の向ふの沼に行こうとして清夫の頭の上を飛びながら、
「清夫さん清夫さん、まだですか。まだですか。まだまだまだまだまぁだ。」と言って通りました。
清夫は汗をポタポタこぼしながら、一生けん命とりました。
いつまでたっても籠の底はかくれません。
たうたうすっかりつかれてしまって、ぼんやりと立ちながら、一つぶのばらの実を唇にあてました。
するとどうでせう。
唇がピリッとしてからだがブルブルッとふるひ、なにか、きれいな流れが頭から手から足まで、
すっかり洗ってしまったやう、何とも云へず、すがすがしい気分になりました。
空まではっきり青くなり、草の下の小さな苔まではっきり見えるやうに思ひました。
それに今まで聞こえなかったかすかな音もみんなはっきりわかり、
いろいろの木のいろいろな匂まで、実に一一手にとるやうです。
おどろいて手にもったその一つぶのばらの実を見ましたら、
それは雨の雫のやうにきれいに光ってすきとほってゐるのでした。(略)
童話「よく利く薬とえらい薬」
賢治の時代には、野ばらの実をお茶にするなんて、誰も考えなかったでしょうね。
野ばらが好きです。花も、実も。
園芸種のように美しいこれら野茨の株に出会ったとき、すごく嬉しかったです。
でも、ローズヒップとは違う、正真正銘の野ばらです。
実が青いうちから何回か通いました。実は水元公園の一角です。
魅せられて……、しかし、なかなかイメージどうりの作品に仕上がらない(>_<)
おはようございます。
自分が先日水元公園に行ったときはメタセコイアのことしか頭になかったのですが、あの公園の中にはいろいろと魅力があふれているんですね
冬になり木々が枯れてしまってもまだまだ見てみたいです
真っ赤に熟した野茨の実、いいですね
来年もまたリース用に実を採りたいから、太い枝ごとはとらないようにしています
地元の方に聞きました。赤い実を2~3粒毎日食べると
便秘の薬になるとのこと。花酒を作ったことがあります
最後の写真、しずくに映った景色が,野の宝石みたいで素敵です
演劇の舞台でスポットを浴びているようなバラの実ですね。きれい。
冬になったからといっても、見どころが尽きることはないのですね。私もまた何かを探しに行きたくなりました。
それでも大きな蕪はまだ抜けません・・とは違うけど
お話を写真で表現できれば、それもまた楽しい。
自分の思いを写真に託したいものですが・・ナカナカ
ネネムさんは、すばらしい洞察と表現をされていて感心致しております。
菖蒲園の手前に金魚の養殖場があります。
その周辺も小さな沼があり、夏にはオニバスやハスなどが咲くところですが、
その周辺も静かでいいところです。
そのあたりを散歩すると、こんな情景に出会うと言うわけです。(^_-)-☆
野ばらの実はとりわけ大好きなんです。
本当なの? 毎日2,3粒食べると便秘に効用あり??
わあ、試してみようかな?
飲み込むの? それとも噛んで食べるのかな?
清夫くんに訊いてみたい!
いいこと教えてくださってありがとう。
そうです。青空です。
最初に撮ったものは曇り空で気に入らず、同じ構図で晴れた日に撮りなおしました。
スポットを浴びたバラの実!! 素晴らしい表現です。
ありがとう。スポットを当てる様に写真を撮っていきたいです。
あなたも探して!!
ありがとうございます。自分なりのイメージなのですが。
文章の説明にならないように。
言葉のイメージの邪魔にならないようにできればいいなあと思っています。
佐藤忠良さんのあの絵、いいですよね(^.^)
あまいあまいかぶになれ!!
不思議な不思議な絵になって!!と撮ってます。
野茨はたいてい藪の中でつる草が絡まり、蜘蛛の巣がくっつき、枝が混み合っていて、
なかなか、いいモデルに出会いません。
この野ばらに出会ったときは、本当に嬉しかったです。
いつか、ナミヘイ先生の野ばらを拝見できますよう、お待ちしています。