白樺
2014年 05月 19日
一本の杉の枯れた心が避雷針とでもいふやうに
二露里(ろり)に亘る林のなかに立ってゐる
こんもりと新芽をふいた白樺の下に
一つの古いそりが置きすてられる
(略)
詩ノート〔エレキの雲がばしゃばしゃ飛んで〕
枯れた心は、こころではなくて、芯であろう。
露里はろりと読む。ロシアの里程の単位。一露里は約1067メートル。
エレキの雲は雷雲であろうか。
白樺の雄花は下がり、
白樺の雌花は立つ。
キョロロの前で、若い白樺の木に出会った。白樺は高い樹木が多く、花が撮影できるチャンスは少ない。
作品は、詩ノートの一節だが、樺太を舞台にイメージされている。
賢治作品では、白樺はしばしば登場する。
詩「樺太鉄道」では学名Betulaから、聖を冠して、「聖白樺」(セント・ベチュラ)とルビを振っている。
白樺は植物学的標準和名では「シラカンバ」である。
シラカバの樹がもう少し標高の低い所でも
育ってくれたら、植えたい樹のナンバーワンかも!
私が信州に憧れる理由の1つがこのシラカバです。
幹も葉っぱも爽やかで大好きです^^
いつも見る白樺は本当に高い木ばかりで、
花は見上げるばかりです。
二キロあまり続く白樺の林に枯れた一本杉が立っていて、
雷雲が流れていく・・・
芽吹いたばかりの緑に、忘れ捨てられたソリ
早春の寒そうな風景ですね。
賢治の心象風景でしょうか。
見ているだけで、何となく鼻がむず痒くなってくるのは、花粉症持ちのせいでしょうか^_^;
父が玄関のわきに植えていたとおもいますが、よく育たなかったと思います。(-_-;)
今はかりんの木が大きくなっています。
きれいなのですが。。。 別荘向きの木でしょうか。
この詩ノートのメモは手入れされて、芽吹いた白樺も古いそりも削除されてしまいます。
ロシア的イメージは消え、岩手山麓地方、雷雲の様相がクローズアップされ、「森」というタイトルを付けられ、生前、文芸誌に発表しています。
私は、この詩ノートのメモにひかれています。