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つゆ

そして十力の金剛石は野ばらの赤い実の中のいみじい細胞の一つ一つにみちわたりました。
その十力の金剛石こそは露でした。
あゝ、そしてそして十力の金剛石は露ばかりではありませんでした。
碧いそら、かゞやく太陽、丘をかけて行く風、花のそのかんばしいはなびらやしべ、
草のしなやかなからだ、すべてこれをのせになふ丘や野原、王子たちのびろうどの
上着や涙にかゞやく瞳、すべてすべて十力の金剛石でした。
                              童話「十力の金剛石」

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画像提供はyono さん

王子と大臣の子どもは虹の脚もとにあるというルビーの絵の具皿を探しに出かけます。
霧が晴れて出た虹を追って二人は森に入ります。そこへ歌とともに現れた蜂雀たち。
蜂雀たちと丘に登れば、宝石の雨が降り注ぎます。見れば草花もみな宝石類です。
その花が十力の金剛石が来ない寂しさを歌います。やがて十力の金剛石が降り、地はみな潤います。
十力の金剛石とは露であり、万象を輝かしめるそのものでした。
金剛石はダイヤモンド、十力は仏のもつ十種の智力のこと。
by nenemu8921 | 2006-11-28 23:03 | その他 | Comments(0)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921